カダ21歳ー親友ー①
ガルシャとの楽しい時間を過ごす一方で、カダは、カムイクジナの中では強い孤独を感じていた。
特に、兄弟弟子であるオウガの態度には閉口した。だが、それは無理もないことだろう、とカダは諦めてもいた。
カダは、誰とも親しくはなれなかったが、審神者としての能力は広く認められるようになっていた。まだ二十歳という若い年齢にもかかわらず、「次の審神者頭はカダになるのではないか」といった声まで囁かれるほどの実力だった。
18歳のころ、“審神者見習い”から“正式な審神者”として認められたカダに比べ、オウガが正式な審神者となれたのは、今年に入ってからである。カダより2年も遅かった。それでも、他の審神者見習いに比べれば十分に早い出世である。だが、カダの昇進が異例の速さだったのだ。
とはいえ、同い年で同じころに審神者見習いとなった、しかもカダの兄弟弟子であったオウガにとっては、さぞ面白くない話であろう。それは、カダでなくとも察しがつくことだ。
そんなある日のことだった。たまたまカダが食堂に向かうと、同じく一人で食堂にいたガルシャと鉢合わせた。こんなことは珍しいと、二人は一緒に座って食事を始めた。そんな折、やはり食堂へとやってきたオウガとカダは目が合った。
とたんに、強い嫉妬心のようなものをカダは感じ取った。だがそれは、カダに対してというよりは、むしろ、ガルシャに向けられた感情のようであると気がつく。
カダは察した。心の内を読んだのではない。しかし、おそらくオウガは、ガルシャのことが好きなのだ。だから、初めのころより、ガルシャと親しげにしていたカダを嫌っていたのではないか……。
カダは嘆息した。カダとしては、二人のために身を引くことは容易であるが、ガルシャはそれを望まないだろう。つまりこれは仕方のないことなのだ。
だいぶ遠くの席に座って、黙々と食事を始めたオウガを見やりながら、カダは少し寂しい気持ちになった。
初めてオウガを兄弟弟子だとバクタから紹介されたとき、カダは素直に嬉しかったのだ。
幼いころからカダには兄弟がおらず、それどころか歳の近い子どもすら、共同体家族にはいなかった。大人の中で可愛がられてはいた。しかし、巡業でほかの地方に行くたび、同じ年ごろの子ども同士が屈託なく遊んでいる様子を見るにつけ、カダはそういった「友達」や「兄弟」に強く憧れた。
オウガと対面したとき、自分にもようやく兄弟のような存在ができたのか、と心が躍る思いであった。しかし、それも束の間、オウガは早々にカダに対する敵意を隠さないようになり、口を利いてくれることも今までほとんどなかった。
ところが、事態が突然変わったのは、カダが21歳のときだった。




