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異世界コレクター ~コンプ済み廃人ゲーマーは転生先でも無双してすべてを集めるようです~  作者: りゅーいち
プロローグ

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3 戦いを終えて

 仁は戦いの疲労を少しでも癒すため、強く息を吐きながらしゃがみ込んだ。もちろん先ほどの反省を生かし、周りからは見えにくい木陰を選んでいる。


(しかしあれはどう見てもEWOのスライムだった……どうなってるんだ?)


 仁にはもう、今この世界が夢の中であるとは思えなかった。だが夢でないのなら、いったい……?


(まさか、本当にEWOの世界だっていうのか……? 今はそう信じるしかない……よな?)


 だがもし、今いるこの場所が本当にEWOの世界だと仮定するなら、魔法も使えるはずだ。


「“プチヒール”」


 試しにそうつぶやくと、自分の体を優しい光が包む。光はほんの数秒で消え、同時に少しだけ体が軽くなった気がする。石をつかんだときに擦りむいた手のひらも元通りだ。


(すごいな、本当に使えた。となると次は……)


 仁は自分の肌の色を確認し、顔や頭をぺたぺたと触る。特に耳、額、頭頂部は念入りにだ。


(肌の色は普段通り。耳は顔の横にあって丸いまま。額に角や宝石、第3の目はなく、頭頂部にも何も生えてなさそうだ……おそらく頭身も普通だろう)


 そうして、今確認できる範囲では、普段の自分とまったく変わりがないと結論づけた。


 最後に持ち物、装備、ステータスの確認を行う。


(今の俺の種族は十中八九人間(ヒューマン)、職業(ジョブ)は悪くても無職(ノービス)、レベル1。防具は、初期装備の“普通の白シャツ”、“普通の皮ズボン”、“普通の靴”。腰につけたポーチには下級回復薬が5本……)


 EWOにおいて、人間(ヒューマン)はステータスに補正がかからない代わりに、他種族よりも幅広い職業を選択できる。

 また、無職(ノービス)はレベルアップによるステータス上昇量が低いが、最弱の攻撃魔法と回復魔法を使えるという特徴がある。


 “プチヒール”が発動した以上、無職(ノービス)である可能性はかなり高い。


――――――――――――――――――――

 プチヒール 【魔法】

 HPをわずかに回復する。

――――――――――――――――――――


 “プチヒール”の回復量は薬草並みに少ないが、最初期はその薬草代も惜しいことが多く、意外にも重宝する魔法である。


 ここまでの仕様はEWOの初期キャラと変わりないが、ゲームより不利な点も見つかった。


(初期武器の“古びた木剣”が無い。それにステータスやインベントリの見方もわからない)


 試しに「ステータス」「インベントリ」とつぶやきながらいろいろな動きをしてみたが、それっぽいものは現れなかった。

 EWOでは当然キーボード操作だけで確認できていたため、もしかしたら別の方法で出すのかもしれない。


 いずれにせよ、現時点で得られる情報では、この世界がEWOそのままなのか、EWOに似た世界なのか判別がつかなかった。


(やっぱり情報が欲しい。そうなると集落を探すしかないか)


 そう考えながら周囲を見回すと、水と湿った土の匂いが漂ってきた。匂いのする方角へ目を凝らせば、木々の隙間で陽光を反射するものが見える。川だろう。


 飲み水として使える可能性があるばかりか、川沿いに歩けば集落に着くこともありうる。とても運がよい。


 川に向かって歩きつつ、仁は考える。


(そういえば今の俺は眼鏡をかけていないが、遠くの川をはっきりと確認できた。つまり俺の身体が変わっている。しかもとても良い方向に……顔も良くなったりしてないかな)


 そう思い川を覗き込む。

 ……残念ながら水面には、普段見慣れた黒髪黒目の自分の顔が映っていた。


 ただし若返っており、おそらく高校の卒業アルバムを開けばこんな顔が写っているだろう。身体もそれに合わせて変化していると思われた。


(少し残念な気もするが、健康な身体で旅ができるならそれに越したことはない。むしろプラスじゃないか)


 仁は前向きに考えることにした。




 川に沿って下流へと歩き始めて少し経つと、早くも森の奥に草原が見えてきた。草原と言っても平坦ではなく、ところどころ小高い丘になっているようだった。


 草原を眺めていると、川の下流方向に櫓のような細長い建造物と、その周囲を囲む壁が見えた。おそらく集落だろう。仁は思わず安堵の息を吐いた。

 

 ただ、問題も残っている。今いる森からその集落までの街道がないのだ。


(EWOと同じかはわからないが、街道がないのなら魔物とのエンカウント率はそこそこあるはずだ)


 仁はその集落らしきものに向かって歩きながら、さらに思考を回転させる。


(森に現れたスライムの強さから、この辺りはEWOの最初の町周辺と同じくらいの強さの敵が出る……と思う。だったら草原では森と同じく“スライム”、もしくは背の低い“土もぐら”の不意打ちに気をつけないとな)


 気を張りながら進むと、遠くにスライムの群れが見えた。確認できるだけでも4匹。


 EWOと同じスライムなら、あと1メートルも進めばこちらに気づくはずだ。こちらが先に見つけられたのは警戒していたおかげか。


 相手に気づかれていないなら先制攻撃のチャンスである。武器を持たない仁には逃げる選択肢もあったが、あえて戦うことを選択する。


 先ほどのスライムと合わせてスライム5匹の討伐。

 自分が無職(ノービス)なら、これでレベルが1から2に上がるからだ。


(この戦いで、俺の職業(ジョブ)が確定する……!)

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