作戦会議2
「なるほど。大体の事情は理解しました」
委員長の衝撃性癖カミングアウトから一時間。
ウチは今までの情報を包み隠さず共有した。
「洗脳ループ、これが一番厄介ですね。朱里さんの日記の内容的に、私や他の六華も、記憶に残っていないだけで洗脳が解けた時があったのかもしれません」
委員長はウチの話をすらすらと飲み込んでくれる。
要点はまとめてくれるし、こっちの言いたいことは完璧に理解してくれる。
「朱里さん……こんな秘密を一人で抱えていたなんて。大変だったでしょう」
いつもの委員長で良かった。
これでこそ仲間にしたかいがあったってものよ。
「えぇ、大変だった」
「もし、愚痴とかあるなら聞きますよ。吐き出す相手なんて居なかったでしょう?」
でもね。
でも、一つだ系痛い事があるわ。
「なら委員長、一つ良い?」
「はい。」
それはね。
「怖い怖い怖い!!!アンタが怖い!!」
「え、えぇ!!私がですか?洗脳に関する異常ではなく?」
「他に誰が居るのよ!!」
いや、百歩……いや千歩譲って委員長がトンデモヤンデレだったのは良いわ。
良くないけど!!
ギリ納得できなくもなくもなくもない。
プライベートの性格が普段と違うなんてよくある話だし。
問題はこの切り替えの早さよ。
何でさっきの『烈火はぁ』のフェーズからいつもの真面目な委員長に戻れるの??
「た、確かにさっきはお見苦しいものを見せてしまいましたが」
「あ、自覚はあるのね」
「あんな姿、本当は誰にだって見せたくありません……きっと、洗脳の事と財人君の事で一杯になって感情があふれてしまったんです」
委員長の顔が赤い。
その上、泣きながら忘れてくださいって言ってるわ。
「ま、まぁひとまず……頑張って飲み込むわ。委員長は普段からウチらをぶっ飛ばしたいとかは考えていないって事だもんね」
「そ、それは場合にもよりますけど」
怖いよ!!
てか話進まないじゃん。
もうこれ以上、ウチの脳に重労働させないで。
「と、ともかくです。私は全力で朱里さんに協力します。二人でこの馬鹿げたハーレムをぶっ壊しましょう」
「それだけは同感ね」
そうは言ったものの、これからどうするか。
ウチは自分で出来ることはやったつもり。
こっからの策はぶっちゃけない。
「委員長、何かいい案は無い?」
「とりあえずは一つ。洗脳ループの開始地点を特定しましょう」
間髪入れずに委員長は案を出す。
「まず、整理しますが……現在朱里さんは洗脳への耐性を得てしまって、洗脳ループがいつ行われているかを特待することが出来ない」
「えぇ、間違いないわ」
「そして、私達が無策で月曜日に学園へ行けば……確実に私は洗脳ループを受け、正気では居られなくなる」
「そこも間違いないわね」
バキって音鳴らしてシャーペンおらないで委員長。
怖いから。
「ッ……失礼」
何かカバンから取り出したんですけど?
お守り?
「すぅ……落ち着きました」
「なんか、お守りの匂い嗅いでたけど……それ何?」
「あぁ、落ちていた財人君の髪の毛を何本か入れて作ったお守りです」
聞かなきゃよかった!!
聞かなきゃよかった!!
あぁぁぁぁぁぁぁ最悪だよもぉぉぉぉぉぉぉ。
ウチの中にある委員長像がどんどん壊れていく。
「さて、話を戻します」
「何の話してたんだっけ?」
「このままだと私が洗脳ループの餌食になると言う話です」
そうだったわね。
あまりにツッコミどころが多すぎてまともに議論できないわ。
「私達はこれを逆手に取ります」
「ていうと」
「わざと私は洗脳されるんです」
「は?」
「そして、洗脳された私を朱里さんが観察するんです」
そうか。
ウチは洗脳耐性があるから洗脳ループの影響を受けない。
洗脳ループをもろに受ける委員長を観察すれば、どのタイミングで洗脳ループが始まってるか観察できる。
「でも、危険すぎるよ」
「洗脳に対抗できる具体的な方法は見つかっていない今、これしか方法はありません」
「委員長は良いの?また自分が洗脳されるんだよ」
「自分が洗脳される恐怖の中、何度も戦い続けたのは貴方も同じです。大丈夫、私を信じてください」
ぎゅっと、委員長がウチの手を握った。
あぁ……そうだ。
確かに委員長はとんでもないヤンデレだけど、ウチが知ってる真面目で頼りになる姿も間違いなく委員長なんだ。
「べ、別に心配なんてしてないわよ。やっと手に入れた仲間が居なくなるのが困るだけよ」
「えぇ。そうですね」
まぁ、何はともあれ一件落着ね。
委員長の裏の顔がもっとまともなら良かったんだけど、それは高望みね。
「さ、この調子で反撃していくわよ!!待ってなさい、財人!!」
「ねぇ朱里さん……一つ、私も質問して良いですか?」
「どうしたのよ」
「朱里さんは……本当に財人がこの事件の黒幕だと思ってるんですよね」
何言ってるのよ。
当り前じゃない。
「そもそも、こんなハーレム作る動機なんて、財人にしか無いでしょ?」
「いや……だとしてもおかしいです」
えぇ。
それは委員長が財人が好きだから疑えないってだけじゃないの??
「だって私は……烈火は知ってるんです」
「知ってるって何を」
また烈火モードに入っちゃった。
駄目ね、こりゃ。
多分暴走してるんじゃー
「財人君は……近日中に告白する予定なんですよ」
「へぇ、告白ねぇ……って!!何それ!!相手は誰よ!!」
「近所に住んでる大学生の……あぁ、どうして財人君!!あんな女より絶対烈火の方が良いのに!!」
どういう事?
財人に好きな人が居るなんて、そんな素振り全く見せなかったじゃない。
「委員長、その情報詳しく教えて」
「えぇ、烈火も……じゃなくて、私もそうした方が良いと思ってました」
そう言いながら、委員長はスマホで時間を確認する。
「ただ、今日は長居しすぎです。あんまり普段と離れた行動を取ると怪しまれます」
「じゃぁどうするの」
「明日、またこのカラオケ店前で集合しましょう。財人君の事は、その時に」




