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第一鱗 シェイド・ブレイズは和平交渉がしたい!

まずは、シェイド・ブレイズが呪いを受けることになったきっかけ、転生前から始まろうと思っています。(できるだけ簡潔に)

 遥か古代――まだ魔法が世界的に普及せず、科学文明のみで人類が魔物と対立していた頃。


 人類の画期的な発明――生体エネルギーを粒子加速させて射出する銃、バイオ・アクセラレーターの登場によって、瞬く間に魔物たちの生息圏は狭まり、ついには魔物の王とも呼ばれる竜族までもが戦場に駆り出されるようになった。


 しかし、バイオ・アクセラレーターを搭載した戦闘機及び、人類の身体能力を爆増させるパワードスーツ『オーグメント・ギア』を纏ったエリートな人族たちによって、竜族たちでさえ痛み分けを余儀なくされる始末。


 そう、竜族は動くのが遅すぎたのだ。人類を下等生物と見下し、長年放置or捕まえては奴隷扱いしてきたツケがまわってきたのである。手の施しようがないほど――その戦争の結果は、目に見えていた。



  ―――


 

「つまりだ――炎竜の癖に戦うのが苦手な貴様に、最後の希望を託そうと言っているのだ、シェイド・ブレイズ――!」


「――!!分かった、俺に任せてくれ、親父――!」


 俺――炎竜シェイド・ブレイズは、竜族の聖地からは遠く離れた、戦線にほど近い森の中に潜んで父上と密かに言葉を交わし合っていた。


 俺は小さくうなずいた後、青の魔法――育みと知恵の魔法の一種である、メタモルフォーゼを自身にかける。俺の硬い鱗に包まれた体躯が青い光に包まれたかと思えば、みるみるうちにそのサイズを極小へと変えていく。更には、その骨格が音を立てて人間のものへと変貌していき――俺は、身長170cmの赤髪の青年へと変身を遂げていた。


 見上げれば――先ほどまで体躯のほぼ変わらなかった父上が、我々竜族の10倍のデカさはある神竜のようにバカデカく見えた。あまりの迫力に心臓がはちきれんばかりである。自身が縮んだだけではあるのだが、この感覚は何度やっても慣れない。

 そんな俺の様子を見て、「まったく頼りない……」と父上は鼻を鳴らして嘆く。

 


「シェイドよ……まさか、このような状況に陥ってから、貴様の悪癖が役に立つような日が来るとはな……。まったく……人類の文化や生活に興味を持ち、ましてやその一部と友好関係を築くなどと……。わしの息子がそんなことになってると周囲に知られたら、息子ともども追放されてしまうだろうと冷や冷やしたものよ……」


「人類は素晴らしいです!父上!」


「ああ……散々聞かされたからなぁ……知っている」


 げんなりとした様子で――しかし、次の瞬間には力強く頷いて父上が言ってくれた。父上は元は決して柔らかい頭の持ち主ではなかったのだが、竜族にしては『子を大事にする』という性質が強かったからこそ、こうやってなんでも話せる関係になったと思える。


 竜族の中でも有数の戦士だし――本当に自慢の父上だ!!


「それじゃあ、打合せ通りにいくぞ。ズバリ――和平交渉だ。竜族の中で発言権を持つワシが、神竜様に人類との和平を提案する」


「そして、この俺――『烈火』の二つ名で武勇轟く、戦士の中でも特級の資格を持つヴァルカニック・シェイドが、人族の王様を説得するってわけだ……!」


「まったく――竜族を殺していないからまだいいものの。魔物殺しも大概ワシらへの敵対行為だというのに――」


「あ、あはははぁ~……ま、まあ、一応、斬る相手は選んでいるからねぇ~……。戦場に関係のない街を襲う魔物とか、竜族への下剋上を狙ってた吸血鬼族とか……」


 今度こそ心底あきれ果てた様子で暗い表情をする父上に、俺は冷や汗を垂らしながらしどろもどろに言い訳をした。


 ま、まあ、考えなしだった駆け出しの頃は、適当に遭遇した魔物を狩ってたりもしてたけど、考えなしだっただけだから!敵対する気がなければ、セーフだから!知識なければ罪を犯しても許されるって、どっかの寂れた教会の薄汚れた神父が聞き取るのがやっとなくらいの小声でぼやいてたからぁっ!!!


「ま、まあ、その……本当に今まで色んなことがあったけど、贖罪も含めて、俺が初めて役に立つ時が来たんだよ!俺はやる!!やってやるよ、父上!!」


「ああ……お前だけが、頼みの綱だ――我が愛すべき息子シェイドよ……」


 父上が鼻先を俺へと近づけてくる。あまりにも巨大な鼻先だ。身をかがめれば、鼻の穴の中にさえ入れてしまうだろうし、そこから放たれる鼻息は吹き飛ばされそうなくらいな上に――その、めっちゃくさ臭い。


 ぼくは父上に悟られないように気を付けながら、右手で鼻をつまみながら、父上の鼻先に力強く抱き着いた。


「行ってきます、父上――!」


「おい、なんだ、その右手は、シェイド……」


「……行ってきます、父上っ――!!」


「おい、うやむやにしようとするな!まったく、シェイド、貴様は相変わらず変わらぬ――」


 俺は、父上の悪態を背後に、逃げ去る様に森の中へと走り去った。臭いもんは臭いんだよ!!昔から比べれば丸くなったけど、相変わらず頭硬い所は硬いぜ、まったく……!!



  ―――



 さて、そんな仲睦まじい竜族の父子のやりとりを木陰から見守っていた一匹のカラスがいた。そのカラスは、和平交渉の話が持ちあがった辺りでその場を退避し――遥か北の空、竜族の聖地ヘリオポリス・ドラグーンがある方向へと飛び去って行った。

できれば、毎日投稿しようと思っていますので、応援よろしくお願いします!感想でも、誤字修正依頼?(ネット小説全般に詳しくない)でもぜひ気軽にお願いします。

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