カダ25歳ー依頼ー④
≪前回≫
「我々をこの星で暮らせるようにと作り替えた。我々にその英知を惜しみなく与え、繁栄をもたらしておきながら、最終的にはあっけなく「死ね」と仰せか!?」
カダが、珍しく声を荒らげた。壁に反響した自らの声に、自分でもこんな声が出るのかと、動揺しているのがシュガにもわかった。
シュガはじっとカダの目を見つめた。その瞳に、悲しげな色滲ませずにはいられなかった。
「君たちは我々の血と意思を引き継ぐ者たち、いうなれば我が子も同然だ」
カダは目を見開いたまま、だがどうしようもない悲しさが瞳に滲んでいく。
「息子よ、君たちを失ってもいいなどと我々が本気で考えると思うかい?」
カダは、あふれ出そうになる悲壮をぐっと抑え込むように、瞼をきつく閉じた。
シュガは、ふうと一つ息を吐く。
「だけど、これはあくまで一つの世界線の話に過ぎない。」
カダは、目を上げてシュガをじっと見つめた。シュガは、できるだけ柔和な笑みをたたえるように意識して続ける。
「先ほども言ったように、我々にとって、かの彗星の進路を変えるのは容易いことだ。本来ならば、真っ先に遠ざけていても、おかしくないものなのだよ。ただ……」
そこでシュガは目を伏せた。
「君たちパムゥの科学者の中で、これに気がついている者はおそらくいないだろう。ここ数十年の間に、惑星パムゥの生命エネルギーが明らかに落ちてきているのだということを」
カダが、眉をひそめて問い返す。
「それは、どういう意味であるか?」
「簡単に言えば、星としての余命が短くなってきているという意味だ」
シュガは続けた。
「我々には星の寿命を測る技術があり、それによって余命も算出できる。我々の計算では、惑星パムゥの寿命は、この数十年で数億年も短くなってしまったのだよ」
「それはなぜ? 何が原因なのだ」
カダは、そう問うたところでなぜか、ふっと押し黙った。ふいにカダの視線が、ガラス窓の方へ流れる。その向こう側には、先ほどカダの目をくぎ付けにしていた「新しい者たち」が眠っている。
「あの者たちは……あそこで、筒の中で眠る者たちはいったい……」
シュガは察した。カダは、少しずつ「本題」に近づきつつあるのだろう。
だが、シュガはすぐには答えず、どこから話せばいいものかと考えを巡らせた。
しばし逡巡したのち、シュガはカダを見つめてゆっくりと語りだした。
「カダ、人は一生のうちで、どのような段階を経て成長するだろうか」
突然のシュガの問いに、カダは困惑する。
「人の成長……段階?」
シュガは続けた。




