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異世界コレクター ~コンプ済み廃人ゲーマーは転生先でも無双してすべてを集めるようです~  作者: りゅーいち
第1章 ゲームと似た世界

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2 冒険者ギルド

 冒険者ギルドの扉を開けると、そこにはEWOでも見慣れた光景が広がっていた。


 並べられた丸テーブルでは、筋骨隆々の男たちが昼間から酒を飲んでいる。

 EWOでは、あらかじめプログラムされたことしか話さないNPCたちだった。だが今は、誰もが生きた存在として、仁と同じ感情や欲求を持っている。

 見慣れた光景ではあるが、ゲームの中ではないのだと改めて実感した。


 入って右手には掲示板がある。ここから依頼を選んで受付嬢のところまで持っていくと、依頼が受けられるはずだ。


 その受付嬢は、正面奥のカウンターに座っている。こんな荒っぽい雰囲気にもかかわらず微笑んでいるのは、さすがプロといったところか。


 感心しながらカウンターに近づくと、受付嬢から声をかけられた。


「ようこそ、ハクタの町冒険者ギルドへ。ギルドにいらっしゃるのは初めてでよろしいですか?」


 受付嬢はにこにこと人懐っこく笑っている。胸の名札には「マゼンタ」と書いてある。


 なるほど、その名前のとおり綺麗な赤紫色の髪である。切りそろえられたボブもまたよく似合っている。


「そうなのだが、どうして初めてだとわかったんだ?」


「あはは、簡単ですよ。冒険者の証であるネームタグを付けていないじゃないですか」


 そう言いながら、マゼンタは自らの首元を指差す。


 見回してみると、ギルドにいるほぼ全員の首にはドッグタグのようなプレートがぶら下がっていた。EWOではそんなものはなく、冒険者かどうかはステータスに記載されていただけだったのだが。


「というわけで、何も知らない貴方に冒険者のなんたるかを教えてあげます! どうぞこちらにおかけください!」


 ふんすっ、とマゼンタが大きな胸を張りながら、カウンター横のテーブルを指してくれた。


 ありがとう、とお礼を言って座ってみると、返事の代わりに椅子が「ぎぃ……」と不満げな答えをしてくれた。


 マゼンタはカウンター後方に座っている別の職員に声をかけ、受付業務を代わってもらっていた。現実ではごくごく当たり前のことなのだが、仁はEWOとの細かな違いに感動しっぱなしだった。


「さて改めまして、ハクタの町冒険者ギルドにようこそ。受付のマゼンタです。お名前はなんとおっしゃいますか?」


「……仁だ」


 マゼンタが名前だけを名乗ったため、仁もそれに合わせた。


「わかりました、ジン様。早速いろいろ説明させていただきますね」


 ――さて、彼女の話を要約するとこのようなことであった。


 ・冒険者ギルドは世界各地に支部を持つ組織で、人々から寄せられた依頼を冒険者にあっせんし、町や街道の安全を守ることを目的としている。


 ・ギルドが受け取った困りごとは依頼として張り出され、ギルドの構成員はそのランクに応じて依頼を受けられる。


 ・ランクは石(ストーン)、銅(ブロンズ)、鉄(アイアン)、銀(シルバー)、金(ゴールド)、魔銀(ミスリル)、王金(オリハルコン)、金剛鉱(アダマンタイト)、の順で高くなる。もちろん登録時は石(ストーン)から。


 ・ランクの昇格・降格はギルドへの貢献度、つまり依頼の達成状況をもとに判断される。なお、迷惑行為や犯罪行為を行った場合は資格剥奪もあり得る。


 ・依頼は成功すれば報酬がもらえる。なお依頼によっては保証金を預ける必要があるものも存在し、成功すれば返却される。失敗した場合は違約金として没収される。


 ・冒険者であれば、ギルドの買取カウンターで魔物素材や鉱石を売ることができる。その地域で採れる一般的な魔物素材や鉱石であれば、ギルドの定めた基準価格で買い取ってもらえる。もちろん売るかどうかは各個人の自由。


 ・その他、鍛冶屋、宿屋、薬屋などの斡旋も行っている。


 説明を聞きながら、ジンは「EWOとほぼ同じ世界なら、こんなものだろう」と思っていたのだが、ここからがEWOと異なるところだった。


「次に職業についてですが、ジン様の職業は自分でお分かりですか?」


「無職(ノービス)……のはずだが」


「そうなんですか!? 失礼ですが、お年は……?」


 これは困った。


 佐藤仁としての年齢は29歳だが、今の肉体年齢は明らかにそうではない。自分で確認した範囲では高校生くらいだ。


「じゅ、18です」


 とっさのことでつい敬語が出てしまったが、許してほしい。さすがに本当のことを言っても信じてもらえないだろうから。


「そう……ですか……これから聞くことはジン様にとってはショックかもしれませんが、心して聞いてください」


 神妙な面持ちで話し始めるマゼンタを見て、まさか無職(ノービス)では登録できない、なんてことを言われるんじゃないか。だったらもう少し後でギルドに来るべきだったのでは……?


 そんなことをジンが考えていると、マゼンタはゆっくりと話し始める。

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