幼なじみで初恋の人③
「もうずっと前からなんだ」
「え?」
ようやく口を開いた司だったが、その言葉が何を意味しているのか、ジンナは察することすらできず戸惑う。
「妻の気持ちが……僕から離れていることは、ずっと前からわかってた。でも、どうしても放したくなくて、認めたくなくて」
ジンナは少しだけ事情を察した。どうやら司は、妻とうまくいっていないらしい。
司はその後、訥々と語りだした。
結婚したときはお互いに愛しあっていた。そして、お互い子供を強く望んでいたが、四年経っても子どもを授かることができず、三十歳を目前にして焦った妻は不妊治療をしたいと申し出たのだそうだ。最初の検査の結果、原因は司の方にあると判明した。
「できるだけの努力はしてきたんだ。でも、最終段階まで進んでもやっぱり難しくてさ。妻の負担も大きくて、精神的にも限界だった。だから、何度も話しあって、もう頑張るのはやめようって。これからは夫婦二人で楽しく暮らしていこうってことで、一度は落ち着いたんだ」
しかし、妻の関心がしだいに自分から離れていくのを司は感じたという。
司の話によると、妊活を諦めたあと元の職場へ再就職した妻は、働きはじめて間もなく様子が変わったのだという。妻の目には輝きが戻り、司に対しても優しくなったのだが、同時に何か隠し事をしているようにも感じられた。
具体的には、休日に一人で出かけることが多くなり、まるで隠れて誰かとやりとりでもするかのように、トイレや風呂場にまでスマートフォンを持ち込むのだそうだ。
決定的なことが起きたのは一昨年のクリスマスだった。妻は出張だと言って外泊をした。
出張がある職場だとは聞いていない。司は妻を問いただしたが、ごまかすばかりで要領を得なかった。そんな妻に不信感をもった司は、やむを得ず調査会社に依頼することに決めたという。
調査会社から早々に届いた結果はーー




