仲間勧誘 開始
「ありがとう委員長。来てくれて」
「礼には及びませんよ。珍しいですね、朱里さんが相談事なんて」
翌日の放課後。
ウチは委員長を図書館に呼びつけた。
「それも皆さんに内緒なんて、何かあったんですか?」
「えぇ。委員長にしか頼めない大事な話があるの」
さて、今回の作戦で一番重要なのは学園外に委員長だけを連れ出す口実。
『なら財人さんや他の六華の人も誘いましょう』ってなったらアウト。
もちろん、委員長に怪しまれる様な事もアウトよ。
そんな口実、どこにあるのって感じよね。
だからウチは記憶をたどったわ。
ウチが洗脳されている時、六華の皆とどんな話をしていたか。
そして、思い出した。
『まったく……あんたらこの調子で進学とかどうするつもりよ』
『あらぁ?でもこの前の中間テストは私達の方が上だったでしょう?』
『な?!そ、それは』
『ゆるり達はざいとっちに勉強教えて貰ってたもんねぇ。しゅりちは照れ屋さんだから来なかったけど』
『うっさいうっさい!!』
そう、ウチにはとっておきの口実がある。
委員長に頼み込んでも違和感がない口実が。
『あぁ。何だ、朱里も期末は俺と一緒に勉強しような』
『良いわよ別に!!アンタの力なんかに頼らなくたって、ウチの力だけであのボンクラ二人の成績抜いてやるわよ!!』
その上、六華や財人を誘わない事に説得力を持たせられる口実が!!
「委員長……この前の中間テストの事覚えてる?」
「中間テストですか?朱里さんは別に悪い成績では無かったと思いますが」
「……てんのよ」
「はい?」
「あの時の成績が!!ゆるりとモモに負けてんのよ!!」
何が良いって、この理由なら感情を載せられる事よね。
モモはともかく!!
あのゆるりに成績で負けるなんて、洗脳されてようがされてまいが業腹よ。
「考えられる?あいつ等、ウチも恥ずかしがらずに財人に勉強教えてもらえばよかったのにってマウントとってきたのよ」
「ちょ、落ち着いてください。ここは図書館ですから」
「あ、ごめん」
下手に演技をする必要はない。
この話に関しては、ほぼ本心を話すだけで良い。
「ウチだって、今度こそ財人に教えてもらおうって考えた。けど、勢い余って『アンタに教えて貰わなくたっていいわよ』って言っちゃったから」
「引っ込み、つかなくなったんですね」
財人に関する話だけは嘘ね。
あいつには絶対勉強を教わらないわ。
「分かりました。朱里さんにはいつもお世話になってますし、協力します」
「本当?」
「えぇ。朱里さんがゆるりさんや実さんの面倒をみてくれるから、私は本当に助かってるんですよ」
よし。
ここまでは計画通り。
後は委員長を誘うだけ。
「実はさ、こっそりと勉強しておきたいの。学校の外でもいい?」
「構いませんよ……もし、朱里さんがよろしければ」
「何?」
「近くの駅にあるカラオケ。あそこで勉強しませんか?」
「カラオケ?別にいいけど?」
何故?
普通こういうのってカフェとかなんじゃ?
「実は……私、感情が高ぶってしまうと大声を出してしまうときがあって」
そう言えばー
『烈火がぁ。烈火がちゃんとあの子の面倒を見なかったからいけないんです』
前にそれと似た症状を見たわねぇ。
あれ、洗脳でおかしくなってるんじゃなくて素の性格なんだ。
結構意外かも。
「あぁ……あるわね」
「ちょっと勉強で分からない所があるとイライラする時があって……ついつい」
あぁ。
そう言う癖があるからカラオケだと気が楽なのね。
「にしても意外ね。学園ではそんな素振り見せないのに」
「私、意外と見栄っ張りなので」
まぁなんにせよ、カラオケなら都合が良いわ。
ある程度防音だから、洗脳の話もしやすいし。
「それじゃぁ、明日。金曜日の放課後に駅前のカラオケで集合ね」
「えぇ。お待ちしてます」




