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【みなそこの夢】~夢で“知らない歌”を聞く少女と、忘れられた大陸~  作者: 幹まなと
【第3章】シュバウル人の叡智が宿る大陸”パムゥ”
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スベラギの塔

 ヒネは、机の上に用意された食事に目をやる。だが今は食欲がない。よろよろと立ち上がり、部屋の窓辺に近づく。

 ヒネに用意された客室は地上からかなり高い位置にある。日があるうちに窓の外を見やれば、慣れない高さに身のすくむ思いであったが、すっかり日が落ちた今、眼下に広がるのは真っ黒な静寂しじまばかりで怖くはない。むしろ、各住居の天窓からもれる明かりが黒い大地でまばらに輝き、闇にまたたく星のようで美しい。


挿絵(By みてみん)


 パムゥには高い建物がほとんどない。人々が居住するのは多くの場合、大地に掘った地下の中である。これは、縦横無尽に大地を歩く巨大生物との共存を図るため、というのが一番の目的であるが、そもそも建物を高くする必要がほとんどないからでもある。むしろパムゥの主な移動手段である飛行艇の運航を妨げないよう、またパムゥ人の生活にとって欠かせない電力の円滑な運用のためにも、地上ではなく地下へと居住区を伸ばすことが合理的であるといえよう。

 だが、ヒネが滞在するこの塔「統誼スベラギの塔」(以下「スベラギの塔」で表記)は地上20階もある巨塔である。塔内では、大陸のまつりごとを担う20の部署と、塔内での生活を支える関係者、あわせて二万人超が寝食を共にしている。塔の外周は、大人が速足で歩いても、一周15分は優にかかるくらいに広大だ。地上1階部分の敷地で考えるなら、その倍以上はかかるだろう。建物は上層階に行くほど面積が小さくなっており、遠くから望む姿は円錐台の形をしている。


「なぜ、この建物はかくも高く建てられているのですか?」

 先日、初めてここに連れてこられた際、案内してくれた者にヒネは尋ねた。その者の話では、この塔は発・送電塔の役割も担っているため、高く立てられているのだという。大陸内のみならず、この星には全部で8か所の発・送電施設がある。そして、惑星全体を電極として利用し発電をおこない、そのまま各送電塔で連携して惑星全土にもれなく電力を供給している。大陸外で電力を必要とするのは、惑星パムゥの全土を行き交う飛行艇が主である。

 それならば施設はもっと大きい方がよいのではないかとヒネは思ったが、大きさはこの程度で十分なのだそうだ。重要なのは周囲に送電を妨げるものがないことであり、塔の高さや設備の大きさは、さほど問題にならないのだという。



YouTubeで、作者みずから読み上げた動画を投稿しております。

イラストはAI生成画像ですが、YouTubeでは未掲載のイラストも多数載せているので、興味があればのぞいてみてください。↓

https://youtu.be/-LJItcRq6zM


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