表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/55

別の星の夢をみるのです①

「あまりボーッとして心を彷徨さまよわせるんじゃないよ」

 ガルシャのピシャリとした声でヒネは我に返る。

 今、ヒネはガルシャとヨヲセにくっついて、スベラギの塔へ向かう途中である。ガルシャやヨヲセが所属するカムイクジナの部署はスベラギの塔の18階にある。毎朝、神呼や審神者はカムイクジナの礼儀の間へと集まり、“礼儀の会”を行うという。その際、神呼や審神者の弟子たちや見習いの者も参加を許されているため、なかなかの人数が集まるらしい。

 ヒネは、昨夜の寝つきは悪くなかったものの、早朝に目が覚めてしまったため若干寝不足である。そのせいもあり、実家での最後の日をぼんやりと繰り返し考えてしまっていたのだ。

「あんたは思い込みが激しいのと、不信感が強いのが玉にきずだね」

 横目でヒネを捉えながらガルシャが言う。

「え?」

 ヒネは何のことかわからず目を丸くした。

「そうやってボーッとしてるとね。簡単に心を読まれちまうのさ」

 ヒネは、先ほどまで繰り返し考えていた回想が、すべてガルシャに筒抜けだったと気がついて慌てる。振り返ると苦笑しているヨヲセと目が合った。

「あ、いや、私はのぞいてないぞ? そこまで有能じゃないし」

 ヨヲセが慌てて否定する。

「嘘つけ! このムッツリスケベが!!」

 すかさず返したガルシャの言葉に、ヨヲセの顔が一気に赤くなる。

「ち、ち、ち、違いますよ! 本当になんにも見てませんって!」

 ヒネは自分の未熟さに嘆息し、項垂れる。

「カダを見てみな」

 ガルシャは、項垂れたヒネに向かって言った。

「カダ様……ですか?」

 ヒネが尋ねると、ガルシャは大仰にうなずいてみせた。

「あれは鉄壁の男だ。何を考えているのか、このあたしですら読めない。試しにあんた、あいつの心の内をのぞいてみな? あたしが許可するから」

 ガルシャはにやりと笑いながらヒネに言う。

「そ、そんな……わたくしは……」

 しかしガルシャは

「かまやしないさ。どうせのぞけっこないんだ」

 そう言って愉快そうに笑った。



挿絵(By みてみん)

 朝の礼儀会は厳粛なものであった。

 500人は優に入れそうな大きな広間に300人ほどの老若男女が集い、最初に祈りを捧げる儀式のようなものがあった。儀式といっても、審神者の一人が祝詞をあげ、皆が瞑目し、同じく万物に感謝の念を捧げるといったものである。

 その後は、日常の職務の割り振りから注意事項、懸念案件等の申し送りを聞かされる。最後に、審神者頭のカダから話があって締めくくられる、といった流れだった。

 ヒネは、大陸の神呼や審神者は、かくも多いものかと驚いた。カダのように若くても神呼や審神者として認められる者もいれば、年老いてから弟子となる者もいるらしく、一見しただけではどの者が正式な大陸の神呼・審神者で、どの者がその弟子たちなのかはわからない。

 全体を見渡せば、ヒネが最初に唄のことを相談した審神者がカダのそばにいる。彼は最初に会った日と、ヒネに招喚状を持ってきた日の両日とも白の上等な長羽織を身につけていたが、今日はそういったものは羽織ってはいない。どうやらあれは、よそ行きの衣装らしいとヒネは推測する。

 礼儀の会が終わり解散となったとき、カダが声を張ってガルシャを呼び止めた。

「ガルシャよ。私の執務室まで参られよ」

 ガルシャはいかにも面倒そうに眼をぐるりと回したあと、カダのあとに続く。ヒネとヨヲセは、自分たちはどこで待機しようかと目で相談する。

「弟子の者たちも一緒だ。付いて参れ」

 カダの声音は昨日のものとは違い、厳格な色を帯びており柔らかさをまったく感じない。カダは、ちらりと二人の方を見やり、廊下へと足早に出ていく。ヒネとヨヲセは目を合わせ、慌ててあとを追った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ