百九十九話
ノリ先輩との激闘を終えた次の日。気怠い身体を動かして宿屋の食堂へと向かった。
食堂に着くと既に食事していたノリ先輩とマシロに挨拶をする。
「おはようっす。ノリ先輩、マシロ!」
「おや、ダイ。おはようございます」
「おはようございます!」
「ノリ先輩早いっすね。昨日の今日なのに」
「それを言うならダイも早いではないですか」
「俺は身体ボロボロっすよ。魔力使いすぎでなんか気怠いっす」
「まあ、あそこまで魔力を使うとそうでしょうね。私もこう見えて結構しんどいですよ」
「うそだー。っとモイラさんとマンバさんが来たっすよ!」
「おはようございます皆さん」
「おはよーさんっと。やっぱ朝はねみーな」
「おはよーっす!っとモイラさんどうしたっすか?そんな神妙な顔をして?」
「ダイ、貴方に一つ聞きたい事があるのですがよろしいですか?」
「な、何っすか?」
「貴方、私との戦いは本気を出していたのですか?」
「へっ?も、勿論出してたっすよ」
「しかし、私との戦いの時には鎧を着てこなかったでは無いですか!」
「あー、あの時はまだ最終調整が終わって無かったっすから。戦いも急に決まったっすから」
「た、確かにそうですが、鎧を装備しようと思えば出来たのでは無いのですが!それとも私には装備するまでも無いとおもったのですか!」
「ち、違うっすよ!落ち着いて下さいっすモイラさん!」
「では何故、私との勝負であの鎧を装備しなかったのですか!」
「さっきも言ったっすけど最終調整が出来て無かったからっすよ!あの鎧、高性能なんっすけどその分扱いが大変なんっすよ!」
「それはそうでしょうけど!」
「それに本当はあの鎧、対ユウ先輩用に準備してたっすから!ベアルリングに着くまでに最終調整をするつもりだったっすから!」
「・・・では、私との戦いは本当に本気だったのですか?」
「さっきからそうって言ってるじゃないっすか」
「そうですか。疑ってすみませんでした」
「別にいいっすよ!それよりも朝ご飯一緒に食べようっす!冷めるっすから」
「そうですね。食べましょう。所でユウはどうしたのですか?」
「ユウ先輩はデートをしてから帰って来ていませんよ」
「オイオイ、泊まり込みかよ!羨ましいなあんな美女達と!」
「なんなら変わってやろうかマンバさんよー?」
俺達は声のする方を見て見ると疲れ切っているユウ先輩が立っていた。
「お、おう。ユウ、帰って来たのか」
「たった今帰って来たんだよ。それでマンバ、良かったら変わってやろうか?」
「ハハハ、遠慮させてもらうわ。ってか帰ってこれたんだな」
「何とかな。所でどうする?今日、次の街パープルヴァーチェに出発するか?」
「すみませんっすユウ先輩。ちょっと俺の体調が悪いっすから出来れば三日くらい待って欲しいっす!」
「!!!う、嘘だろダイ!」
「私も少し体調が良くないので今日の出発は遠慮したいのです」
「ノリまで!お前等に一体何があったんだよ!」
「いいじゃねーかユウ。あと三日くらいゆっくりしても?」
「いや、駄目だ!直ぐに出ようぜ!じゃないと!」
そう言うユウ先輩の両肩に手が置かれる。右肩にシュガールさん、左肩にベンガルさんだ。
「ユウ、どうやらまだ出発しないみたいですね」
「って事はまだアタイ達と過ごせるって事だよな!」
「ま、まて!まだ話し合いの最中だ!落ち着けお前等!」
「じゃあ、今日も私と過ごしましょうかユウ?」
「何言ってんだい。昨日アンタだったから今日はアタイだよ!」
「だから待てって!だ、ダイ!ノリ!助けてくれよ!」
そんなユウ先輩にノリ先輩が優しく声をかけた。
「ユウ先輩!」
「おお、ノリ!助けてくれ!」
「出発は三日後にしますのでそれに合わせて帰って来て下さい。遅れないで下さいよ」
「なっ!こ、この薄情者ー!」
ユウ先輩は叫びながらシュガールさんとベンガルさんに両手を引っ張られて去っていった。
さらばユウ先輩!貴方の犠牲は無駄にはしません!
俺は去っていくユウ先輩に敬礼を捧げた!
さて、とりあえずこの三日は身体を休めつつ鎧のメンテナンスをやるか。
「ノリ先輩はどうするっすか?」
「私もこの三日はゆったり過ごします。ちょっと疲れましたので」
「モイラさんは?」
「私も休みます」
「マンバさんは?」
「特に予定はねーな。一人でちょっと街をぶらつこうかな?」
「マシロはどうするっすか?」
「マレーお爺ちゃんの道場に行ってきます!ユウ師匠がいないので!」
あらら、マシロが拗ねてる。まあ、この街に来てユウ先輩とあんまり過ごせてないからな。
しかし、マシロ一人で道場か。多分大丈夫なんだろうけど。
俺がそう考えていたらノリ先輩がこっそりとマンバさんに話しかけた。
「マンバさん、もし暇ならマシロと一緒にマレーお爺さんの道場へ行ってくれませんか?マシロ一人だと不安なので」
「ああ、いいぜ。どうせ暇だからな。しかし、お前等揃いも揃ってマシロには過保護だな」
「まあ、否定はしませんよ。もし、マシロに何かあったらユウ先輩がブチ切れますから。抑え込むの大変なんですよ」
「何故だろう。見てないのにその現場がアリアリと想像出来てしまった」
「でしょう。だから気をつけて下さいね」
「了解。まあ、やるだけやっとくわ」
「マシロ、マンバさんも道場に行きたいそうなので一緒に行ってくれませんか?」
「分かりました!マンバさん、朝ご飯を食べたら行きましょう!」
「分かったよ。けどな、マシロちゃん。朝ご飯はゆっくり味わって食べなよ。道場は逃げないからねー」
「はい!しっかり味わって食べます!」
そうして、朝食を終えたマシロとマンバさんが宿屋を出ていった。ノリ先輩とモイラさんは部屋に戻っていった。さてと、俺は鎧のメンテナンスに必要な道具を買いに行くか。
街に出て、必要な物を買いに出た。
街中をウロウロしている俺に誰かが話しかけてきた。
「あれ?ダイじゃないか?どうしたんだい?」
「そう言うベンガルさんはどうしたっすか?ユウ先輩とのデートじゃないっすか?」
「それが、シュガールとのじゃんけんで負けて、アタイは明日になったんだよ!それで、ダイはどうしたんだい?」
「いやー、ちょっと昨日色々あって、俺の鎧のメンテナンスに必要な物を買いに来たっす」
「なんだい、色々って気になるね。何があったんだい?」
「別に大した事ないっすよ。十ニ守護獣のモイラさんと戦ったり、ノリ先輩と戦っただけっすよ」
「へー、大変だったね。・・・なんだってーーー!」
突然大声を出したベンガルさん!まあ、予想してたから両耳は塞いでるんだけどね。
「ちょ、どういう事だい!何でそんな面白い事やってるんだい!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて下さいっす!そんなにガタガタ揺らさないで下さいっす!」
「おっと、悪いね。それで何でアンタ等は戦ったんだい?」
「理由は皆一緒っすよ。ユウ先輩と戦う為っすよ。まあ、ノリ先輩は違う目的もあったっすけど」
「・・・へえー。ダイがユウと戦いたいのかい?あのノリも!アタイの旦那はモテモテだね!」
「男なら一度くらいガチの戦いをしてみたいっすからね。それよりもこの件、ユウ先輩には内緒にして下さいっすよ!」
「分かってるよ。アタイの旦那をビックリさせて楽しませてくれよ」
「まだ、ベンガルさんとユウ先輩は結婚してないっすけどね。っとそう言えばベンガルさん、今日は暇なんっすか?」
「うん?そうだね、特に予定はないよ?」
「なら、マレー爺さんの道場に行ってみたらいいっすよ。今マシロが行ってるっすから手合わせしてみたらいいっすよ」
「マシロ?けどあの子は子供じゃないかい。流石にアタイが相手をするほどじゃ無いだろ?」
「甘いっすね。マシロはああ見えて俺達とずっと一緒に過ごして来たっすよ。俺達の弟子でもあるっすよ!」
「・・・それは確かにそうだけど」
「あと、ユウ先輩。マシロの事は我が娘の様に可愛がってるっすよ!つまり・・・」
「ちょっと道場に顔を出してくるわ。じゃあねダイ!」
そう言うと凄い速さでベンガルさんは去っていった。これでマシロも鍛えられるだろう。
そんな事を考えながら俺は買い物を終えて、宿屋で鎧のメンテナンスをしていた。
今日から三日ゆったり過ごしますか!




