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醜い私にサヨウナラ〜捨てられ公主は深淵の谷で幸せになります〜  作者: 春乃紅葉@コミック版『妹の~』配信中
第四章 母の故郷は秘密がいっぱいでした

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003 姉妹

 瑠麗(リウリー)が何度も泰然(タイラン)様に失礼な態度を取るから、流石の泰然(タイラン)様にも苛立ちが見られ、朝の薪割りをしていないからと、一人で外へ行ってしまった。


 食堂で二人になると、瑠麗(リウリー)は、今の心境を話してくれた。


「なんか、思ってたのと違うの」 

翡雲(フェイユン)様が、瑠麗(リウリー)を選ぶか心配しているの?」

「そうね、それもあるわ。だって、姉はすごい綺麗な人なんだもの。でも綺麗なだけじゃないわ。一人目の姉は才色兼備で雪燕(シュウエン)と見た目が似てるの。銀色の髪に黄色い瞳、舞が得意で魅了の術を心得ているの」

「み、魅了?」


 それは、妖術の類のものだろうか。

 瑠麗(リウリー)は更に言葉を続けた。


「二人目の姉はね、肌が白く艷やかな黒髪で、木炭のように黒く美しい瞳を持ち、薬作りが得意なの。きっと翡雲(フェイユン)様を薬漬けにして傀儡にするわ」

「……く、傀儡? 内容が怖いのだけれど、本当なの? それなら、そのことを翡雲(フェイユン)様に伝えておけばよいのではないかしら」

「そ、それじゃあ、私を選んでって言っているみたいで恥ずかしいじゃない!? 雪燕(シュウエン)なら言える? 春燕(チュンエン)は腹黒いから、私を選べって!?」

「……言えないかも、でも、次元が違うというか」


 でも、春燕(チュンエン)だって毒を盛っていたのだから、同じようなことだろうか。


「私なんかじゃ、絶対に姉に勝てない。しかも翡雲(フェイユン)様に気持ち悪がられている気がするのよね」

「そ、そんなことないわ。それに、瑠麗(リウリー)にもたくさんいいところがあるもの」

「例えば?」

「も、物知りなところとか、あとは優しいところとか」

「私、物覚えは良いのよ。一度聞いたことは全部覚えられるの。でも手先がとても不器用なの。調合とか苛々するし」


 私も、そんなに手先が器用ということはない。

 でも、舞なら得意だ。


「そうだ、舞を教えましょうか?」

「舞? でも、扇をすぐに落としてしまって苛々するのよね」

「そう……扇なんてなくてもいいと思うのだけれど。……あ、鞠を使うのはどう? 瑠麗(リウリー)、鞠なら得意でしょ?」

「そうね。足技なら得意かも! でも……」

「一緒にやってみましょう? 暗い顔をしていてもいいことなんてないわ。ね!」


 なんだか、ウリ坊の時と逆になったみたい。

 ずっと助けてくれた瑠麗(リウリー)

 今度は私が力になりたい。


「うん。じゃあ、久しぶりに人間だし、一緒に鞠で遊びましょう」

「ん? 練習じゃなくて、遊びたいの?」

「人間なのは久しぶりだから、体を動かす勘を取り戻したいの」

「そっか、ねえ、瑠麗(リウリー)っていくつなの?」

「私は、もうすぐ十五歳よ」

「えっ、年下だったの!? じゃあ、何歳の時に猪に?」

「十二の頃ね」 

「まだ子供の頃じゃない」

「別に、普通よ。私にとっては」


 寂しそうに笑う瑠麗(リウリー)に私は居ても立ってもいられなくて抱きしめてしまった。

 まだ大人になる前から、大人でいなければならなかったのだろう。


「あら、雪燕(シュウエン)は甘えんぼうね。きっと、甘えさせてくれる人がいたのね。それはいいことよ」

「えっ、甘えてもらおうと思って抱きしめたのに」

「そうなの!? 甘えてきたのかと思ったわ」

瑠麗(リウリー)はずっと一人で頑張ってきたんだね。私、もっと瑠麗(リウリー)のこと知りたい。たくさん教えてね」

「ふふっ、その前に鞠で遊びましょう? あら、でも鞠は無理そうだわ」

「えっ?」


 瑠麗(リウリー)は外へ目を向けて言った。


「外が荒れているわ。碧砂(ビーシャ)国の方ね」

「あ、昨日は満月だったから、春燕(チュンエン)が雨ごいの舞を踊ったはずだわ。雨雲が呼べたのね」

「そうかしら? あーあ、荒れるなら碧砂(ビーシャ)国だけにしてほしいわね」

「どういう意味?」


 遠くから雷鳴の轟く音がする。

 紫色の光が、空を這う姿が、まるで龍のように見えた。


雪燕(シュウエン)は気にしなくていいのよ。晴れた日にまた遊びましょう。はあ、久々の人間は疲れたなあ~。ちょっと部屋で休むわ。お昼ご飯できたら起こしてね」

「ええ、わかったわ」 


 瑠麗(リウリー)は大きな欠伸をして部屋へ戻っていった。

 さて、私はどうしよう。

 泰然(タイラン)様は何をしているだろう。

 昨夜のお礼を伝えたい。部屋に行ってみよう。








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