カダ20歳ー告白ー②
「だから決めて? 私とここで暮らすか、このまま別の道を行くってことで、さよならするか」
カダは目を伏せた。そして、もう逃げられないのだと悟った。
初めてガルシャに告白されたのは2年ほど前のことである。飾らない率直な言葉で、
「カダが好き。だから私の恋人になって」そう言われた。
カダは、それよりずっと前からガルシャの気持ちに気がついていたが、知らないふりを続けてきた。そして、思いを口に出してぶつけられてもなお、「成人になっても、まだ私のことを好きでいてくれたらな」などとごまかした。その場を取り繕いながら、なんとか今までかわしてきたのだ。
だが、ガルシャがいよいよ成人となる18歳を迎えた今、カダにはもう断る理由もなくなってしまった。
そして、ガルシャは今、捨て身の覚悟でカダに迫ったのだ。恋人になってくれるのか? なれないならば、ここで関係を断ち切ってほしいと……。
カダはガルシャが好きだ。だが、それは女性として、恋人としてという感情とは程遠い。どちらかといえば妹のような存在で、もっといえば、この世で唯一心を許せる“友”である。
できればずっと、今のままの関係でいたかった。だが、それはカダの我儘であり、ガルシャを苦しめるものに他ならない。そして、カダにとってガルシャを失うことは、何よりも恐ろしいことのように思われた。
ほかに選択の余地などあっただろうか……。
「そうであるな、ずいぶんと待たせて申し訳なかった。私の……恋人となってくれるか?」
カダは目を上げ、しっかりとガルシャの揺れる瞳を見つめて言った。
ガルシャはとたんに涙を浮かべ、今まで見たこともないような笑顔をカダに向けた。
「うん、もちろん、 もちろんだよ」
カダは、自分が潔癖症であるなど、考えたこともなかった。どちらかといえば、多少不衛生であっても気にしないような人間だ、という自覚があった。
しかしながら、ガルシャの新しい家は許容の範囲を超えていた。前家主のタルマは、相当ずぼらな人間であったと思われる。部屋の床が土間であるのをいいことに、果物の皮や残飯を、そこかしこに放置していた節もある。カダは、住むとなった以上はタルマの家を徹底的に片づけた。ついでに、足つきの寝床を土間の隅に自作で作り、厠も頑丈な小屋に建て替え、清潔になるよう内部を改良した。
「寝床は、奥の部屋を一緒に使えばいいじゃない」
カダが作った足つきの寝床を見て、ガルシャは不満をもらした。しかしカダは、「ガルシャには社会的獲得点数の管理機構を構築する職務に専念してもらいたいから」と理由を付けて、なんとか説得した。
そうして始まった二人の生活は、思いのほか楽しかった。




