パムゥ人の出生率が下がらない理由
文明社会においては技術が進歩するごとに平均寿命が延び、社会が成熟するごとに出生率が下がる、というのがパムゥでは定説とされている。
出生率が下がる原因は、社会の成熟により人々の価値観が否応なく多様化するため、というものが一番大きいだろう。多様化する価値観の中で、子どもを産み・育てることは、人生における重要な選択肢の一つとなる。特に出産の役割を担う女性は、人生のどこかで出産とそれに伴う子育てを望む気持ちがあっても、ほかにやるべきこと・やりたいことがある場合、必ずしも両立を可能としない。出産に時間的制約があるのと同じく、人生でやりたいことの多くもまた、時間的制約がないことの方が少ないのだ。
では、どうすれば出生率を維持できるのであろう?
パムゥでは、やはりシュバウル人の慣例にならった制度を採択している。それは、産みの親が育ての義務を負う必要はないとする制度だ。パムゥでは、養子はごく一般的で、育ての親が生みの親と違うことは何ら珍しいことではない。つまり、生んだ子を自らの手で育てることはもちろん歓迎されるが、別の誰かに養育を委ねるのもまた歓迎されるのだ。
これには、パムゥの中でも賛否が分かれる。育てる気もないのに子どもをもうけるのは道徳的に問題ではないかとする意見、また倫理的な問題よりも合理的な解決策の方が優先されるべきなのか、といった議論はたびたび交わされている。
しかし子どもの立場で考えてみれば、血のつながりよりも、愛情をいかに受け取れるかの方が優先されるべきではないだろうか。元気な子どもを望める若い者が子を産み、人として成熟し、子育てに向き合える年齢となった者に養育が託されるのは、ある意味では“自然なかたち”といえるかもしれない。




