赤山朱里のリベンジ
「そうか……やっぱり俺は皆の事を」
「まぁ、アンタも被害者よ……責任感じることは無いわ」
あの後、財人には全部話した。
学園が洗脳されている事。
洗脳された人間は、財人を中心としたハーレムを作る事。
それに、洗脳ループとゆるりの事も。
「でも嫌だっただろ?洗脳されてたとはいえ、好きでもない男と一緒に過ごすなんて」
「否定はしない。でも、それは財人のせいじゃない」
「そうか……赤山は許してくれるんだな」
許すも何も、財人は悪くない。
ウチと同じ洗脳の被害者なんだから。
「フォローしとく。洗脳とか関係なしにアンタの事好きな子は居るよ」
「え?ま、まじ?!」
「誰かって言うのは……本人の為に言わないでおくけど」
勝手にばらしたら委員長に後で何をされるか。
分かったもんじゃないわね。
「ねぇ財人……ウチ、どうしたら良いのかな」
委員長。
本性はとんでもないヤンデレで、だいぶ引く所もあったわね。
でも、洗脳であのヤンデレ部分は無くなっちゃう。
あの委員長は……もう見れないかもしれない。
「学園をこのままには出来ない……でも、手詰まりなの」
洗脳ループも解析できてない。
ゆるりの呪文に対抗できる術がない。
たとえここで財人を仲間にするとして。
また、六華全員の洗脳を解いたとして。
『イヤ、イヤ、カストルム、フタグン。イヤ、イヤ、ミ=ゴ。ミ=ゴ・カストルム、フタグン』
この呪文でひっくり返される。
洗脳ループで自動的に洗脳される。
それにウチは既にゆるりや黒幕に目を付けられてる。
こんな状況で、どうやって戦えば良いの?
「なぁ、赤山……辛いなら降りたって良いんだぞ」
「何を言ってー」
「その代わり、俺が戦うよ」
財人の声は真剣だった。
軽い言葉じゃない。
本気で、ウチを心配してそう言ってる。
「さっきの話聞いてたでしょ?!洗脳に耐性がないあんたじゃ、ゆるり達には勝てない」
「そうかもな。実際、黒川に何かされた記憶はあるし」
「でも、これは俺がやらなきゃいけない事だから」
財人だって馬鹿じゃない。
今の話を聞いて、楽観視してる訳でもないんでしょ?
「赤山は俺も被害者だって言ってくれたけどさ、やっぱ責任の一端は俺にもあるだろ?なら、やっぱり俺が動いてこの洗脳を止めるべきだ」
そんな責任感だけで、アンタは戦うって言うの?
ウチはもう、怖くて前に進める気さえしないのに。
「策はあるの?」
「ない。これから考える」
「洗脳ループはどうするつもりよ。学園に行くだけでアンタはゲームオーバーよ」
「だったらズル休みする。解決策が出るまでな」
なんでアンタは……そんな簡単に次やるべきことが浮かんでくるのよ。
これじゃぁ、止まってるウチがバカみたいじゃない。
「よくわかんないけどさ。最悪学園ぶっ壊せばいいんじゃないの?」
「零?!」
ふと、横を見ると虚空零が立っている。
「あぁ悪い。盗み聞きするつもりは無かった。まぁちょっと気になってさ」
虚空零はじっとウチの目を見つめる。
「洗脳?ハーレム?私にはちっとも分からないよ。けどまぁ、朱里だっけ……君は、諦めたくない。そうだろ?」
諦めたくない?
そうよ。
諦めたくないに決まってるじゃない。
ウチはそもそも自分が洗脳されてるのが嫌だった。
委員長も、財人も、洗脳されている姿を見ると心が痛むわよ。
皆、自分の大切な願いを捻じ曲げられてるんだから。
「解決策が出ないなら相談すればいいんだよ」
「でも」
「君に出てきたか?学園を破壊するとか、ズル休みするって発想がさ」
そう言えば……委員長と一緒だったから財人の事情を知れたんだったわね。
ウチ一人だったらずっと財人を犯人だと疑ってた。
なんなら、ストーキングするとか盗聴するとか、絶対思いつかなかった。
「財人、あとえっと」
「好きに呼びな。虚空さんでも零ちゃんでも良いよ」
「じゃぁ、零」
「呼び捨てかよ。まぁ良いけど」
ウチは……諦めたくない。
一度は負けた。
してやられた。
委員長も持っていかれた。
でもー
「ウチ一人じゃ、あの洗脳ハーレムを壊せない。だからー」
財人が正気に戻った今。
完全に部外者で白確定の零が協力してくれてる今。
この今は幸運だ。
ゆるり達に反撃するなら、ウチはこの幸運を絶対に手放しちゃいけない。
「ウチに力を貸してほしい」
「当たり前だろ!!」
「まぁ、私は出来ることだけな」
ウチのリベンジはここからだ。




