1章 ー09
「ええ。そうしてもらえると助かりますわ」
ネルはニコッと笑う。
ネルは美人だから一見冷たい印象を受けるけど、ほんとただ美人なだけだと思う。
他の隊員から『ティムのくせに美人な妻を…!』と、言われた。
だけど、中には『歌劇団員を熱愛しているんだってな。まぁ、気にするなよ』と、慰めているのか馬鹿にしているのか分からない声も多い。
……圧倒的に後者の声が多い気が……よく皆、ネルの事を知ってるな。なんでだろ?
「まず確認なのですが、ティムは殿下の元に戻る為、私は好きなだけアラン様を愛でる為の結婚ですわよね」
鞄から紙を出して、椅子に座った彼女はスラスラと書き込んでいる。
「うん」
「なので、ベッドで共に寝る必要もありませんから、私にあのソファと、壁を下さらないかしら?」
「壁?」
「えぇ、アラン様の絵を飾るのです」
「神様の絵のように?」
「そうですわ」
ネルの目は輝いている。
いや、それはさすがにどうかと思うんだけど……。
「そもそもアラン様の絵って売ってるんだ?」
人物画が売ってるの見たことないけど、俺が知らないだけなのかな?俺は流行りとか聡くないしなぁ。
「いいえ、ありませんわ。私が描かせて頂きました」
……。
照れてるけど…
「ネル、絵、うまかったっけ?」
「どうでしょう?私は良い感じだと思うのですが……」
そう言って鞄から一枚の紙を取り出す。




