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projectMOTHER~異世界転生したら女神の主と呼ばれている~  作者: 鴉野碧
1:お気楽異世界神様代理就任編
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第六話:目覚めの抱擁と2人の戸惑い

柔らかな光が白銀の壁に反射し、寝室を淡く照らしていた。


まどろみの中で目を覚ますと、すぐ隣にイツモアの温もりがあった。


彼女はすでに目を覚ましていたようで、肘をついて、慈しむような、あるいは聖遺物を鑑定するかのような熱い視線を僕に注いでいた。


「……おはようございます、カイ様。素晴らしい目覚めです」


「……う、うん。おはよう、イツモアさん。……そんなに見つめられると、ちょっと……」


気恥ずかしさに顔を背けようとすると、イツモアは滑らかな指先で僕の頬をなぞり、逃がしてはくれなかった。


「ふふ。昨夜は、お名前を呼ぶたびにお返事をくださいました。それが嬉しくて……今も、ついお顔を確かめてしまうのです」


……あー、そうだった。


異世界に来ていきなり、とんでもない事しちゃったんだよね。


「ところで気になった事があるんだけれど……いい?」


そう尋ねると、彼女は上目遣いで小さく頷いた。


うわっ!!


めちゃくちゃカワイイやんけ!!


イヤ! 落ち着け!!


「体の具合はどう? 昨夜、何か変わったように感じたんだけど……」


彼女は少し考えてから体勢を変え、僕の胸に頭を預けた。


「私にも、まだうまく説明できません。今も、体が貴方様の情報を読み解いているようです」


……情報を読み解く?


異世界の表現ってのは、いちいち詩的で含みがある。

昨夜の妙な感覚を思い出しかけたが、胸元の髪がくすぐったくて考えが途切れた。


彼女は僕の手を取り、自分の鼓動の真上に当てた。

掌の下で規則正しく脈打っている。


「苦しいとか、そういう事はない?」


「はい。今は、貴方様がここにいてくださるのが嬉しいのです」


答えながら僕の手を包む指に、少しだけ力がこもった。

体の話を聞いたはずなのに、こちらの心拍数が上がっている。

検査の続きなら僕の方が引っかかりそうだ。


気になる事はまだ山ほどある。

しかし、これでも僕はジェントルメン。

ピロートークを問診票にしてはいけない。


などと脳内でネクタイを締め直した直後、イツモアが「それに……」と呟いた。


先ほどまでの微笑みが少し薄れた。

何かを思い出そうとしているようにも、言葉を探しているようにも見える。


「役目の事なら、ご説明できるのです。ですが、それだけでは分からない事がございます」


言葉に続きがあるのを察し、返事はせず、彼女の瞳から目を離さず、続きを促す様に艶やかな髪をサラリと撫でる。


すると、イツモアは表情を崩し、意を決した様に言った。


「カイ様が目を覚まされた時、初めてお顔を拝見し、その声を聞いた時、何故だかとても懐かしく悲しい……そんな不思議な感覚を覚えました」


彼女は僕の後頭部に優しく両手を回し、そっと抱き寄せ、続けた。


「なぜでしょう。ずっとこうしたかったように思います。とても不思議な感覚です」


その言葉に、胸の奥が少しだけざわついた。


「そう言ってもらえて嬉しいよ。何ができるか全く解らないけど頑張ってみる」


イツモアは満足げに目を細め、羽毛のように軽いキスを落とした。


その時、部屋の外から、無機質な声がインターホンのような物を通して室内に響いた。


「……プロト・ワン、その聖室に入られて32400秒が経過いたします。朝食を兼ねて様々なご説明がございます。巫女長にも同席していただきます」


……出たな、変態メガネ。


せっかくのいいムードが台無しだよ!


メガネはかけていないけど。


ヴィンセントの冷徹な声が、現実へと引き戻した。


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