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同胞は、そこに配置された

 パムゥでは、電力のすべてを惑星パムゥが生み出す磁力によって自給している。

 惑星パムゥはシモカタ(南)から磁気を放出し、カミカタ(北)で磁気を受け取っている。「カミカタ」・「シモカタ」という方角の呼び名も、磁気の流れる方向が由来となった呼び方である。

 そして、惑星パムゥを巨大な磁石に見立てて、送電塔にある発・送電装置によって電力を生み出し、惑星中に無線で電力を供給しているのだ。



挿絵(By みてみん)


 送電塔は全部で8か所あり、「スベラギの塔」を第1塔として、それよりヒガシへ45度ずらした先に、第2塔である「ミナナミの塔」があった。第3塔は、ミナナミよりさらにヒガシへ……とはならず、第1塔であるスベラギの塔より、45度ヒニシにある「湿森しめのもりの塔」となっている。

 この、右に1、左に2、次はまた右に3、再度左に4……といった数え方は、かつて送電塔を造った際に、神呼や審神者が大きくかかわったことに由来すると聞く。ヒネも勉強途中で詳しくはわからないものの、これは神呼や審神者独自の数え方なのだそうだ。立体空間に建てられた何かを数えるとき、気の流れでみるなら、もっとも自然な数え方なのだという。しかし個人的には、やはり右回り、あるいは左回りの順に数えていった方が、今の時代ではわかりやすいと思う――などと言えば「最近の若い者ときたら」と、老輩たちに眉をひそめられるだろうが。


 各塔は、設置の場所にそれぞれ特徴がある。

 いずれの塔も、必要な条件の1つが、巨大生物が少ない、あるいは近寄りがたい場所であるというものだった。

「湿森の塔」は、深い山中にあり、小さな動物は多く生息しているらしいが、巨大生物が分け入りにくい場所にあるという。

 第4塔は、ミナナミの塔よりヒニシへ45度の位置にある「断崖だんがいの塔」だ。ここは文字通り断崖絶壁にあり、密林を抜けた先の、断崖の上に建てられているという。

 次はヨヲセが派遣された第5塔「高頂たかねの塔」である。「湿森の塔」より、やはり45度ヒニシへ動いた場所にある。ここは、惑星パムゥの中でも有数の高山がそびえ立つ地域である。標高が高く、常より酸素濃度は平地より薄い。それが、平地ですら酸素が乏しくなった今、かの場所の酸素濃度はいかばかりであろうかと、想像するだけでヒネは息苦しくなる。低酸素状態では、人は簡単に意識を失ってしまうことがある。常に死と隣りあわせであるため、なるべく体力のある者を、また最も人員を多く送ったと、カダは言っていた。

「断崖の塔」より45度ヒガシ、そしてもっともカミカタ(北)にあるのが第6塔「氷塊ひょうかいの塔」である。ここは年中氷に覆われた大地で、その寒さは筆舌に尽くしがたいと聞く極寒の地だ。巨大生物はおろか、小型の生物ですら生息が可能なのか危うい地である。カダはヨヲセが赴いた第5塔を、もっとも過酷な場所の1つと言ったが、この第6塔も負けず劣らずの厳酷の地であるといえよう。

 第7塔は、ヨヲセが派遣された「高頂の塔」より、45度ヒニシにある「草原くさはらの塔」である。このあたりは緑豊かな草原地帯だと聞いているが、そのせいで巨大生物は比較的多いらしい。

 そして、その「草原の塔」より約40度ヒニシ、また「氷塊の塔」より約50度ヒガシにあるのが、「落葉らくようの塔」である第8塔だ。アマトにある「スベラギの塔」から見ると、惑星のほぼ反対側に作られた塔である。その名の通り、落葉樹が広がる比較的寒冷な地帯と聞く。落葉の塔は、その外周は石でできた柵に囲われていたが、本体の塔は木製であった。そのため、降り続く長雨で、先日ついに倒壊してしまったという。

 この落葉の塔の位置について、通常なら第6、第7の塔より45度ずつ、つまり2つの塔のちょうど中間に造られるべきであるが、ちょうどその辺りは海の中となっており、やむを得ず5度ほどずれているのだという。ならばカミカタ、あるいはシモカタの方向へずらせばよいではないか、という発想になりそうなものだが、そう簡単な話ではない。必要な条件は経度のみならず、緯度もあるのだ。


 第3塔「湿森の塔」と、第5塔「高頂の塔」は、ほぼ同じ緯度にあり、その2つを結んだ位置が中心となる。これは惑星パムゥの緯度全体で見たとき、ちょうど中間の位置ではなく、かなりカミカタ寄りになっている。しかし、惑星パムゥはカミカタ側に陸地が多く存在している。そのため、この位置こそが、惑星パムゥにおける陸地全体の、ほぼ中央に値するのだ。

 そして、「湿森の塔」と「高頂の塔」より約6度カミカタにあるのが第7塔「草原の塔」で、同じく6度ほどシモカタにあるのが第4塔「断崖の塔」となる。

「草原の塔」より約14度カミカタにあるのが第8塔「落葉の塔」となっており、さらにその15度カミカタには第6塔「氷塊の塔」がある。

 同じく「断崖の塔」より、14度シモカタに第1塔となる「スベラギの塔」、さらにその15度シモカタに今は無き第2塔「ミナナミの塔」があった。

 経度と緯度が天秤にかけられた結果、緯度の方が優先されることになり、「落葉の塔」は位置がずれた経緯がある。では、なぜ6度・14度・15度なのかというと、二進数に置き換えた時、この並びが最も美しく規則的な配列を作るのだという。これも、建設時に神呼・審神者が関わったことが関係しているらしいが、ヒネも専門的なことはわからない。

 いずれにしても一つ言えるのは、これらは最も効率よく、かつ合理的に送電できるように配置された場所だということだ。


 水底に沈んでしまった「ミナナミの塔」の発・送電装置の回収は困難とされ、シュバウル人に委ねられた。また倒壊した「落葉の塔」の装置は、すでに回収済みであるという。

 残るスベラギの塔は、カダとヒネを含めた8人であたることになり、誰にいつ何が起きても対処できるように、全員に装置回収の方法が指南された。




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