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projectMOTHER~異世界転生したら女神の主と呼ばれている~  作者: 鴉野碧
2:お気楽異世界こんにちは編
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第十話:女神の微笑みと、聖水の「ご利益」

街の水場に立つ女神像は、白銀に輝く神殿と同じ高硬度の材質で作られているようだった。


風化を知らないその肌は精巧で、今にも瞬きをしそうだ。


「この像、誰が作ったの? 職人の業っていうより、なんていうか……」


「これも『生活の恩恵』と同じよ。女神の意を受けて造られたと伝えられているの。この地の守護の象徴としてね」


シェリルは「魔法の板」を一度閉じ、うっとりとした表情で巨大な石像を見上げた。


「ねえ、見てカイ。この指先の曲線、完璧だと思わない? 慈愛に満ちていながら、全てを統べる力強さを感じさせる立ち姿……。まさに母なる輝き。ああ、本当に……なんて美しくて気高いのかしら」


「……う、うん。シェリル、めちゃくちゃ熱弁するね」


自分たちの国宝を自慢するガイドさんみたいだ。


でも確かに、この造形美はすごいわ。


僕のいた世界でのフィギュアなんて目じゃない。


僕は女神の足元を流れる清らかな水に目を向けた。


「……シェリル。これ、飲んでも大丈夫かな?」


「ええ、もちろん。街の皆が飲んでいる『聖水』だもの。浄化の効果が常に働いているから、多くの病や有害なものを寄せ付けないわよ」


浄化の魔法!


出たよ、異世界定番の万能飲料!


手で水を掬い、一口飲んでみた。


驚くほど冷たく、雑味がない。


喉を通った瞬間、脳の奥がシャキッとするような、強烈なリフレッシュ感に襲われた。


「うおっ、これすごいね! 栄養ドリンクより効く気がする!」


「ふふ、そうでしょう? 貴方の体の……ええと、『代謝』を助けるように調整されているの」


シェリルが誇らしげに笑う。


僕はその美味しさに感動し、イツモアにも飲ませてあげたいと思い、彼女に持たされた水筒のような容器を取り出した。


「これ、イツモアさんにもお土産に持って帰ってあげよう。汲んでも大丈夫? 怒られない?」


とシェリルに尋ねると、シェリルは驚いた表情になった後、


「いくら汲んでも怒られないわ。それに貴方はプロト・ワンなんですもの」


とクスクス笑いながら返答した。


何だ?


何か変な事をしているのだろうか?


まあいい。


……しかし。


ふと思った。


「シェリル、さっきから気になってたんだけど、この女神像、誰かに似てる気がするんだよね。……イツさんかな? それともシェリル、君かな?」


何気なく放った言葉に、シェリルがぱっとこちらを振り返った。


「それはそうよ。私達エイリスは女神に創造された種族の末裔ですもの。似ていて当然じゃない。……でも、それって、私もイツも綺麗って事? 私も褒めてくれるの? うふふ。カイって意外とワルい男ね」


彼女はいたずらっぽく体でしなりを作り、ウインクをしてきた。


「私達エイリスって恋愛感情や生殖本能をほとんど失っているんだけど……今、思わずキュンってなった気がしたわ」


「え、あ、いや。……そういうつもりじゃ……」


悪い女だぜ!


女神をダシにして純情を弄ぶなんて!


……今のウインクは心臓に悪い。


「さあ、お水も汲んだ事だし、次はあっちよ! エイリスの守護兵たちが訓練している演習場。ヴィンセントが、兵士達の士気を上げて欲しいって」


演習場!


ついに来たね、冒険の予感!


聖剣とか、ドラゴンとか、出てきちゃう感じかな。




次回 演習場の閃光 2026/10/11更新予定です。

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