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財人の秘密

 「財人君????嘘ですよね???告白なんて」

 「ちょ、落ち着いて。てか!!委員長は財人が告白するつもりなの知ってたんでしょ?」

 「それはそうなんですが……明日なんて急すぎます」


 駄目だこりゃ。

 委員長は一旦置いといて、ウチがしっかりと財人の情報を掴まないと。


 『おにぃ。前も言ったけど、(れい)ちゃんはやめよ』

 『どうして分かってくれないんだ(ゆう)


 「(ゆう)っていうのはー」

 「妹さんのお名前です」

 「補足ありがと」


 感情がバグっててもこういう所はしっかりしてくれるのね。

 情緒どうなってるのよ。


 『じゃぁ聞くけど。おにぃ、(れい)ちゃんが今どういう状況か分かってるの?』

 『大学に行ってるだろ?あと、バイトも色んな業種を軽々してるって』

 『その大学を2回も留年してあげく、バイトはバックレの常習犯』



 ん??

 なんか、妹ちゃんからとんでもない発言が聞こえた気がするんだけど、ウチの勘違いよね。


 『そ、そういう一面もある……人間、欠点の一つや二つあるものだ』 

 『そう言えばおにぃ。この前、(れい)ちゃんとゲーセン行ってたよね』

 『な、なぜそれを』

 『一緒に何のゲームをしてたか正直に答えてごらんよ』


 財人の歯切れが悪い。

 あ、あれかな。

 財人ってオタクだし、妹ちゃんには言いづらいガチガチのゲームやってたとか。


 『メ、メダルゲーを』

 『へぇ、どんなメダルゲー?』

 『いやぁ、いたって普通のだな』

 『おにぃ?ゲーセンに置いてるパチンコ台を普通のメダルゲーって言うのは無理があるんじゃない?』

 

 うっそでしょ?

 財人の思い人……虚空零(こくうれい)だっけ?

 とんでもない化け物じゃん。

 

 えぇぇぇ。

 財人ってこういう女がタイプなの??


 『アレはパチンコじゃない!!スロット台だ』

 『へぇ。スロット打ってたんだ』

 『あ、しまった。あ、いやその、これは違くてだな?』

 『ど~せおにぃのお金で遊んでたんでしょ?』

 『いや、それはメダルを増やして返してくれたから』


 カモにされてる!!

 いや、やめときなって!!


 財人が何考えてるか全然分かんなくなってきた!!

 なんでそんな女に告白するつもりなのこいつは。


 「財人君……どうして??烈火なら、烈火ならぁ、財人君にこんなひどい事しないのに」


 委員長が泣きそうになってる。

 いや、委員長も大概だよ??

 普通に盗聴してるし、髪の毛集めてるし。


 『良いおにぃ。(れい)ちゃんみたいな女は外から眺めるぐらいがちょうどいいの。身内や恋人になんかなったら、巻き込まれてお陀仏だよ』

 

 『それは、俺が支えれば何とかなる』


 『あ~神様。どうして童貞オタクの近くに(れい)ちゃんみたいな女を生んでしまったの』


 あぁ……頭が痛い。

 どうしよ。

 ぶっちゃけ洗脳されていた時よりも脳疲労が半端じゃない。


 じゃぁ何??


 学園では【財人中心のハーレム】が起こる洗脳がはびこってて??

 委員長はヤンデレで??

 財人には思い人が居て??

 その思い人がダメ女って事??


 「何がどうなったらこうなるのよ!!」


 あぁ、もう滅茶苦茶よ。

 これ以上、盗聴続けても有益な情報は出ないんじゃないの?


 『確かに、(ゆう)の言う通りなのかもしれない』

 『でしょ?やっと分かってー』

 『でも、ごめん。俺はやっぱり(れい)に告白する』


 委員長に『もうやめよう』って声をかけようとした矢先だったと思う。

 財人のその言葉が聞こえたのは。


 『どうしても好きなんだ。世間で(れい)がどう見られてるとか、年齢が離れてるとか、そんな事どうでも良いって思えるぐらい(れい)が好きなんだよ』


 「なによ……それ」

 「朱里さん?」


 盗聴器越しでノイズが酷い。

 その上、財人が今どんな顔で話しているのか分からない。


 『(れい)と一緒にいるとさ、楽しいんだ。俺の知らない世界を見せてくれて、こんなに楽しい事があるんだって教えてくれる感覚があって』


 でも、一生懸命に話してるように思った。

 今の財人は、ピュアな恋心を必死に話すウブな普通の男子高校生だ。


 「じゃぁ何で!!アンタを中心にしたハーレムなんか作ってるのよ!!」


 ウチは洗脳でアンタの事好きにされてたのに。

 どうして財人は普通に自分の恋を謳歌してるのよ。


 学園でウチがどれだけ気持ち悪い思いをしてきたか!!

 学園であれだけ洗脳にあらがって自分を保ってきたのに。


 「なんで洗脳の中心にいるアンタが普通の恋をしてんのよ!!」


 これで財人が黒幕なら、きっとウチはアイツを許さない。

 心の底から軽蔑する。


 でもー


 『はぁ、どれだけ言ってもその意志は変わらないのね』

 『あぁ!!これだけは絶対曲げられないからな』


 もし……万が一。

 百歩……いや、千歩譲って……財人もウチと同じ洗脳の被害者だったら?


 学園に戻ったら虚空零(こくうれい)への恋心なんて洗脳で忘れさせられて。

 ウチや委員長、他の六華を好きになるような洗脳を浴びているのなら。


 「アンタがあれを望んでないなら……こんなに可哀想な事はないじゃない」


 まだ、確定は出来ない。

 ウチが今しているのは盗聴だけだ。

 財人が白か黒か判別するには、余りにも情報が少ない。


 「ねぇ、委員長」

 「なんですか?」

 「明日、財人が虚空零(こくうれい)と一緒に居る所を直接見たい」


 直接見てやらなきゃ気が済まない。

 本当に財人が虚空零(こくうれい)って女が好きなのか?

 それとも、見た目が好きな女をかたっぱしから洗脳しているのか?


 直接見て、確かめる。


 「分かりました。ストーキングには心得があります」

 「まさかそんな言葉にほっとする日が来るなんて……世も末ね」

  

 財人が黒幕だったらボコボコにする。

 財人がウチと同じ被害者なら、助けてあげないといけない。


 それを判断するにしても、まずは直接見る所から始めないと。

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