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最終作戦会議

 「分かっていた事ではあるけど」

 「認識阻害が厄介ねぇ」


 ウチの話を聞いた財人とモモは頭を抱えていた。

 

 「黒幕の正体が分かっても赤山しか覚えてられないのは厳しいな」


 「恐ろしい考えだけど、黒幕としては朱里ちゃんさえ物理的に拘束してしまえば問題ない状態だものね」


 二人の口から出てくるのはネガティブな言葉ばかり。

 

 まぁ、普通に考えればそうよ。

 相手は洗脳なんて反則技を使ってくる。

 少しでも隙を見せようものなら振り出しに戻される。


 嫌になるのも仕方がない。

 勝てないって考えるのもしょうがないと思う。


 でも、それは考え方の問題だ。


 「あともう一つ、みんなに伝えたいことがあるの」


 「なんだ?」


 「黒幕を追いつめる作戦がある」


 ウチはもう黒幕を知っている。

 洗脳ループの仕組みにまで辿り着いた。


 なら、この情報を持って犯人を追いつめる。

 

 探偵ごっこじみた推理ショーではアイツに勝てない。


 真実を話しまくって仲間を増やす方法ではアイツに勝てない。


 ならウチは。


 「黒幕の正体を確たる証拠をもって白日に晒す。なんの言い訳も出来ないぐらいに。流石の認識阻害も騙しきれないぐらいに」


 六華全員を教室に呼び出して、みんなの前でアイツの化けの皮を剥ぐ。


 「そして最後には黒幕の心を折る。ウチらに対して洗脳なんて意味ないんだって、また正気を取り戻してアンタを糾弾するんだって分からせてやるの」


 これがウチの思いついた勝ち筋。

 

 「なるほどねぇ。でも、理想論で固めた実行不可能な作戦は良い作戦とは言えないわぁ」


 ニヤニヤとしながモモが笑う。

 モモのやつ、ウチが何を言いたいか知ってる上で煽ってきたわね。


 「モモの言うとおり、簡単にはいかない作戦よ。だからみんなの力を貸してほしい」


 ウチのその言葉に二人はうんと頷いてくれた。


 「じゃぁ、とりあえず俺達の使える手札を確認しようぜ」

 「そうね。ウチらに何が出来るかを整理しないと作成もいい様に立てられないもの」


 開いたのはスマホのメモ帳。

 記すのは、ウチ達が切れる切り札。


 「まず考えられるのは朱里ちゃんの存在そのものね。洗脳も認識阻害も聞かない上に黒幕の正体までたどり着いてる。私なんかより、よっぽど切り札と言えるわねぇ」


 「そうは言うけどモモ。アンタの能力だって使えるわ。何せ他人の心が読めるんだから」


 「後は比奈野の残した音声データだろ。これがあれば少なくとも黒川が黒幕と協力しておかしな洗脳をしていた物的証拠になる」


 財人とモモの証言をまとめる。

 どれも上手く使えば状況を帰れそうだけど……ゆるりと【邨ア鬥?】を相手取るには心細いかも。

 あと少し、何位アkあれば良いんだけど。


 「な~んかさ。お前ら大事な事忘れてねぇか??」

 「零」

 

 黙って話を聞いていた零が割り込んでくる。

 てか、酒飲んでる。

 こんな時に??


 「存在そのものが切り札って話ならうってつけの奴がいるじゃねぇの」

 「それってなんだ?零」

 「そりゃぁ、財人に決まってるだろ」

 「俺??」


 困惑する財人にバタっと零がもたれかかる。

 

 「お前ら、考えすぎて大事な所を見落としてるって話だ」

 「何よ、大事な所って」

 「洗脳の内容は財人を中心にハーレムが出来るって感じなんだろ……だったらそれを利用してやれば良い」


 その一言にウチらはハッとした。

 てか、色々ありすぎてすっかり頭から抜けてた。


 「財人が洗脳されると厄介だからって理由で私達はズル休みをしてた訳だが……朱里が考えた作戦で黒幕に止めを刺すってんなら別だ。敵が作った財人のハーレムを最大限利用してやれば良い」


 「【学園の生徒を誘導すること】も【財人君を人質にとって黒幕を脅す事も出来る】、ねぇ。おねぇさん、怖い事考えるのねぇ」


「相手が洗脳なんてズル使ってるんだ。これぐらいはお互い様ってやつ」


 そうか。

 学園の人間は今、財人に都合がいい行動を取るように洗脳されてる。

 それを利用すれば……行ける。 

 【邨ア鬥?】が黒幕である決定的な証拠を作り出せる。


 「ねぇ財人。今から少し酷な事を聞くわよ」


 ただ、今ウチが考えてる作戦を実行するには一つ壁がある。

 その壁を越えられるかどうかはー


 「アンタ、洗脳されてた時に色んな女の子と連絡先交換してたりしない?」


 洗脳されて、ハーレムの主として君臨していた時の財人次第。


 「洗脳されていた時の記憶はうっすらとしかない。でも、先輩、後輩問わずに連絡先を好感した記憶は……ある。流石に数は少ないけどな」


 「じゃぁ、その中に……放送部の部員の子は居る?」


 先輩でも後輩でも良い。

 重要なのは、【邨ア鬥?】の裏をかいてラジオの放送に細工できる人材よ。


 「そういえば……一人。後輩の子で放送部の子と連絡先を好感した」

 「本当?!間違いじゃない??」

 「あぁ間違いじゃない。確か六華のみんなで放送部を見学に行って」


 洗脳されてる間にそんなイベントがあったの??

 全然ウチが覚えてないけど……まぁ良いわ。


 これだけ手札があれば……今ウチが考えてる作戦は実行できる。

 

 「朱里ちゃんの作戦は固まったみたいねぇ。良い表情してるもの。可愛いわぁ」

 「洗脳されている子を使うのは気が引けるが、朱里の作戦の為ならやってやる。だから聞かせてくれ」

 「一応私も聞いとくよ。万が一の時、頼る相手が居た方が良いだろ?」


 後は、やるだけ。


 「えぇ……皆で学園を洗脳から解放しましょう」


 勝つだけだ。


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