表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/33

黒川ゆるり

 「じゃぁアンタは、ウチにこの学園での楽な過ごし方を教えてくれるって訳?」

 「ゆるり、最初からそう言ってたとおもうけど」

 「ふざけんじゃないわよ!!」


 気づいたら、走ってた。

 軽率な行動だって分かってる。

 でも、動かずにはいられないわよ。


 「ちょ、ど~してしゅりちが怒るのさ?」

 「当たり前でしょ?アンタ、自分でを言ったか分かってるの?」

 「だ~か~ら~。この学園の洗脳を上手く使えばー」

 「そういう話をしたいんじゃない!!」


 ウチは知ってる。

 自分が洗脳されたと知った時のあの嫌悪感を。

 自分が自分じゃなくなってた時間が確かにあることを知った時の気持ち悪さを。


 「アンタの言う好き勝手の裏に、どれだけの犠牲があるのか分かってるの?!」


 それだけじゃない。

 この洗脳ハーレムはもうすでにウチだけの問題じゃないんだ。


 委員長だって、自分の恋心を捻じ曲げられてる。

 確かに委員長の恋はちょっと行き過ぎだけど……それでも財人に対する感情は本物だった。


 あれだけ財人を好きなのに。

 自分で独占したいとまで強く願っているのに。

 その根っこを曲げられてハーレムの維持を強制されている。


 直接委員長から聞いたわけじゃない。

 でも、きっとかなりのショックを受けてるはずよ。


 「いや、犠牲って」

 「六華や他のクラスメイトだけじゃない。財人だって洗脳の被害者になってんのよ」


 そうよ。

 ハーレムの中心に据えられてる財人だってこんな事望んでないはずよ。

 

 アイツは惚れた女に振られても、涙を見せないようにってこらえるぐらい優しいやつなのよ。

 そんな財人がこの洗脳ハーレムを知ってみなさいよ。

 悲しむに決まってるじゃない。


 「アンタは……自分さえよければそれでいいの??そんな事で本当に良いと思ってるの?」


 ゆるりの胸倉をつかむ。

 こいつの根性を叩きなおしおてやらないと気が済まない。

 一発殴ってやらないと気が済まない。


 「良いに決まってるじゃん」


 あ、あれ?

 なんで……視界が……ぐるっと回って?


 「だってゆるりの人生の主人公はゆるりなんだから」

 「朱里さん!!」


 体が……飛ばされてる?

 ゆるりが、ウチを投げ飛ばした?!

 あの体勢から?


 てか、机とかパソコンが置いてある視聴覚室なんかで投げられたら……ウチ。


 「大丈夫です。烈火が受け止めます」

 「委員長」


 ウチの体は委員長に抱き留められる形で止まった。

 

 「ありがとう委員長」

 「礼は後です。それにしても、さっきのは一体」


 ゆるりがウチを投げる。

 普通に考えてあり得ない光景よ。


 あいつとの喧嘩なら、ウチが負けるはずないのに。

 

 「凄いでしょ~。これも洗脳のおかげ。ざいとっちと一緒に柔道部の見学に行ったことがあるの」

 「それで覚えたと?投げの技術を」

 「そそ。他にも色んな事を教えてもらったなぁ」


 何なのよそれ。

 そこまで来たら何でもありじゃない。

 この後ウチはどうすれば。


 「一つ、確認させてくださいゆるりさん」

 「どったのれっかち?」


 「あなたは学園に洗脳をかけた犯人ですか?」

 「ん~。れっかちは正気で居られる時間も少ないだろうし……ちょっと温情?ってやつで教えてあげようかな?」


 よっと服の埃を払うゆるり。

 ウチらなんて何とでも出来るって言いたげね。


 「学園に洗脳をかけたのはゆるりじゃないよ。というか、ゆるりも黒幕ちゃんの顔知らないんだよね」

 「なら、貴方は利用してるだけだと」

 「せいか~い」


 ウチらの敵は、ゆるりともう一人。

 

 「ねぇしゅりち。諦めようよ」

 「何を」

 「しゅりちがちゃんと正義感を持ってるのは分かったよぉ。でもさぁ、そんなもの荷物にしかならないよ。さっさと捨てて楽になろ~よ」


 きっと、ゆるりにとってこの誘いは善意なんだと思う。

 嘘を言っている感じも、洗脳されてる感じもしない。

 悪意も感じないしね。


 「ウチの答えは変わらない」

 「えぇ?」


 でも、ハッキリ言える。

 ゆるりのやり方は間違いだ。


 「この話は平行線よ。ウチは絶対ゆるりの提案を飲まない」

 「ふ~ん。そうなるんだぁ……どうしよっかなぁ」


 どれだけ口で言ってもゆるりが理解しないなら、殴ってでも間違いを指摘してやる。

 

 「ごめんね委員長。ウチ、感情任せに喋ってた」

 「構いません。烈火も、貴方と同じ気持ちです」


 それが洗脳耐性を持ったウチのやるべき事だと思うから。


 「まぁいいや。ここでしゅりちを拘束して……後の事はミ=ゴっちに任せよ」

 「ミ=ゴ?」


 初めて聞く言葉。

 きっと洗脳に関係ある何か。


 「朱里さん、来ますよ」

 「分かってる」

 「どんだけ意気込んだって無駄だよ。今のゆるりに二人は勝てないからさぁ」


 さっきの投げを考えたら、ウチと委員長の二人でゆるりを抑えられるか分からない。

 でも、やるしかない。

 覚悟を決めてー


 「今よ統香(とうか)ちゃん。ゆるりちゃんを抑えて」

 「えぇ、心得ておりますわ!!」


 「え?」

 「は?」


 バンと、扉の開く音。

 そこから飛び出てきたのは、六華の中でも一番力のある統香(とうか)だ。


 統香(とうか)はそのまま、ウチらに襲い掛かろうとしたゆるりを拘束した。


 「一体何がどうなって」

 「赤山さん、比奈野さん、大丈夫ですか?」

 「(みのり)まで?!」


 よちよちとウチらに駆け寄ってきたのは(みのり)だった。

 一体何が起きてるの??


 「朱里ちゃんも烈火ちゃんも様子がおかしかったから、気にかけてたのよぉ」


 (みのり)の真後ろから声がする。

 そこには身長の高いエロ女が、心配そうな顔でウチを見つめていた。


 「アンタは……モモ!!」

 「凄く大変そうな事になってるわねぇ。私達にも教えてくれないかしら?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ