第5話「真夜中の大轟音と、夜明けの集合」
――ズドドドドドォォォォンッ!!!!
世界を裂くような暴力的な衝撃が、3人を叩き起こした。
凄まじい大爆発音とともに地面全体がビリビリと激しく震動し、北西の空が鮮烈な赤とオレンジ色の光に染まり上がる。
放置された工場が吹き飛んだのか、夜空を突き破るように立ち上る巨大な黒煙。
それぞれの部屋で窓辺に駆け寄った3人は、カーテンの隙間越しに息を呑んだ。
隣のショッピングモールの駐車場や店の影から、無数のゾンビが這い出してきたのだ。
足が無事な奴らは、全力疾走で爆音と炎の上がる北西へ一直線になだれ込んでいく。
一方で、脱臼していたり骨が折れたりしている奴は走れず、足を引きずりながら、あるいは地面を這いつくばりながら、遅れて炎の方へじりじりと向かっていた。
部屋の電気を完全に消してカーテンを閉め切っていた3人の家には目もくれず、走れる群れはあっという間に遠ざかり、やがて取り残された足の悪い奴らも夜の闇の中へと消えていった。
夜が完全に明けるまで、3人はそれぞれの部屋で息を殺してやり過ごした。
――翌朝。
東の空が白み始め、遠くの火の手も収まりかけた頃、展示場の通路に3人が音もなく集まった。
「……生きてるか、二人とも」
手になじむバールを握った陽介が、小声で声をかける。
「ああ、心臓止まるかと思ったわ……」
大輝が胸を押さえながら苦笑いした。
「足がまともな奴、あんなガチで走るんかよ。外で鉢合わせたら一瞬で追いつかれるぞ」
「でも、足さえケガしてれば走れないのは救いだな。引きずったり這ったりしてる奴らは動きがめちゃくちゃ遅かった」
蓮が眼鏡を押し上げ、展示場の向かいにあるショッピングモールを指差した。
朝の光に照らし出されたモールの平面駐車場には、あれほどウロウロしていた人影が綺麗さっぱり消え去っていた。
割れた正面入口のガラス扉が開け放たれ、不気味なほどの静けさが広がっている。
「昨夜、窓から見てたけど、駐車場だけじゃない。モールの中にいた連中も、あの爆音と火事に引き寄せられてごっそり外へ飛び出していったぞ」
蓮の言葉に、大輝がゴクリと喉を鳴らす。
「……ってことはよ。あのでかいモールの中、今ほぼもぬけの殻のボーナスステージになってるんちゃうか?」
陽介の口元に、不敵な笑みが広がった。
「決まりやな。奥の倉庫やトイレに取り残された奴や、足が悪くて出遅れた奴が残ってるかもしれんから油断はできんけど、飯や物資をごっそり手に入れるなら今しかない。……行くぞ、貸切ショッピングツアーや!」




