カダ25歳ー遭遇ー②
「少し話をしたいのだけど、問題ないかい?」
シュガと名乗るその者は、優しくカダに問うた。透き通るような優しい響きの声である。
「問題はないが、なんというか……シュバウル人というのは、さように小さいのであるな」
カダは戸惑いつつも、気がつけばそのようなことを口にしていた。
ふふ……とシュガは笑う。
「これはアバター……そうだね、傀儡だ。私の真の姿ではないのだよ」
カダは驚いたが、なるほど傀儡かと思い直す。
「我々が体内に宿す細胞や、知らずに代謝する微小な物質の中には、君たちにとって致命的な毒性をもっているものがあるのだ。逆もまた然り。だから、こうして我々がこの星に降り立つときには、意識を同化した傀儡を使うのだよ」
シュガが優しく説明する。しかし、次に発せられた声は、いくらか沈んだように低く響いた。
「皮肉な話だね。我々はシュバウルに替わる新たな定住先としてこの星を見定めたのに、結局、降り立つことすらできないでいる。さまざまな苦労を重ね、犠牲を払ったうえで、遺伝子を改良した子孫を住まわせるのが精いっぱいだったなんて、とんだ笑い話だ」
小さな傀儡は表情も変えず、声だけ自嘲気味に笑う。
カダは、なんと返してよいかわからず、その場に立ち尽くしていた。
「疲れているだろう? 話に付き合わせて申し訳なかった。私は君と友になりたかったのだ。」
カダは目を見開く。
「また明日、この場所で待っているよ」
それだけ言って、シュガは暗闇に消えていった。
カダは、今しがた自分に起こったことが現実であったのかと疑いたくなった。だが、あれは、シュガは、明日また待っていると言った。そして、自分と友になりたいとも……。
カダは、この出来事についてあれこれと考えを巡らせたが、行き着く答えなど見つかるはずもなく、ひとまず明日を待つことにした。
家で待っていたガルシャに、「今日はどうであったか」と尋ねられた。しかし、なんとなく先ほどの出来事を話すのをためらったカダは、結局、「いつもと変わらぬ毎日であった」と曖昧に答えて寝床に就いた。




