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2章 ー06
ティムの家は私の生家より王城に近く市場も近い。
平原にあるランスローと違い、石畳だけの道を使って市場に行けるライガー邸は良いわね。
そう思っているともう馬車の入り口が開き、セバスが頭を下げていた。
私はセバスの手を借り、馬車を降りる。
露天ではなく、住宅の一室をお店にしているようで、木で出来た看板には"木工工房"と彫られている。
セバスに促され店に入ると、思っていた以上にベッドや椅子などの木で出来た家具が多い。
「いらっしゃい。こちらがティム坊の?」
人を指して失礼な方ね。
出てきたのは無精髭のある五十代の男性だった。いかにも職人らしく作業着で、所々木屑が付いている。
「ランスロー男爵の長女、ネル様です。今はもうライガーの姓ですが」
セバスが彼の指を優しく、拳になるよう折る。
私的には、もっと激しくして頂いても構わないのだけど。
「噂通りスタイル抜群の美人だな」
そう言った割に、私を凝視することなく、サラリと視線を家具へと移す。
不躾な視線を浴びる事がないのが意外だわ。
この手の女性に人気の無さそうなオジさんから変な目で見られる事が多いのだけど。
まさか……この人も男色……!?




