3章 ー01
「ネル、五日間休みなんだけど、出掛けませんか?」
朝食後、パティオでお茶でもと誘ってきたティムが神妙な面持ちで私に言う。
側ではトリスがコポコポとハーブティーを淹れている軽快な音がして、そのちぐはぐさに笑ってしまいそうだわ。
「勿論ですわ。新婚旅行ですわね。何処にします?」
もっと早くから旅行の話が出るものだけど、ティムが相手ですものね。
「新婚旅行……」
あら?ティムの反応からすると違ったのかしら?
ティムは目を丸くしている。
「旅行ではなく外出のつも……」
「ううん!そう、新婚旅行!」
私まだ喋っていたのだけど……。
ティムの慌てようからすると、すっかり新婚旅行なんてものを忘れていたみたいね。
「どこか行きたいところはある?」
「そうですわねぇ」
私が先に聞いた事なんて忘れてるみたいだわ。
はっきり言って、ティムと遠出したい訳でもないですし……。
そうだわ!
「海の見えるランスローの別荘があるのですが、そこはどうかしら?」
近くに市場もあって退屈しないと思うわ。
「いいね!でも男爵の許可を貰ったりするのに時間がかかるんじゃ……」
「大丈夫ですわ。お父様のことですから、すぐに許可を下さるに決まっていますもの。メリッサ、直ぐに手紙の準備をして頂戴」
「かしこまりました」
側に控えていたメリッサが頭を下げ、席を外す。




