カダ21歳ー親友ー③
「そうか!」
カダは何かを思いついた様子で、オウガを見た。
「カムイクジナでは、能力さえあれば、年齢を問わず組織人になれる。つまり、16歳より前にカムイクジナの組織人になることができれば、それだけ条件を達成するのが早まるというわけだな?」
スベラギの塔には全部で20の部署があり、その部署全てに尊と呼ばれる長がいる。
ミコトは、パムゥの民からの投票によって選ばれるが、その選挙の出馬条件は、地方の代表者を決めるものよりも厳しい。
地方の代表者が選挙に出馬する際は、年齢が35歳以上、かつ一定数以上の社会的獲得点数を必要条件とする。しかし、スベラギの各ミコトの出馬条件は、それに加えて20ある部署のうち、最低4部署を各5年以上所属した実績が必要となる。
そして、カムイクジナを除く他の部署で、組織人として認められる年齢は16歳以上と定められている。
しかし、カムイクジナだけは、例外的に年齢の制限がないのだ。なぜなら、審神者や神呼は、その能力に年齢は関係ないとされているためである。それどころか、同じ人物でも、若いころの方がむしろ能力は高かった、といった場合も多々あるからだ。
「そうだ。『能力があれば』だ!私は、能力が足りなかったせいで、結局カムイクジナでも16歳まで組織人となれなかった」
不貞腐れたように嫌味で返すオウガに、カダは怯んだように質問する。
「しかし……、それでも選挙に出られるのは35歳以上だ。4部署を5年ともなれば、最低20年は必要なわけだし、他のミコトも例外なくお年をめしておる。そんなに焦る必要はないのではないか?」
「わかってないな」
オウガは苦々しげに言った。
「私は、確実になりたい、ミコトに……果ては、スベラミコトになりたいのだ。そして、今のパムゥの選挙制度では、どうしたって若者の支持で結果が大きく左右される。地方の代表者であれば、公約として掲げる政策理念や思想が、選挙結果に大きく反映されるだろう。しかし、ミコトは違う。ミコトは所詮、彼ら代表者が決めた政策を実施する立場の人間だ。政策理念や思想は、ほとんど関係ない。いかに若者の心を掴むかが、それが大事な鍵になるのだ」
「ああ……」
カダは、心当たりをなぞるように、顎に手をやった。
パムゥでは、選挙権を得られるのは、18歳の成人となってからだ。
しかし、一人ひとりの一票の価値は平等ではない。18歳以上の者には皆、選挙権を与えられるのだが、各人の1票の価値は18を自身の年齢で割ったものとなっている。つまり18歳であれば1票だが、25歳では0.72票、36歳では0.5票、72歳にもなれば0.25票となる。
これは、「この先を担う期間が長い者ほど、意見が尊重されるべきだ」という考えに基づくものであるが、それと同時にある意味での“公平性”を保つためでもある。
その“公平性”とは、先述したパムゥにおける“選挙に出る側の条件”だ。パムゥでは、選挙に出られるのは35歳以上で、かつ一定数以上の社会的獲得点数を必要とする。そのため、通常、選挙に出馬する年齢は高くなる傾向が強い。
仮に、選挙権の価値がすべての年齢層で同じだった場合、どうしても老齢側の意見が尊重されやすくなってしまう。その偏りを是正するため、あるいは均衡を保つために取り入れられている制度である。
「若者は、どうしたって自分と年齢の近いものを支持したがるだろ? それに、若者でなくとも『最年少』と肩書がつくだけで、皆の注目を集められる。これは立派な政治戦略なんだ」
そう言って、燃える瞳をカダに向けたオウガは、しかし次の瞬間、訝しげに言った。
「なぜ、楽しそうにしておるのだ?」




