2章 ー09
いけないわ、ネル!
そんな、殿下とティムが一緒に湯浴みしているだなんて考えては…!
身分からして、湯浴みしてるのは殿下だけなんだから!えっ、でも湯浴みの手伝いって?!
「ねぇ、ネル!」
「!」
あまりの事にティムの前で自分の世界に浸っていましたわ。
「どうしましたの?」
それにしてもティムが大きな声を出すだなんて珍しいですわね。
「え?あ、うん……えっと、びっくりさせてごめんね。今日行った工房のミゲルさんに失礼な事を言われなかったと思って。いい人なんだけど、ちょっと人に対して雑なところがあるから心配で……」
ティムは眉尻を下げてはにかんだ。
誤魔化してる気がするけど、深く突っ込んではいけない感じかしら?
「指差しされましたけど、それ以外は冗談がお好きな方だなと思っただけですわ」
ニッコリと微笑んでみせた。
「ミゲルさん……!」
ティムは片手で自分の額を押さえる。
「ごめんな。人を指差ししてはいけませんって言っておくよ」
あら?ティムが保護者みたいな事を言ってますわ。ミゲルさんが師匠なのだと思っていたのですけれど。
「ミゲルさんはティムを"ティム坊"と、呼んでいたわ。付き合いは長いのかしら?」
「そうだね。ミゲルさんの師匠と父さんが仲良くて、小さい頃はよく遊びに行ったよ」
懐かしむ優しい瞳でティムが微笑む。
きっと可愛がってもらっていたのね。
「あら、ではティムの師匠ではないのかしら?」
「師匠?」
いやだわ、失言。
ティムは目をぱちくりさせている。




