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声高らかに宣戦布告だ

 『なぁ朱里!!俺と話そう?そうすればまたいつもみたいに』

 『悪いけどアンタは人質よ。少し黙ってて』


 ビデオ通話の中でざいとっちが暴れてる。

 あの虚ろな目……洗脳されてるざいとっちだ。

 それは間違いない。


 「ちょ、びっくりしたよ。まさか、しゅりちがそこまで強引な方法を使うなんて」

 『アンタ達に勝つにはこれが一番でしょ?』


 まぁ、学園の洗脳はざいとっちが中心だからねぇ。

 めんどくさい事になったなぁ。


 今すぐミ=ゴっちを呼ぶ?

 黒幕ちゃんに教えてもらった【門の創造】って魔法を使えば出来るけど。


 あれはねぇ。

 MPって言うのかなぁ。

 ごっそり持ってかれてゲロるから使いたくない。 

 面倒くさいし。


 「ざいとっちが学園を休んだのは1週間前ぐらいだけど、その時から誘拐してたの?」

 『そうよ。アンタを脅すためにね』

 「脅す?」


 しゅりちは分かってるのかな。

 ざいとっちを誘拐しただけじゃ大した脅しにはならないよ。


 こっちにはミ=ゴが居るからね。

 正真正銘の化け物。


 力づくでしゅりちを捻じ曲げるなんていつでも出来るんだよ。

 まぁ、黒幕ちゃんが嫌がるから緊急事態以外では使えないけど。


 『もちろん、まだあるわよ。アンタ達を脅す根拠』

 「へぇ、教えてよ」

 『ウチは黒幕の正体を知ってる』


 へぇ、なるほど。

 黒幕の正体を掴んだ上に、ざいとっちを人質に取ったから降参しろって言いたいわけ。


 「ねぇしゅりち、知ってる?」


 でもさぁしゅりち。

 それは悪手だよ。


 「黒幕ちゃんはさぁ、認識阻害の魔法を持ってるんだよ」

 『それがどうしたのよ』

 「たとえしゅりちが黒幕ちゃんの正体に気づいても、必ず認識阻害が邪魔をしてくる。一度正体を突き止めても分からなくなるんだよ」


 ゆるりがそうだったもんね。

 黒幕ちゃんの正体を突き止めて、色んな話までしたのに、その記憶が思い出せないんだもん。

 

 正体を掴もうとすれば妨害してくる。

 一度正体を掴んでも忘れさせてくる。


 『黒幕の正体を知っている』なんていうのはなんの脅しにもならなー


 『その認識阻害、ウチには効かないって言ったらどうする?』

 「え?」


 い、いやいや。

 いくら何でも嘘でしょ。


 だって、ゆるりは黒幕ちゃんの顔を一度見た。

 面と向かって話した。

 洗脳耐性だってある。


 なのに、未だに顔すら思い出せない。

 思い出そうとするだけで頭痛がするレベルだよ?


 『信じられないって言うなら、教えてやるわ』

 「ちょ、」

 『黒幕の正体はー』


 しゅりちがそこまで言いかけた瞬間だった。

 頭痛が走る。


 「い、いだだだだだ」


 しゅりちは……平気そうな顔してる。

 なるほど……なるほどねぇ。


 「びっくりだよ。まさか認識阻害まで対応しちゃうなんて」

 

 しゅりちが電話をかけてきた理由が分かった。

 ゆるりを脅してるんだ。


 ざいとっちも抑えてる。

 黒幕ちゃんの正体も、認識阻害にも対応出来てるって切り札で。


 「でもしゅりち、分かってる?しゅりちが認識阻害に適応したって意味ないんだよ。だってその情報を他の子に伝えられない」

 

 『分かってる。だから、ウチはアンタ達と直接対決するつもりよ』


 「直接対決?」


 『六華だけを教室に集めて、黒幕の正体を暴く。誰が見ても明らかな証拠を積み上げて、黒幕の逃げ場を無くした上で、徹底的に心を折って、その罪を白日の下へ晒す』


 ふ~ん。

 じゃぁしゅりちは、そのための会場を用意しろって言いたいわけだ。


 『出来るでしょ?生徒を洗脳してるアンタ達なら』

 「まぁ、ざいとっちを人質に取られてるし、拒否権なさそ~だよねぇ」


 でも、これはゆるりにとってもチャンス。

 今の学園を崩壊させかねないしゅりちを逆に打ち取れる。


 黒幕ちゃんの心を折るつもりなら、ゆるりも同じことをすればいい。

 しゅりちと直接対決して……しゅりちの心を折ってやる。


 「分かったよ。準備してあげる」

 

 でも、その前にちょっと驚かせちゃおうかな?

 確認したいこともあるし。


 「ねぇしゅりち?そのざいとっちって本当に拉致したの?」

 『どういう意味よ』

 「例えばの話だけどさ、ざいとっちは今の学園の状況を知ってて、しゅりちの味方になってるとかね」

 『……この財人を見てもそう思う?』


 ぶっちゃけ、ざいとっちがどこまで学園の情報を握ってるかで動きが変わってくるのが面倒だよねぇ。

 強行突破でざいとっちの身柄を確保しても……心がしゅりちに傾てるなら厄介な事になる。

 

 今のざいとっちは明らかに洗脳状態。

 でも、しゅりちがあの呪文の事を理解しているならそんな偽装は簡単だ。


 だからー

 

 「イヤ、イヤ……カストルム、フタグン。イヤ、イヤ、【リバース】、ミ=ゴ、カストルム」


 こっちも切り札、使わせてもらうね。

 これは本当の呪文。

 体の中にあるらしい魔力?を使って、相手の洗脳状態を強制解除する。


 黒幕ちゃんが使っていたのを見て、こっそり習得してやった。

 ゆるりだけの切り札。


 『あ、あれ?赤山?もう終わったのか?』

 『ちょ、財人。アンタなんでー』


 うぇぇぇぇぇぇ。

 やっぱり魔力持っていかれると気持ち悪い。

 吐きそう。


 「なるほど~。やっぱりざいとっちは全部知ってて、しゅりちの味方してるんだね」

  

 知りたい事は全部知れたし。

 OKって事にしよう。


 「じゃぁ、しゅりち。また学園で」

 『ちょ、ゆるり』


 電話を切った。

 瞬間、抑えていたゲロが部屋に散布する。


 「うわ……片付けるのめんど。おかあさ~ん!!」


 さて、ゆるりも準備しないと。

 しゅりちと、ついでにざいとっち、二人の心を折る為に。

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