二百五話
ユウ先輩VSモイラさんの戦いが遂に決着した!
勝者はユウ先輩。新たに技を覚えてどんどん強くなっていくな。何だろ?ユウ先輩が強くなる事に不安を感じたり、やっぱユウ先輩はこうでなくっちゃ!って思っている自分がいる。自分でも自分の感情が分からん!そんな事を考えていたら勝者のユウ先輩と審判だったノリ先輩がコチラに近づいて来る。
「よう、ダイ、マシロ!どうだった?勝ったぜ!」
「流石師匠です!強いです!カッコいいです!」
「あー、流石ユウ先輩っす。強い強い」
「何だよダイ。その拗ねた言い方は!」
「しょうがないですよユウ先輩。だってダイだけ、モイラさんに負けたのですから」
「ノリ先輩!それは言わない約束事じゃないっすか!」
「プッ!そうだな、ダイだけ負けたんだよな。ならしょうがないなー!」
「うがー!うるせー!うるせー!」
俺達がそんな事を話していたらポツリとマシロがこぼした。
「私もモイラさんに負けてます」
マシロがそれを言った瞬間、場の空気が凍った!
そうだ!確かに港町の勝負で負けてたな!ど、どうする!悲しそうな顔をしたマシロがこっちを見ている。
こ、これは!
「そうっすよねー。俺達は負けたっすもんね。悲しいっすよねーマシロ!」
乗るしかないだろ!このビックウェーブに!見ろ!さっきまでニヤニヤしていたユウ先輩とノリ先輩がオロオロしている!こんなに嬉しい事はない!
そんな会話をしている俺達にモイラさんが話しかけてきた。
「あのー、そう言うのは負けた本人が居ない所でやっていただけませんか?」
「おっと、そうだな。わりーわりー」
「悪いと思ってないのがしっかりと分かりますよ。全く」
「その割にはよ、モイラよー。えらくスッキリした顔をしてるぜ!」
「・・・そうですね。全力を出して負けましたからね。負けるのは嫌ですが、ここまでやって負けたなら仕方ないと思えましたよ。それに・・・」
「それに?」
「まだまだ私も強くなれる事がわかりましたからね。拗ねてる場合ではありません」
その答えを聞いてユウ先輩が笑いながら答える。
「はっはっはっ!そうだな!もっと強くならないとな!十ニ守護獣様よ!」
「ええ、待っていて下さい。必ず貴方と同じ土俵に上がって見せますよ!」
そんな和やかな会話をしていると、ジムグリさんが話しかけてきた。
「ほ、本当にモイラ様に勝つなんて!ユウさん、貴方、いや、冒険者チームアースの皆様はどれ程強いのですか!」
そんなジムグリさんを見て、ユウ先輩が呟く。
「・・・誰だお前は?」
「!!申し遅れました。私はヒバカリとガーターの息子、ジムグリと申します。」
「へー、ガーターの息子か。確かに顔が似てるな。それで俺達に何か用か?」
「は、はい!この度は母と父を助けて頂き本当にありがとう御座いました!つきましては御礼を申し上げたく・・・」
「御礼なんていらねーよ。ぶっちゃけヒバカリさんを助けたのは偶々だしな」
「そ、そんな訳にもいきません!父の手紙には命懸けで母を助けて頂いたと!貴方達がいなかったら母だけではなく、父も死んでいたと伺っています!」
「そんな事ないよな、モイラ、マンバ?」
「いやいや、そんな事ありますよ。ヒバカリが助かったのは間違い無く貴方達のお陰ですよ」
「そうだぜ、お前達が居なかったら助けられなかったな確実に!」
「そ、そうか?」
「そうですよ。全く、ユウさんはもう少し自分のしてきた事を誇ってもいいと思いますけど?」
「そうだぜ。特にヒバカリを助けた時なんてユウ、アンタ死にかけたんだからな。それに応じた報酬を貰っても良かったと思うぜ」
「そうかな?」
「「そうだよ!」」
「お、おう!そんなに強く言われるとは思わなかったぜ」
そんなユウ先輩達の会話を聞いたジムグリさんがある提案をしてきた。
「あ、あの宜しければ食事にいきませんか?出来れば母を救出した時の事を詳しく聞きたいのですが!」
お、おおう。ジムグリさん、凄い迫力でユウ先輩に迫っている。それに対してユウ先輩は?
「まあ、飯ぐらいならいいぞ。ノリ、ダイ、マシロもいいか?」
「いいですよ」
「そうっすね。そろそろ腹が減ってきたっすから」
「私も美味しいご飯食べたいです!」
「よし!じゃあジムグリ!どっか美味い飯屋は知っているのか?」
「!!はい!実は良い店を予約してあります!そちらに案内させていただきます!」
「よう、ジムグリ。それは俺達も一緒に行っていいのか?」
「勿論です。マンバ様とモイラ様も是非ご一緒に!」
「だから俺に様はつけなくていいって言ってんだろ。ったく。それで俺は行くけどモイラはどうする?」
「私も行きますよ。ジムグリに旅の結果を話しておきたいですしね」
「では、お店の方に案内させていただきます!どうぞこちらへ!」
俺達はジムグリさんの後について歩いていく。その途中で俺はジムグリさんに話かける。
「しかし、ジムグリさん。この時間にお店は開いてるっすか?少し早くないっすか?」
「大丈夫です。本日そのお店は貸し切りにしています。朝から準備をお願いしていますので」
「貸し切りっすか!贅沢っすねー」
「いえいえ、皆様に落ち着いて食事をして頂きたいのでコレくらいは当たり前ですよ」
「それでジムグリ、何処の店を予約したんだ?」
「ウワバミです。彼処は食事もお酒も美味しく、沢山の種類がありますから」
「へえー、いい店押さえてるな」
「ありがとうございます。あっ、見えてきましたよ。あのお店です」
そう言ってジムグリさんが指を指した先にある店。結構デカイ!店の前には人が立っている。
「お待ちしておりました。ジムグリ様。コチラの方々が?!!モイラ様とマンバ様!」
「おう、今日は世話になるぜ!」
「私も此処に来るのは久しぶりですね」
「失礼しました。どうぞこちらへ」
そう言われて俺達はウワバミの中に案内された。店の中広い!デカイ!そして、なんかいい匂いがする!あー、腹減ったー!
全員が席に着いたと同時にジムグリさんが話かける。
「どうぞ皆様。好きな物を頼んで下さい」
「そうか!なら遠慮なく食うぜ!」
「ユウ先輩、食うのはいいっすけどお酒は勘弁して下さいっすよ。お酒には弱いっすから」
「分かってるよ!」
俺達はそれぞれ注文した。そして料理を待っている間にモイラさんとマンバさんが旅の経緯をジムグリさんに話している。この街を出てから俺達と偶然合った事。そこからの旅を話している。話している途中で料理が来て食べながら話は続いている。
しかし、モイラさんの話を聞きながら思った。俺達も長い旅をしてきたなー。
そして話はクライマックスへ。ヒバカリさんを拐った野衾との戦いへ。あの戦い。本当に悔いが残った。二度と同じ思いはしたくないな。
モイラさんが全てを話終わった。その頃には料理は全て食べ終えてデザートを食べていた。話を終えた後、ジムグリさんが涙を流していた。
「うぐっ、ぐっ、よ、よがっだ。母と父が無事っで。本当によがっだ!」
「ガチ泣じゃねーか。まあ、しょうがないけどよ」
「あ、改めて御礼を申し上げます。ズズッ!父と母を助けて頂き本当にありがとうございます。冒険者チームアースの皆様!」
ジムグリさんが椅子から降りて俺達に土下座をした。涙と鼻水でぐちゃぐちゃな顔のまま。
「おう、礼は受け取った。だからこれ以上俺達に御礼は言わなくていいぞ」
「ズズッ!わ、分かりました。ではコチラを受け取り下さい」
そう言ってジムグリさんが四つのカードを取り出した。
「何だこのカードは?」
「このカードはガーター商会の店なら何処でも使えます。商品を購入時に出して頂くと、商品の代金は私が負担致します。何時でもお使い下さい」
「えっと、つまりコレがあればガーター商会でタダで買い物が出来るってことか?」
「そういう事です」
「おいおい、いいのかよそんなカードを渡して!商会が破産するかもしれないぜ!」
「父からはそれでも構わないと伺っています。母の命に比べれば安いと。私も同意見です」
「冗談だよ。まあ、御礼として受け取っておくわ」
「ありがとうございます」
「では、私からはコチラを」
そう言ってモイラさんも俺達にカードを渡してきた。
「何だよモイラまで。このカードは何だ?」
「コレはヴリトラカードです。宿泊時にコチラを提示していただければタダで宿泊出来ます。何時でもお使い下さい」
「あの高級宿を泊まり放題かよ!いいのかよモイラ?」
「勿論です。貴方達にはお世話になりっぱなしでしたから。これぐらいじゃ足りませんけどね」
「だから気にすんなって言ってんだろ。まあ、このカードは貰っておくぜ」
「ええ、是非」
「何だよモイラまでそんな物を出して!じゃあ、ノリとダイ、それに大人になったらマシロちゃんも、俺の店では飲み放題にするからよ。何時でも来てくれよな!」
「ちょっと待てよマンバさんよ!何で俺の名前は無いのかな?」
「いや、ユウは酒癖悪いだろ。俺の店で暴れられたら困るからよ。あっ!アルコール無い飲み物なら何時でも飲みに来ていいぞ!」
「なんて理不尽だ!おい、ノリにダイ!文句を言ってやれ!」
「マンバさん、グッジョブっす!」
「ユウ先輩の酒癖が悪いのが駄目なのです。止めるこっちの身になって欲しいですね」
「師匠、お酒飲むと暴れるので飲んで欲しくないです」
「が~ん!マシロにまで言われるなんて!俺は悲しい」
そう言うと皆笑いに包まれた。しかし、凄いカードを貰ったな。コレさえあればパープルヴァーチェでの生活では苦労しなさそうだ。まあ、明日には出ていく予定だけどな。
一応この街での予定は終わった。ベアルリングまではもう少しだ。後は何事も無く着けたらいいな。なんて思う今日この頃。




