赤山朱里
黒幕は放送部に居る。
そう思った瞬間、恐ろしいほどに辻褄が合う。
学園に居るだけで洗脳するシステム。
昼休みが終われば皆が洗脳状態に戻る洗脳ループ。
これを実現させるのはかなり大掛かりな仕掛けが必要だと思ってた。
だけも、もっと単純な事で良かったんだ。
放送に細工をすればいい。
『放送部が送ります。皆のラジオです』
学園にはあった。
都合の良いラジオ。
「ハァ……ハァ」
「赤山?大丈夫か??」
放送部員で好きな内容を考えられる。
ここに洗脳を可能にする呪文でも何でも仕込んでしまえば……後はみんなが自然と洗脳される。
黒幕は動きを見せることなく、皆が財人の事が好きなハーレム学園を作り上げられる。
ウチみたいに、ハプニングで洗脳が解ける人間が居たらその時はゆるりが対処する。
「ちょ、鼻血出てるぞ?大丈夫かよ」
「俺達の声が聞こえて無いのか??」
非の打ちどころもない、シンプルな答え。
なら、ここから黒幕だってあぶりだせるはず。
思い出せ。
思い出すのよ。
ウチが一番最初に洗脳ループを抜けた日の事。
洗脳耐性も持っていない、ただただ頭を打って洗脳から逃げたあの日。
「朱里ちゃんは今、戦ってるわ」
「戦ってるって何と」
「黒幕とよ……今の私達がそれを止めるのは無粋ね。私達に出来る事は、朱里ちゃんをフォローする事だけ」
あの日は……最初は洗脳されて学園に来てた。
違和感を感じて家に帰ったのに、うちはまんまと洗脳の罠にはまってハーレム要因として学園に行った。
でもあの時。
『ウチは……洗脳されている』
『ウチは……洗脳されている』
『ウチは……洗脳されている』
この声がずっと心の中で響いていた。
きっと本来なら、昼の放送を聞いて洗脳ループにハマり、この心の声がかき消されるはずなのよ。
でも、あの日それはおらなかった。
あの日に何かあったはずなのよ。
黒幕にとってのアクシデントが。
洗脳ループに不備を起こす何かが。
「あぁ!!あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「赤山!!大丈夫か」
「まずいわね……朱里ちゃんはおそらく、黒幕の正体に辿りついたのよ」
「でもそれって良い事だろ??」
「黒幕には認識阻害があるわ……力技にも程があるけど、きっと正体を知ったらただで済まないダメージが脳に帰ってきてるのよ」
「そんなのズル過ぎんだろ」
痛い。
痛い痛い。
痛い痛い痛い痛い。
『諦めて僕の洗脳を受け入れると良いよ』
あぁそう。
この頭痛は……認識阻害で。
『大丈夫。少し受け入れるだけで良い。そうしれば、君はまたあの頃の君に戻れる』
あの頃ですって?
『そうだよ、何も知らない。ただただ、財人と僕たち六華と、学園の皆と騒がしく生きていたあの時に』
それを受け入れたら、この頭痛も収まるの?
『当たり前だろう?だからー』
「断るわ」
馬鹿じゃないの??
ここまでやってきて、今更こんな痛みでウチが止まるとでも??
それだけじゃない。
黒幕。
アンタは大バカ者よ。
『一体何を』
彼女が黒幕かもしれない。
そうウチが考えた瞬間に、こんなに認識阻害を強くしちゃって。
そんなの、私が犯人ですって正直に答えている様なものじゃない。
『だからどうした?君はその答えを待ち帰れやしない』
いいや、意地でも持ち帰るわ。
『仮に、君が僕の正体を知ったところで、他の人間に共有は不可能だ……君以外の人間にこの認識阻害は耐えられない』
そんなの、後で考えるわ。
うだうだと、逃げの言葉ばかりで腹が立つ。
アンタ状況分かってんのかしら。
もう、ウチはアンタの正体を掴んだ。
知った。
確信した。
この情報がまともな手段で仲間に共有できないなら、別の手段を探すだけ。
その手段が見つかるまで、ウチが持ち続ける。
もう逃がさないわよ。
この洗脳ハーレムの黒幕。
いや……【螟ゥ荳顔オア鬥?】。




