モモ -告- 前半
「ねぇ朱里ちゃん。それって、学園では出来ない話かしら?」
「出来ないわね。学園の外で、ウチら以外にだれもいないばしょでしか話せなかった」
「あらぁ。もしかして私と朱里ちゃんでえっちな事でもするのかしら?」
「んなわけないでしょ!!」
「そうでしょうねぇ。だからこそー」
ちゃんとした理由が聞きたいわ。
モモの視線はそう訴えているように見えた。
「財人君も、学園外の大人まで巻き込んで、しょうもない話だったら、私、がっかりよ」
「ええ。ちゃんと話すわ」
財人と零はモモを呼び出してくれた。
だからここからはウチの番だ。
モモの洗脳を解く。
「単刀直入に言うわ。学園のみんなは今、何者かによって洗脳されてるの」
「ちょ?!」
「おま、バカか?!いきなりそんなこと言って誰が」
「モモなら分かるわ。ウチが嘘を言っているかどうかぐらいね」
そう。
これで良い。
下手な嘘や前置きはいらない。
モモ相手に限ってはね。
それにウチの最終目標はモモを洗脳から解放すること。
委員長や財人の時を思い出すと、直接的な言葉をなげかけないと洗脳は解けないはず。
どのみち、これが最適解。
「随分と私を買ってくれてるみたいねぇ朱里ちゃん。でも、そんな事、本当に信じると思う?」
「えぇ。だってモモはウチが洗脳されているか否か、無意識に判別出来るんだもの」
「へぇ?そんな自覚、まったくないわよぉ」
「これを見ても同じ事が言えるかしら?」
ウチがポケットから取り出したのは頭痛薬。
側から見れば、ただの市販薬。
でも、モモにとっては違うはずよ。
「朱里ちゃん、それはー」
「そうよ。少し前にアンタから貰った頭痛薬よ」
「まさか朱里ちゃん、あなたの体調不良は低気圧じゃなくて……洗脳の副作用だったって言うつもり?」
「そうよ」
ただ一言。
それだけ答えた。
代わりにモモの目をジッと見つめる。
アイツの人を見る目が何を根拠にしているかは知ら無い。
でも、じっと目を見つければアイツは気付く。
ウチが嘘を1つもついていないことも。
ウチの異常が低気圧では片付かないことも。
「なるほど……朱里ちゃんが言いたい事、何となく分かった気がするわ」
「ならー」
「その洗脳、きっと大きく関わってるのはゆるりちゃんよね?」
「な?!」
どうしてモモの口からゆるりの名前が?!
さっきの話でゆるりイコール黒幕サイドまでは辿り着けないはずでしょ?
「分かるわよぉ。最近のゆるりちゃんの態度を見ていればね」
落ち着きなさい。
モモがゆるりの名前をだしたのは大した問題じゃないわ。
「でも、それなら結論は こうね。洗脳というのは朱里ちゃんの勘違いよ」
この一瞬でモモの目が虚になってる。
モモが真実に気づき始めたから、洗脳が認知のズレを起こそうとしてるんだ。
「ゆるりちゃんは何だかんだ誰かに甘えるのが得意だものね。あの子の味方が増える光景が洗脳に見えるのも分からなくないわ」
本当に厄介ね。
洗脳ってやつは。
でも、好都合よ。
ウチの用意した言葉の弾丸はまだまだあるんだから。




