1章 ー10
そこに描かれているのはなんともまぁ独特な……断言出来るのは、素敵な人ではないって事かな。
そう言えば、昔からネルの絵はちょっと乱雑に描いたような仕上がりだった。
前に、猫だと言われた絵に"なんて邪悪な表情をした猫なんだ!"と、びっくりした事があったのを思い出す。
「笑ってますわよね?」
「いや、とんでもない!」
睨まれるとおっかない。
「壁は好きに使ってくれて良いよ。だけど、ネルをソファに寝かせる訳にはいかないよ」
話題を変える。
「あら、でもティムをソファで、なんて出来ませんわ」
「俺は何もしないから、一緒にベッドで寝るとは……ダメかな?」
下心なんてありませんって言うべき?
むしろ言う方がありそう?
「……」
ネルは唇に手を当て、目を伏して考えているようだった。
俺はどうするのが正解なんだ!?
「……分かりましたわ。本日はそう致しましょう。明日にでもソファを少しでもベッドぽくしてみますわ」
え?そんなに俺と同じベッドは嫌?
いくら契約結婚だとはいえ、ちょっと悲しい。
「私の第一要望は叶いましたが、ティムは何かあるかしら?」
ちょっと悲しいから毎日、一緒に寝ようって言いたいけど、ダメだよなぁ……。
「最低限で良いから俺のパートナーとして振る舞って欲しい。近衛隊は仲がよくて、パートナーを得ると夜勤者以外が集まって妻を紹介するんだ」
「分かりましたわ。殿下も来られますの?」
「そんな恐れ多い!気楽な騎士だけの集まりだよ」
あれ?でもこの台詞、どっかで聞いたような……。




