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アンタならそうする

 「淡野は来るかな」

 「発案者はアンタでしょ?もっと自信持ちなさいよ」


 腕まで縛って。

 あんな写真まで送って。

 成果0になんかなったら困るわよ。


 そんな会話をしながらウチと財人は公園でモモを待つ。


 「モモは来るわ。きっと一人で」

 「そうだよな。あいつ、優しいし」


 零はスマホをいじりながら近くの土管に座ってた。

 いや、今更だけど土管のある公園って何よ。

 まぁ、バレにくい場所って事で零が教えてくれた所だから知らなくて当然だけど。


 「てか、零は呑気にスマホいじってて大丈夫か?」 

 「そうよ。モモが来た時どうすんのよ」

 「安心しろ。誘拐なんて現実でしちゃう馬鹿は、頭悪くて能天気って決まってんだ」

 「だから?」

 「むしろこの方が自然体だよ」


 不安だ。

 本当に大丈夫なんでしょうね。


 「ま、まぁ赤山。零はやるときはやる女だから」

 「そ~そ。てか、お前らもボチボチ黙っとけ」


 まぁ零の言うとおりね。

 財人と喋ってる所、見られるわけにはいかないし。


 そうして、ウチと財人はぴたりと会話を止めた。

 モモが見た時誘拐された被害者と誘拐した加害者に見えるように、今のうちから演技を始める。


 すると、バタバタと足音が聞こえてきた。


 「朱里ちゃん。財人くん」


 モモが焦った形相で公園に走りこんで来た。


 「モモ」

 「これは一体どういう事なの、どうして財人君が朱里ちゃんの事を?」

 「えっと……それは」


 玩具のナイフを財人が取り出す。

 3人で頑張って塗装した甲斐あってか、傍から見たらガチのナイフに見えるわね。


 財人は荒い息を立てながらウチにそのナイフを向ける。


 「そ、それは」

 「おいおい財人。もっとまじめにやってくれよ~」

 「え?」

 「それじゃぁ、仕事にならないって。言っただろ?これは大金が掛かった仕事なんだって」


 零が演技で合わせてきた。

 

 「あら……貴方が財人君を脅してるって解釈で良いのかしら?」

 「脅してるとは人聞き悪いなぁ。さっきも言ったろ?これは仕事だよ、な」


 こ~わ。

 なんか闇バイトの動画見て勉強するとか言ってたけど、めっちゃ怖いじゃない。


 まぁでも、計画はこの前計画した通りになってる。

 あとはー



 『なるほどな、わざと事件を起こしてターゲットを呼び出したいと」

 『そうだ。俺も洗脳状態だったから記憶がふわふわしてるけど、モモは良いやつだ。秘密とか結構守ってくれるし口は堅い』


 作戦会議で財人がそう言いだした時には焦ったわね。

 ウチに対して財人が酷い事をしている体にして呼び出す。

 本当に危なすぎる作戦よ。

 他の人に見おられたらどうするつもりだったのかしら。


 『まぁ、財人のやりたいことは分かった。私も加害者役に加わってよりリアルさを引き出してやる』

 『ほんとうか?』

 『ただ……問題は一つ。呼び出した後にモモって子が私達の話を聞いてくれるかだな』


 零の指摘に財人は少し困った様子だった。

 まぁでも、考えたら分かる話よね。


 ウチ達の目的はモモを一人呼び出して、洗脳についての話をすること。

 だから、呼び出した後に『学園が洗脳されてるの、だからウチ達の仲間になってほしい』って説得する必要がある。


 『どこに世界に、こんな悪趣味なドッキリ仕掛けた後に話を聞いてくれる聖人が居るかって話だ』

 『た、確かに』

 『それにただでさえ洗脳って現実離れしてる話だ……最悪味方になるどころか縁を切られるぞ』

 『上手にネタバラシすれば何とかならないか?』

 『無理だろ……有名インフルエンサーでも炎上するぞこんなもん』

 

 確かにそんなリスクもあるわね。

 でも、多分。


 『モモに限ってはその心配はいらないと思う』 

 『は?なんで』

 『ネタバラシする必要も無いわ』

 『だ・か・ら!!なんでだよ!!』

 『簡単よ。だってモモならきっと』



 「赤の他人まで巻き込むなんて、随分大掛かりな仕掛けねぇ」

 「それは皮肉か?」

 「あなたに言って無いわ。お姉さん」


 モモの目がジッとウチを見つめる。


 「私は貴方に言ったのよ、朱里ちゃん」


 そう。

 きっとアンタならそうすると思ってた。

 というか、こうならないとおかしいまであるわね。


 『午前体調が悪そうなときも、午後にはすっかり元気だからぁ。自覚が無いだけで特別朝が弱いのかもしれないわぁ』

 『朱里ちゃんも烈火ちゃんも様子がおかしかったから、気にかけてたのよぉ』


 モモはいつも、ウチが洗脳にかかってない事を無意識に認識してた。


 『もしかして……モモったら、統香(とうか)の投げるボールの軌道が分かるの?』


 ドッジボールで軌道を呼んだこともあったわねぇ。

 

 そう。 

 そんなモモなら、こんなウチらの芝居なんて見破って当然よ。


 「どうしてこんなドッキリなんて仕掛けたのかしら?」

 「あんたに話したいことがあったからよ、モモ」

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