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財人こと好き?嫌い?

 「委員長ってさ。分からない問題があった時どうするの?」

 「参考書を読んで自己解決します。答えに解説が載っている問題集なんかもおすすめですよ」

 

 カラオケに来てるのに歌わないなんて不思議な感じ。

 まぁ、ドリンクは飲み放題。

 カフェと違って長居しても怒られない。

 ある意味理にはかなってるのかも。


 「だぁぁぁぁ……つかれたぁ」

 「もう一時間は経ちますからね。休憩しましょう。朱里さんは何を飲みますか?」

 「ウチはココア飲みたい」 

 「分かりました。ちょっと待っててください」


 さて、委員長が飲み物を取りに行ってくれている間に考えを整理しましょう。

 委員長を学園外に呼び出す事には成功した。

 

 あとはどうやって委員長の洗脳を解くかよね。

 一応、日記帳は持ってきた。


 でも、これをパッと見せるだけで洗脳が解けるとは……思えないわね。

 少なくとも、ウチが委員長の立場なら『特殊な趣味を持ってるんですね』で終わる気がする。


 ならやっぱり、財人の事で詰めるのが一番。

 ウチがそうだったように、好みのタイプを捻じ曲げて財人が好きになる。

 これが洗脳内容の基本で間違いないはず。


 だからこれで詰めよう。

 本当は財人の事なんか好きじゃないんでしょうって。


 「お待たせしました」

 「ありがとう委員長」


 あぁ。

 いざって時に緊張してきた。


 大丈夫。

 落ち着いて。


 委員長は……ドアを閉めた。

 外から会話を聞かれる心配はしなくて良い。 

 ココアを少しだけ飲んで。


 「ちょ、朱里さん?!そんな勢いでココアを飲んだらやけどしますよ」

 「だ、大丈夫。ちょっとね」


 落ち着きなさい。

 イメージトレーニングは沢山やったでしょ。


 「委員長、実はね」

 

 今までを思い出しなさい。

 洗脳されて、好きでもない男を好きになって。

 この異常を治そうにも碌な手掛かりはない。


 「勉強の他に……相談に乗ってほしい事があるの」


 悔しい思いも沢山した。

 ウチひとりじゃ、この洗脳ハーレムには届かない。

 

 「どうしたんですか、改まって」

 「ウチさ……最近頭がおかしいの」


 だからこれは、反撃への第2歩。

 踏み出すしかないんだ。


 「それは一体どういう意味ですか?」

 「委員長から見て、ウチは財人が好きそうに見える?」

 「何を今さら……六華の全員が財人さんの事が好きなのは分かってますよ」


 委員長の目は……あの時みたいにうつろになって無い。

 大丈夫。

 こっから畳み掛ければいい。


 「確かに朱里さんは素直じゃない所はありますけど、きっと財人さんも分かってくれてますよ」

 「そうじゃないの」

 「え?」

 「最近ね……頭の中で声が響くの『ウチは洗脳されてる』って」

 「朱里さん?一体何を言って」

 「気づいたのよ!!ウチ……本当はもっと別の男が好きだって」


 思ったより大声が出た。

 けど、大丈夫。

 委員長もびっくりしてこっち見てる。


 「最近ずっと頭痛がするの。頭痛がするたびに、財人の事なんか好きじゃなかったって思い出すの!!」

 「いや……あの」

 「そもそも委員長だっておかしいと思わない??あの学園は、余りに財人にとって都合が良い事しか起こってない」


 委員長、頭を抱えてる。

 これって、きっと洗脳が解け掛かってるんだ。


 よし。

 よし。


 良い感じよ。

 ごめんね委員長……痛いよね。

 きっと、洗脳から覚めた後もしばらくショックだと思う。


 でも、貴方を助けるにはこれしか方法が無いの。

 

 「烈火は……信じません。烈火が朱里さんのストレスを見落としてて」


 一人称が烈火になってる。

 委員長のメンタルの限界が近いんだ。


 「じゃぁ、どうして委員長は今、頭を抱えてるの」

 「烈火は……烈火はぁ」

 「今、頭痛いんでしょ?ウチも同じだよ、分かるの」

 「皆……仲良く……一緒に……それが烈火の……望み」

 「違う。洗脳されてるんだよ」


 お願い委員長、正気に戻って。

 もうウチだけじゃ、この状況をどうにもできないの。

 だから!!


 「委員長だって!!本当は財人の事好きでも何でもないんでしょ!!!!」


 思わず、机を叩いてしまう。

 ガシャンとコップが倒れる音。


 地面に飲み物が落ちる中、一瞬静寂がウチ達を包んだ。


 「訂正……してください」

 「え?」

 「烈火が……烈火が財人君の事を嫌いな訳、無いじゃないですか!!!」


 あれ?

 委員長??


 「烈火はぁ……烈火わぁ……誰よりも、誰よりも、誰よりも、財人君の事が好きなんです。六華の誰よりも愛しています。心の底から愛しているんです!!」


 「え、ちょ、委員長??」


 思ってた反応と違う。 

 てか、この感じは。


 「もしかして、委員長も学園を洗脳していた側」

 「洗脳ですか?烈火はそんな事しませんよ!!」

 「え?」

 「大体、洗脳なんて物があるのなら……烈火は財人君を烈火しか見れないようにするに決まってるじゃないですか!!」


 今の言葉……嘘じゃないっぽい。

 じゃぁ、何?

 委員長は元々財人の事が好きでー


 「あぁ、財人君……なんであなたは身の丈に合わない恋をしてしまうの?何であなたは沢山の女の子に優しくしてしまうの?」


 委員長にかかっている洗脳は……ウチと少し内容が違うって事?


 「財人君には烈火が居れば十分なのに……烈火が、烈火だけが、貴方を幸せに出来るのに」

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