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醜い私にサヨウナラ〜捨てられ公主は深淵の谷で幸せになります〜  作者: 春乃紅葉@コミック版『妹の~』配信中
第四章 母の故郷は秘密がいっぱいでした

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013 恋をしていた(瑠麗視点)

 久しぶりに国に帰ると、大婆様に叱られてしまった。

 私は皇族なのだから、国が定めた者に嫁ぐ事が決まっているのに、うつつを抜かすのではないと。

 しかし、そんな事を言うのに、心は自由でよいと大婆様は言った。


 なんだか矛盾しているけれど、叱られて気付いた。

 私は翡雲(フェイユン)様に、恋をしていたみたいだ。


 そう気付くと、より翡雲(フェイユン)様がキラキラと輝いて格好良く見えてしまうのはどうしてだろう。

 


 宴が始まり、私は翡雲(フェイユン)様ばかり見てしまっていた。

 そんな中、大婆様の話を聞き、私は声を上げて驚いてしまった。

 一の姫の珊麗(シャンリー)は、たった三日で呪いを解き、二の姫の瑛麗(インリー)はたった一人で呪いを解いたことを知った。誰も信じず、誰にも頼らず、瑛麗(インリー)らしいと思った。


 宴の間、瑛麗(インリー)翡雲(フェイユン)様に何度も酒を勧めたり、何かずっと話しかけていたりしていた。

 何度かお酒は取り上げたけれど、翡雲(フェイユン)様は大丈夫だって言うし、瑛麗(インリー)の話を笑顔で聞いていて、なんだかモヤモヤする。


 こうなったら自棄酒だ。

 そう思って杯に口をつけると、翡雲(フェイユン)様に名を呼ばれた。


瑠麗(リウリー)?」

「はい」

「それ、酒だが大丈夫か?」

「えっ? あ、大丈夫です。私、ザルなので」

「そうか、無理はするなよ」


 そう言って笑いかけられただけで胸がいっぱいになるのは、やっぱり恋なのだろう。

 翡雲(フェイユン)様と顔を合わす度に自覚させられる。


 宴の最後は珊麗(シャンリー)の舞だった。

 正直、翡雲(フェイユン)様には見せたくなかった。

 きっと珊麗(シャンリー)に心を奪われてしまうから。

 でも、翡雲(フェイユン)様が見ていたのは、珊麗(シャンリー)ではなかった。


 その舞を見て涙を流す雪燕(シュウエン)だった。


 翡雲(フェイユン)様は、雪燕(シュウエン)の舞を見て好きになったのではないのだ。

 ただ、雪燕(シュウエン)が好きだったんだ。

 今も、きっとまだ。

 

 今度はモヤモヤするというより、胸がチクッと痛んだ気がした。

 でも、今はそうでも、いつか私のことでいっぱいになったらいいな。


 明日、もし選ばれなかったらどうしよう。

 宴が終わり、不安な気持ちを隠しながら泰然(タイラン)と部屋に戻る翡雲(フェイユン)様を見送った。


「辞退してあげようか?」

「えっ?」


 瑛麗(インリー)が隣に立ち私に言った。


「私、やっぱり一人の方が楽だし」

「でも、今逃げても、いつか誰かに嫁ぐのよ」

「そうだけどね。なんか、翡雲(フェイユン)様って、優しそうで苦手」

「でも、泰然(タイラン)に色目を使っていたじゃない」

「ああ、あれは趣味が合いそうだったから。それになんかいい匂いがしたし、翡雲(フェイユン)様みたいに甘そうな感じじゃなくて、淡白で合理的で落ち着いてそうだし」

「えっ、泰然(タイラン)って、他人にはそんな感じだけど、好きな人には結構甘々よ」

「そうなの? よく知ってるのね」


 なんとなく雪燕(シュウエン)にはそんな態度だから、とは言えなかった。


「まあね、一応居候させてもらってたから。それから、別に辞退しなくてもいいわ。しきたりだし。まあ、変な薬を翡雲(フェイユン)様に盛ろうとしてるんだったら、それはやめてほしいけど」

「なんでわかったの? 辞退しないなら選ばれたい。だから、雪燕(シュウエン)に毒でも盛って脅そうと思っていたのに」

瑛麗(インリー)! 怒るわよ」


 悪びれずにサラッとあくどいことを言う瑛麗(インリー)につい声を荒げてしまった。


「もう怒ってるじゃない。でも、どっちに怒っているの? 大好きな翡雲(フェイユン)様が取られちゃうから? それとも雪燕(シュウエン)を傷つけられるのが嫌?」

「どっちも!」

「ふーん。雪燕(シュウエン)なんて、国から捨てられた公主でしょ。どうしてそんなに肩入れするの?」

「私たちだって、似たようなものでしょ。呪いが解けなければ一生帰れない。役立たずは、捨てられたまま終わるだけ」

「ああ、そっか。私は帰れる自信があったから、そんなこと思わなかった。瑠麗(リウリー)は奇跡的に呪いを解いてもらえたから帰れたのだものね」


 確かに、姉二人は自分の力だけで、呪いを解いている。

 私だけ、誰かに助けてもらったから、呪いを解くことができたのだ。

 

「そうよ。だから、私を助けてくれた人たちに害を与えることは絶対にさせないから」

「ふふふっ、どうせ何もできないくせに」

瑛麗(インリー)!」


「見苦しいわよ。二人とも」






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