二百十一話
クーデター首謀者達を引き渡した俺達。アルガリさんとウェサンさんと一緒に宿屋に戻った。
広い部屋に全員で集まる。
しかし、ユウ先輩報酬はどうするんだろ?流石にタダ働きはしないはずだけど?そう思っていたらアルガリさんが話し出した。
「此度の件、無事に終ったのは貴方達冒険者チームアースの皆様のお陰です。本当にありがとうございます」
そう言ってアルガリさんとウェサンさんは俺達頭を下げた。かつての王族に頭を下げられるとはビックリだ。それに対してユウ先輩が答える。
「俺達は依頼を達成しただけだ。さて、任務も無事に終了したから報酬の話をしようか!」
おっ!ユウ先輩が切り出した!それに対しアルガリさんは机の上に腰の袋の中身を取り出す。
おおー、凄い宝石だ!かなりの金額になるぞ!それを見たウェサンさんがビックリしている!
「あ、アルガリ様!それは今後の生活の為の宝石ではありませんか!それを渡したら!」
「よい。それだけの価値をこの者達はやってくれたのだ」
「し、しかしこれからの生活が!」
「大丈夫だ。今後働けばよい。それも良い経験だ」
「アルガリ様が働くなんて!私が変わりに働きますから・・・」
アルガリさんとウェサンさんが言い争いを始まりそうになったが、それをユウ先輩が止めた。
「おい、アルガリ。宝石を急いでしまえ。そして二人共早く仮面を被れ。誰か来る」
ユウ先輩の言葉を聞いてアルガリさんとウェサンさんが直ぐに行動する。俺はユウ先輩に話かける。
「ユウ先輩、誰っすか?敵っすか!」
「いや、この感じは敵じゃないな。おそらく・・・」
ユウ先輩が続きを話そうとしたら、不意に扉がノックされる。それに対してユウ先輩が答える。
「誰だ?」
「失礼します。宿屋の者です。実は冒険者チームアースの皆様にお客様がいらっしゃいましたがどう致しますか?」
ユウ先輩が俺達を見渡した後、ノリ先輩を見た。ノリ先輩が頷くのを見てユウ先輩が話かける。
「分かった。会うから通してくれ」
「わ、分かりました!」
そう言って走っていく宿屋の職員。それを見送って俺はユウ先輩に話かける。
「ユウ先輩、誰が来たっすか?分かってるっすか?」
「おそらくだけどな。まあ、すぐに分かるさ」
ユウ先輩がそう言った次の瞬間、コチラに近づいて来る足音が聞こえる。足音的に四人かな?ノリ先輩に確認したら合っていた。一人は宿屋の職員だろうから三人組か。はてさて、誰かな?俺がそうな事を考えていたら再び扉がノックされる。
「失礼します。冒険者チームアースの皆様。お客様をお連れしました」
「おう。入ってくれ」
ユウ先輩がそう言うとフードを被った三人組が入って来た。三人の内一人はロンク爺さんだった。って事はもしかして!
俺の来訪者の予想が当たっている事を次の瞬間確信した。何故なら来訪者の一人が話しかけてきた。
「久しぶりだな。冒険者チームアース。元気そうで何よりだ」
そう言って来訪者の一人がフードをとる。出てきたのはこの国の王、メリノ王だ!って事はもう一人は!
もう一人もフードを取る。中身はこの国の十ニ守護獣のポロワスさんだ!
この二人を見た瞬間、アルガリさんとウェサンさんに緊張が走った。まあ、しょうがないだろうな。それを気に留めないユウ先輩が答える。
「おう、お前も元気そうだなメリノ。いや、今はメリノ王と呼んだ方がいいか?」
「はっはっはっ、私とお前達の仲だ。今更そんな気遣いはいらんよ!むしろ友に敬語を使われる方が悲しいぞ」
「そうか。ならそれを部下にも伝えてくれ。ポロワスが俺を殺しそうな目線を送ってきてるぞ」
「うん?そうか?ポロワス、ユウは私の友だ。この程度気にするな」
「・・・メリノ様がそうおっしゃるなら」
「殺気が消えてないぞポロワス〜」
「!相変わらずの口調だな。育ちの悪さが出ているぞユウ!ゴホン、久しぶりですねダイ、ノリ、そしてマシロ」
「久しぶりっすね。ポロワスさん」
「お久しぶりです。メリノ王、ポロワスさん」
「お久しぶりです御二人共!」
「俺にだけマトモに挨拶しない。ロンク爺さんよ、どういう教育してるんだよ!」
「ワシに言っても困るのう。何故ポロワスがそこまでユウを嫌うのか分からんしのう」
「まあ、いいか。それで忙しそうな時に王がこんな所に来ていいのかよ?」
「こんな時だからだ。此度の件、お主達が防いでくれたと聞いてな。御礼をしなければと思ってな」
「・・・本音は?」
「偶には王も休みたい!王城から離れてゆっくりしたいのだ!」
「何だよ、俺達はお前がゆっくりする為の口実かよ」
「いやいや、御礼を言いたいのは本当だぞ。ただ、ゆっくりしたい気持ちもあるってだけだ」
「分かった分かった。それで御礼ってのは?」
「ああ、コレだ。ポロワス?」
「はっ!ノリ、コレが御礼の金貨だ。受け取ってくれ」
「何故俺ではなく、ノリに渡すのか?ソレガワカラナイ」
「ユウ先輩、日頃の行いですよ」
「日頃の行いっすね」
「が~ん!後輩達に信じられてない。オレカナシイ」
「大丈夫です師匠!私は信じてますから!」
「おお、ま、マシロ!」
「師匠ー!」
ガシッと抱き合うユウ先輩とマシロ。この人達、何回コレをやるんだろ。
それを見て大笑いしているメリノ王。それを呆れて見ているポロワスさんとロンク爺さん。
ひとしきり笑った後、メリノ王がユウ先輩に話かける。
「それでユウよ。何故お前は今回のクーデターの件が分かったのだ?もしかして、そこにいる仮面をしている二人が関係しているのか?」
おおっと!いきなり二人に話が飛んだ!コレに対してユウ先輩はどうするのか!考えていたら、ポロワスさんが声をかける。
「おい、そこの仮面の二人。この方の前では仮面を取れ!顔を見せないか!」
その声に対してユウ先輩が答える。
「すまないな。この二人は俺達の新たなチームメンバー何だが、ダンジョンで怪我をしてな。顔と喉をやられて声が出せないんだ。顔も傷が酷いから仮面をつけているんだよ」
「だが、王の前では外すべきだろ!」
「よい、ユウ達の仲間なら問題などない」
「しかし、メリノ様!」
「ポロワス、私がいいと言っている。まだ問題あるか?」
「・・・失礼しました」
おお、流石メリノ様!懐が深い!んっ?何かユウ先輩がロンク爺さんに話しかけている。そしてロンク爺さんが悩んだ後、頷いている。一体何を話してたんだ?
続いてロンク爺さんがメリノ王にこそっと耳打ちしている。そして少し悩んだ後、ユウ先輩と目線を合わせて頷いている。何の話しなんだろ?面倒事じゃなければいいけど。そう思っていたらユウ先輩が急に話し始める。
「しかし、相変わらずポロワスは硬いなー。そんなんでメリノの役に立ってるのか?」
「なっ!当たり前だろ!お前、私を侮辱しているのか!」
「いやいや、別に侮辱してないぞ。ただ疑問に思っただけだよ。実際、お前俺に無礼な態度とってるじゃないか?」
「そ、それはお前にだけだ!普段はそんな態度をとってない!」
「ホントかな〜?」
「き、キサマー!」
あれ、あきらかにユウ先輩がポロワスさんを煽ってるよな?何でだ?そう思った俺はノリ先輩に話かける。
「ノリ先輩、ユウ先輩ワザと煽ってるっすよね?」
「ええ、おそらくですがポロワスさんと戦う気なのでしょうね」
「?何でそんな事をするっすか?」
「さあ?後でユウ先輩に聞いてみましょう。ほら、そろそろ話し合いが終わりますよ」
ノリ先輩の言葉が終わると同時に、バンッ!と机を叩くポロワスさん!そして、ユウ先輩を指差しながら大声で叫ぶ!
「いいだろう!そこまで私を馬鹿にするなら決闘だ!それで決着をつけてやる!」
「いいだろ!受けてやる!ただし条件がある!」
「条件?何だ!」
「条件は二つ。一つ、決着場は誰にも見られない場所で!二つ、決闘は此処にいる面子の見学を許可する事。以上だ!」
「分かった。先ず場所は城の訓練場の一つを使おう。今の時間は使用していない。そこなら人目につかないだろう。二つ目も問題無い」
「なら、ロンク爺さんに審判をしてもらおう。公平に頼むぜロンク爺さん!」
「ホッホッホ、任せておけ」
「ふむ。ユウとポロワスが決闘か。それは是非とも私も見学させてもらおう」
「メリノ様!しかし!」
「気にするな。友と我が街の十ニ守護獣の戦いだ。これを見学しない理由が無い」
「俺は別にいいぞ。ポロワス、負けたらメリノに慰めて貰え」
「ふざけるな!お前如きには負けん!」
おーおー、二人共煽りあってる。しかし、ユウ先輩どういうつもり何だろう?目的が分からん?ある程度罵りあった後、ポロワスさんがユウ先輩に提案する。
「ユウ。決闘は三時間後。場所はロンク様に案内してもらえ!逃げるなよ!」
「お前こそな!」
「では、我らは一足先に城に戻る。また後でな!」
そう言ってメリノ王とポロワスさんが出て行った。二人が出て行ったのを確認してから俺はユウ先輩に話かける。
「ユウ先輩、どういうつもりっすか?何でポロワスさんに喧嘩をうったっすか!」
「おお、流石のダイでも気づいたか!」
「アレだけ露骨だと分かるっすよ!」
「それでユウ先輩、何故あんな事をしたのですか?まあ、大体予想はつきますけど」
「えっ!分かるっすかノリ先輩!」
「ワシも是非とも聞きたいのう。何故戦うのじゃ?」
「私も聞きたいぞ。ポロワスはこの街の十ニ守護獣だ。かなりの強者だ。わざわざ戦う意味が分からない」
ロンク爺さんとアルガリさんもユウ先輩の目的が分からないみたいだ。それに対してユウ先輩が答える。
「決まってるだろ。ぶっちゃけポロワスは弱い。今まであった十ニ守護獣の中でも最弱だ。だから還る前に鍛えてやろうと思ってな」
えーー!そんな理由!そんな理由で十ニ守護獣に喧嘩を仕掛けたのかこの人!ヤバすぎだろ!ほら、ロンク爺さんとアルガリさん、ウェサンさんが呆れている!仮面を被ってるのに分かる!果たして、どうなる事やら。
次回、ユウ先輩VSポロワスさん!
切り乱れる二人の斬撃と斬糸!圧倒的に攻めるユウ先輩。窮地に追い詰められたポロワスさん!極限の窮地が彼に新たな力を目覚めさせる。
果たして勝者はどっちだ!




