3章 ー04
薄暗いが、本棚にはティムの物ではないであろう古い本が何冊も並んでいるのが分かる。
机に近づいても頬杖をついて眠るティムが起きる気配はない。
近衛兵様がこんなので殿下は大丈夫なのかしら?
もっと人の気配に敏感でないと……あら、可愛い字。
ティムの机の上に幼い子供が書いたと思われる手紙が置いてある。
"きしさまへ
いつも町を守ってくれてありがとう!"
文の下に可愛い女の子が描かれており、その子の周りにはハートやお花散りばめられている。
こういうのを見ると心が温かくなりますわね。
戻そうとして、この手紙の下にあった紙が目に入った。
その手紙には綺麗な字が並んでいる。
筆跡からして女性が書いたのかしら?
"親愛なる騎士様へ
いつも子供たちと遊んで下さり、有り難うございます。
子供たちはティム様が来てくださるのを心待にしております。
台所の修繕などもしてくださり、本当に有り難うございました。
追記
子供たちだけでなく、私もまたお会いできるの楽しみにしております。
キャロラインより"
キャロライン……可愛い名前ね。
もしかしてティムは殿下ではなく、この人の事が……。
子供がいらしているようだからきっと人妻なのね?
だからこの人とは結婚出来なくて、私と……。
手紙を元の位置に戻す。
ランプに照らされているティムは穏やかな寝顔をしている。
この寝顔を見たことがあるのが自分だけでないのだと思うと、何故だか良い気はしなかった。




