ベッサム新領主・3
みんなぁ~!!
今日も来てくれたありがとうぉ~♪
楽しんでってねぇ~!
「丁度良かったです。
会見の内容が気になる様子で、先程からケニー様とロジャー隊長が頻繁に様子を見に来られています」
「そうか、面倒だが昼食の前にこの件にはケリをつけたいな。
彼奴らと一緒に仕事の話をしながら飯を食べるのは御免被るからな。
直ぐに呼んでくれるかい」
「お任せください」と、言いドランは出て行った。
その間を利用して専属メイドのジェシカと世間話をしているところへ、何故かステイシーが凄い剣幕でやって来た。
了解も無く部屋に入って来たステイシーはジェシカが居るのを見て、明らかな不快感をその起伏の乏しい体全体で醸し出した。
「お兄様はまだこんな女を傍に置いておられるのですね。
これでは館の貴族達のいい笑い者になりますから、何なら私がお兄様に相応しい素敵なメイドを手配いたしましょうか」と、言い出し次にジェシカに向き、「不細工なあなたはお兄様に相応しくありませんわ。
いい加減身の程を弁え、不細工な者は裏へ引っ込みなさいな。
あなたを見ているだけで不快ですから!」と、怒鳴った。
暴言を聞いてムッとするガルが、すかさず「それでお前は何しにここへ来た。
私の専属メイドを貶めるだけで来たというになら、私にも考えがあるからな。
先ずお前はジェシカに謝罪しろ、良いな。
それからでなければお前の話を今後一切聞かないからな。
この次ジェシカを屈辱すると悪いが領から出て行ってもらうからな」と、言っているところへ執事の案内でケニーとロジャーがやって来た。
「おい、お前はステイシーも呼んだのか。
あれだけステイシーには話すなと我々に言ったその舌の根も乾かぬうちに、ずい分と面白い事をやってくれるじゃないか、あぁ!」と、内弁慶のケニーが遠慮なく凄んできた。
「ちょっと待って欲しい、ステイシーは別件で全くの偶然だから」と、焦って言い出したガルに「私をのけ者にするとはいい度胸じゃないのよ。
そうか、そう言う事なのね。
本当の敵は外ではなく身内に居たという事か、良く分りましたっ。
それなら私も納得がいきますから、ふんだ!」と、言い勝手に眉間に青筋を浮かべ激怒した。
「少し誤解がある様に私は感じますから、今一度冷静になって互いに胸襟を開いて話してみるというのは如何でしょうか」と、執事のドランが三つ巴の険悪な場に割って入った。
「おいおい兄弟喧嘩は後で勝手やってくれ。
それで、ガルにはわしの要求は必ず通してもらうからな」と、言い出すロジャーにガルは呆れた。
「初めにステイシーを外したのは、お前のその傲慢な物言いが問題だからだ。
自覚がないなら今更だが教えてやろう、この前のお前の使徒様の件だ。
お前は既に断られているのに余計な事を言うから三人の神様を激怒させたろうが。
ケニー兄も知らないのか黙ったままなら本当に酷い事になるから話すが、一番初めに此処へ大勢の使徒様とグレイブル家の者を連れて三人の神様が来られた時に、ジャクソン男爵に無駄な干渉をするとベッサム領は無くなると言われた事は話したと思う。
そうだろう、聞いているよな。
その話しの前にケニー兄は蛙に変えられ、ステイシーが蛇に変えられケニー蛙はステイシー蛇に食べられる寸前だった。
そして、私は領と共に焼かれるのだそうだ。
こんな危ない話にその当事者がいきなり私に面会を求めて来るのだから、特にステイシー、お前を呼べる或いは声を掛ける事が出来と思うか。
お前はその考えなしの無責任な言動を今からは慎めよ。
それとケニー兄とロジャーもだ。
何で今まで我が家を支えてくれている三重臣のグレイブル家とブルー家にありもしない冤罪を着せ一家と親族まで処刑する事が出来る。
近いうちに王宮で4大貴族の顔見世があるが、王国の配下を勝手に処刑した申し開きは誰がすると思っているんだ。
それに、簡単に私に領を任せると言った時から不思議に思っていたが、まさかナルディア領主の座を狙っていたとは呆れて言葉が続かないね。
つい熱くなってしまったが、まぁステイシーもソファーに掛けてくれないか」とガルが言うので話しが聞ける体制が整ったところで、ガルの指示で執事のドランが領主の机の引き出しからジャクソン男爵が持って来た厚い紙束をテーブルに置いた。
不思議がる三人に「先ずはこれを見てくれ」
直ぐに「これが何だと言うのですか」と、何時もの調子でステイシーが言い出した。
「書類を見る気がないなら黙っていろ!
さっき注意したばかりだろうが」と、ガルが怒った。
「だから私はこれが何だと聞いているのですよ。
答えられない訳じゃないでしょう」と、さらにステイシーが喰って掛かった。
ケニーとロジャーはお互い見て頷き「で、これが何だというのだ、さっぱり分からんのだが。
ステイシーを叱るのは良いが説明位はちゃんとしてくれるのだろう」と、ケニーも言い出した。
「呆れますね、もっと頭を使いましょうよ。
結論から言いますと、ジャクソン男爵に我々に逆らう気は無いという事です。
本人も私が二心無く仕えるのは、叙爵式で宣誓したとおりで、ベッサム領主だそうですから。
たまたまその時の領主が曾祖父だっただけで、今は私に忠誠を誓ってくれました。
この書類はベンドリア市の銅の生産量の推移です。
こっちが市内に在る各鉱山からの産出量を纏めた物です。
コットンから引き継ぎ代々の帳簿を精査したその結果が最近出たそうです。
ドゥーの件で社交界の時に父にも話したそうですが、父は無関心だったそうで私に領主が変わったので思い切って相談に来たそうですよ。
それで問題は銅の採掘量がピーク時の7割にまで落ちて、緩やかな減少傾向にあるそうですから。
男爵は言わなかったが今は時間の問題で、最悪の場合は突然鉱脈が尽きるかもしれませんから」
「おい、それは一大事じゃないか」と、ケニーが言い出した。
「そですよ、それでジャクソン男爵としては何か新たな産業を興したいと相談に来たんです。
王宮で4大貴族の顔見世を利用して、王国にこの先の税について説明するのでその時に間に合うよう見やすい資料を作る様指示していますからまた男爵は来ます。
それでステイシー、お前は絶対にジャクソン男爵に関わるなよな」
ガルの一連の話を聞き眉間に皺を寄せムッとしたステイシーは「領の財政がピンチなるのでしょうが、私の方も今朝金庫が空になっていましたから、差し当たっては私の方が大問題です。
それで、ガル兄様にお金を用立てて欲しくて来たのですから」と、ステイシーが話した。
「俺はお前さん等に協力したのだから、ガルが王宮に行くなら好都合じゃないか。
俺を男爵にする件を宜しく頼むからな」と、下卑た笑みを浮かべロジャーが言い出した。
下卑た笑みのロジャーを見て、簡単に空手形を切るケニーとステイシーに対し、尻拭いをするのは何時も私じゃないかとガルが不満に思った。
「ステイシーよ、頼みごとがあるなら先程言ったよな。
先ずはジェシカに謝罪が先だろう」
ステイシーはガルを見て「はいはい、先程は本当に申し訳ありませんでしたね。
ふん、メイド如きこれで宜しいんじゃなくて」と、仏頂面をして言うステイシーに「お前は私に喧嘩を売っているのか。
もう良いからお前は出て行け!」とガルが珍しく怒気を放った。
叱られて泣きながらステイシーは執務室を飛び出した。
「良いんだドラン、今は一人にしてやってくれ」と、直ぐに後を追おうとした執事にガルが言った。
「ところでステイシーの部屋の金庫だが、ケニー兄はどう思う。
幾ら持っていたのか知らないが、有り金が全部なくなるというのは尋常じゃないな」
「いっそステイシーの関係者全員を拷問にかけて吐かせるか。
それしかあるまい」と、平然と言い出すケニーに相談した事が間違いだったとガルは思った。
本当に単純なこの兄妹は使えないが、ロジャーだけは要注意だと思った。
そうそうケニーなら遣りかねないと思い直し「ケニー兄よ、今は無駄な事はしないでくれ。
私の方で対策と犯人捜しの方法を考えるから、良いな絶対だぞと、一応念押しした。
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