二百一話
前回、遂にモイラさんがユウ先輩に決闘を挑んだ!
コレにユウ先輩はどう答えるのか!答えは分かっているけどさあ、どうするユウ先輩!!
ユウ先輩の答えは想像通りだった。
「いいぞ。いつやる?」
あっけらかんとした答え。ユウ先輩らしいや。その答えにモイラさんは安堵していた。
「では、明日の朝でどうでしょうか?」
「おう。場所はどうする?」
「場所は、私と貴方が初めて戦ったコロシアムでどうでしょうか?」
「分かった。ノリとダイはどうする?」
「俺は見学したいっす!」
「私も特に予定は無いので見学しましょう」
「私は勿論見学に行きます!師匠の戦いをしっかり見て勉強します!」
「俺も行くぜ。ヨルムンガンド代表として見届けないとな」
「別にマンバは見に来なくてもいいですよ」
「そんな事言うなよモイラ。お前が負けた時の慰め役がいるだろう」
「何故私が負ける前提なのか、詳しく聞きたいですね」
「まあ、勝つか負けるは置いといて、対冒険者チームアースとは一勝一敗だ。明日でどっちが勝ち越すか分かるな」
あっ!マンバさん!その事は内緒だったのに!しかし、ユウ先輩に聞こえた様でマンバさんに詰め寄っている。
「一勝一敗?それはどういう事だ?マンバさんよー?」
「あっ!!いや、何の事かなー?あはは!」
「マンバさんよー。二つの選択肢を与えよう」
「ふ、二つ?」
「先ず一つ、素直に話す。二つ、俺の考え得る拷問を受けてから話す。どっちがいい?」
「いや、二つ目怖いわ!何する気だよ!」
「さあ、残り五秒以内に答えよ。五〜、一〜!」
「いや、五と一の間は何処にいったんだよ!分かった答える。答えるよ!」
「よろしい!じゃあどういう事だ?」
マンバさんがサンパレスでのモイラさんVS俺とノリ先輩が戦った事を話した。それを聞いたユウ先輩が満面の笑みで俺に話しかけてきた。
「おいおい、ノリは勝ったのにお前は負けたのかよダイ笑」
うぜー!!!けど、負けたのは事実だから何も言い返せない!そんな俺を散々イジった後にユウ先輩が話しかけてきた。
「しゃーねーな。ダイの仇は俺がとってやるよ!ありがたく感謝しな!」
「うっす。ありあとしたー!」
「何だー!感謝が伝わらない返事だなー?本当に感謝してんのかー?」
「勿論です!尊敬できるユウ先輩!俺の仇を取ってください!お願いします!」
「よろしい!任せとけ!」
俺はユウ先輩にそう伝えた後、そっとモイラさんに駆け寄り話しかける。
「モイラさん、あの天狗鼻になってるユウ先輩、ぶちのめして下さいっす!」
「えっと、ダイ。貴方はそれでいいのですか?」
「勿論っすよ!あの嫌味な先輩に一泡吹かせ欲しいっす!」
「だそうですけど、どうしますか?」
「いや、モイラさん誰に言って・・・」
モイラさんが話しかけたのは、いつの間にか俺の背後にいたユウ先輩だった。い、一体何時からそこに!
「悲しいなあ、後輩に負けを望まれるなんて。俺は仇をとると言っているのに。悲しいなあ」
「ちょ、ちょっと待って欲しいっす!今のは言葉のあやと言うか何と言うか・・・」
「問答無用!くらえ!」
俺はユウ先輩に仰向けに寝かされて、俺の左足を右の脇の下に抱え込み、右足のすね部分を膝裏に当てる形にして自分の両手をその下からくぐらせ、俺の左足の太腿の上で両手をクラッチされた!こ、これは!
「テキサスクローバーホールドだ!」
「ぎゃーーー!痛いっす!やめて下さいユウ先輩!」
「痛いかダイ。だがな、後輩に裏切られた俺のガラスのハートはもっと痛かったんだぞ」
「何がガラスっすか!防弾ガラスよりも強固なハートが痛むことなんてないっすよ!」
「どうやら反省が足りないみたいだな。さあ、どこまで耐えられるかな?」
「ぎゃーーー!無理っす!人間の身体はそれ以上曲がらないっす!」
そんな風に俺がやられている現場に近づいてくる人がいる。見た感じ宿屋の職員ぽいが?
「あの、お客様。宿屋内でその様な行為は御遠慮して頂きたいのですが!」
その言葉を聞いて周りを確認すると皆俺達を見ていた。それを確認した瞬間、ユウ先輩は俺の足から手を外し、俺はスッと立ち上がった。そして二人同時に頭を下げ、声を出す。
「「すみませんでしたー!」」
謝った後、モイラさん達に合流する。呆れた表情をしているモイラさんとノリ先輩。爆笑しているマンバさん。ニコニコしているマシロ。
合流した後、それぞれの部屋に案内された。流石最高級の宿屋。部屋はマジで豪華だな。この世界に来て最高級だな。そんな部屋でゆったり過ごしていたら部屋にユウ先輩が来た。
「よう、ダイ。邪魔するぜ?」
「邪魔するなら帰ってやー!」
「あ、はい!って阿呆!」
「冗談じゃないっすか。それでどうしたっすか?」
「実はな、コイツの最終調整を頼みたくてな」
そう言ってユウ先輩が出してきたのは、俺と師匠の合作の手甲だった。
「いいっすけど、コレ使うっすか?」
「ああ、どうやらモイラは本気を出して欲しいみたいだからな」
「ベンガルさんには使わなかったすよね?何でモイラさんには使うっすか?」
「それはな!」
「それは?」
「内緒だよ。とりあえず頼むぜ」
「ちょ!そこは教えてくれないっすか!・・・まあ、いいか」
「俺はマシロと街を見て来るからよろしく頼むな」
「了解っす。夜までには終わらせておくっすよ」
「おう。頼んだぜ」
そう言ってユウ先輩は部屋を出ていった。
部屋に残った俺は手甲の最終調整を行う。しかし、ほとんど調整の必要は無かった。流石は師匠だ。いい仕事してるな!コレが俺の目指す最終目的地だな。
手甲の最終調整が終わった俺は部屋を出て、街を見て来ようとしたらマンバさんと鉢合わせた。
「あれ?マンバさんじゃないっすか?どうしたっすか?」
「ダイか。いや、ガーターの手紙を届けて来ようと思ってな。約束だったし」
「へー、大変っすね」
「まあ、渡すだけなら大変じゃないさ。所でお前は何してんだ?」
「俺っすか?用事も終わったし暇だから街をぶらぶらしようかなって思っただけっすよ」
「暇なんだな。なら俺と一緒に行かないか?ガーターの店も見てみないか?」
「ガーターさんの店っすか?何を売ってるっすか?」
「それは見てのお楽しみだ。どうする行くか?」
「そうっすね。どうせ暇だから付いて行くっす!」
「おし、じゃあ今から行こうぜ!」
そうして俺はマンバさんと一緒に街に出た。道中くだらない話をしながら歩いてると直ぐに目的地に着いた。
「着いたぞ。この店だ」
「この店って!・・・デカイっすね。何を売ってる店っすか!」
「入ったらわかるぜ」
そう言われて俺はマンバさんと一緒に店に入った。入って驚いた。今までの店はどこも一つに特化している店だけだった。武器屋なら武器だけ。防具屋は防具だけとか。だが、ここは何でもある。武器もあれば防具もある。更に食料も!まるでここは!
「デパートみたいっすね」
俺のその独り言に反応した人がいた。
「ほう、デパートですか。よくご存じですねその言葉を」
俺はビックリしてその反応した人を見た。この店の従業員らしき人が立っていた。その従業員にマンバさんが話しかける。
「ようジムグリ。元気にしてっか?」
「お久しぶりですマンバ様。お戻りになったのですね」
「今日帰って来たんだよ。ってか俺に敬語は使わなくていいっていったろ。何回言わすんだよ」
「今はこの店の従業員ですので。お客様にはキチンと対応させていただいているだけです」
「そうかよ。ダイ、コイツはジムグリ。ガーターの息子だよ」
「はあ!ガーターさんの息子っすか!マジかー。じゃあ手紙を届ける相手ってのは息子なんっすね」
「そうだよ。さて、ジムグリ。少し時間あるか?渡したい物があるんだ」
「・・・分かりました。ではご案内します。どうぞこちらへ」
「あのー、それは俺も一緒に行くっすか?」
「勿論だろ!さあ、行くぞダイ!」
そうして俺達はジムグリさんに案内されて部屋に通された。
俺達がソファーに座り、対面にジムグリさんが座る。座ると同時にジムグリさんが話しかけてきた。
「それでマンバさん。御要件は?」
「お前の親父、ガーターから手紙を預かってある。これだ」
「拝見しますね」
そう言うとジムグリさんはマンバさんから封筒を受け取った。封筒から手紙を出し、そのまま読み始め、しばらくすると読み終わったのかマンバさんに話しかけた。
「手紙、読ませて頂きました。マンバさん。冒険者チームアースの皆様は今この街にいるのですか?」
「おう、いるぞ。何ならこのダイがそのチームの一員だな」
「!!!本当ですか?」
「あー、はい。チームアースのダイって言います。所で、その手紙に俺達の事が書かれていたっすか?」
「読んでないのですか?」
「そりゃそうっすよ!人の手紙を読むなんて事しないっすよ」
「・・・この手紙には父、ガーターの旅の全てが書かれていました。母、ヒバカリを探す為に出た日から、助けた後までの事が書かれていました」
「へっ?その薄っぺらい紙なのに、そんなに沢山の事が書かれていたっすか?」
「この手紙は魔導具の一種です。紙一枚分で千枚程の手紙を書くことが出来ます」
「へえー、凄いっすね!」
「ええ。それで何ですが冒険者チームアースの皆様は全員この街にいるのでしょうか?」
「いるっすよ」
「今はどちらの宿屋に泊まっておられますか?」
「今はヴリトラって所っすね。モイラさんが泊めてくれたっすよ!」
「成程。では明日そちらに伺ってもよろしいですか?冒険者チームアースの皆様に一言御礼を伝えたいのですが?」
「あー、明日はちょっと無理かもっす」
「?何かご予定があるのですか?」
「そうだ!明日はアレか!おう、ジムグリ。明日は仕事か?」
「え、いえ明日は休みなので、アースの皆様に会いに行こうとおもったのですが」
「ならちょうどいい。明日の朝迎えに行くから準備しておけ」
「はあ!急に何を言っているのですかマンバさん!だから明日はアースの皆様にご挨拶をしようとしているのですが!」
「いいから気にすんな。ダイ、観客が一人増えてもあの二人は問題ないよな?」
「大丈夫じゃないっすか?少なくともユウ先輩は気にしないっすよ」
「モイラも大丈夫だろ。いいから明日は俺に付き合えよ。そうしたらお前の望みも叶うからよ」
「・・・本当ですかマンバさん?」
「おう、だから準備しとけよ。おし、渡すもんも渡したし帰るかダイ」
「そうっすね。それじゃあ失礼するっすよ」
そう言って俺とマンバさんは店を後にした。帰る時もジムグリさんは見送りをしてくれた。
その後はマンバさんのオススメの料理を出してくれる店に行ったり、武器屋を見に行ったりして過ごした。
明日はユウ先輩VSモイラさんか。
果たして勝つのはどっちだろうか?ガチで楽しみだ!




