百二十八話
ダンジョンに正攻法で入る為に、この街の十ニ守護獣のゴールデン・レトリバーさんに実力を見せる事になった!そして、マシロが無事に勝利した!後はノリ先輩、そして俺が実力を見せればダンジョンに入れる!やってやりますよ!
俺がそう思っていたらノリ先輩が前に出て行った。
「さて、次は私の番ですね」
前に出たノリ先輩に対してレトリバーさんが話しかけてきた。
「一応質問ですが、先程のお嬢さんが貴方達の中で一番強いという事はないですよね?」
「そうですね。まだマシロより私達の方が強いですよ」
「そうですか。なら貴方達には本気を出した方が良さそうですね」
「ええ、出し惜しみをして、言い訳をしないで下さい。私達は急いでダンジョンに入りたいので!」
「何故そこまでこのダンジョンにこだわるのですか?」
「それは・・・まあ、後で教えますね」
「・・・分かりました。では始めましょう!来いトパーズ!」
レトリバーさんが叫んだ後、右腕の盾が小さな円形の盾に入れ替わった!アレはまさか!
「宣言通り手加減しません!神器解放!」
レトリバーさんの声に反応して、盾が光る!そして、全身を鎧で覆った!あれがレトリバーさんの神器解放か!小さな円形の盾がデカくなりレトリバーさんの半身を隠せる程の大きさとなった!タワーシールドだな!全面には棘が沢山あり、あれが当たったら痛そうだな!
そんなレトリバーさんの様子を見ていたノリ先輩は嬉しそうに笑っている。
ユウ先輩の影に隠れているけど、ノリ先輩も結構ヤバイんだよなー。
「いいですね。そうでなくては面白くありません!では、私はコレで相手をしましょう!」
そう言ってノリ先輩が取り出したのは槍の様な斧の様な武器!ハルバートだ!ノリ先輩いつの間にあの武器を!
「では、始めましょう!来なさい!」
「すみませんが手加減は出来ませんよ!行きます!」
掛け声と同時にノリ先輩が突撃した!ノリ先輩がハルバートをレトリバーさんのタワーシールドに向かって思いっきり振り下ろした!
その瞬間、物凄い音と衝撃波が離れている俺の所まで来た!ヤバイ!ノリ先輩本気だ!そして、それを受けて微動だにしないレトリバーさんも凄い!
ノリ先輩はそのまま連撃を繰り出す!流石にさっきのマシロより少し遅いが一撃一撃の重さが段違いだ!
それに対してレトリバーさんは落ち着いて全ての攻撃を捌いている!
両方とも凄いな!
何度かの攻防の後、ノリ先輩が少し距離を取った!
そしてレトリバーさんに話しかけた!
「素晴らしいですね。流石十ニ守護獣です!」
「貴方は、私以外の十ニ守護獣と戦った経験でもあるのですか?」
「ええ、ありますよ。モイラさんともありますし、他にも何人かありますね」
「ずいぶんと経験豊富ですね。貴方の後ろにいる彼もそうなのですか?」
「そうですね。一緒に旅をしてきましたから。ちなみに後ろの彼は私よりも強いですよ!」
ちょ!ノリ先輩!何を言ってるんだ!
「そうですか。余り時間をかけれません。次の一撃で勝負をつけましょう」
「いいですね、受けて立ちましょう!さあ、行きますよ!」
ノリ先輩が魔法を唱える。自身の前に風魔法の筒の様な物を作っている。何をするんだろう?
そう思っていたらノリ先輩がレトリバーさんに向かって話す。
「今から真正面から貴方に突っ込みます。今までと違うのは速さです!さあ、行きますよ!」
そう言った瞬間、ノリ先輩の姿が消えた!
次の瞬間、けたたましい音と衝撃波が俺達を襲った!吹き飛ばされるかと思った!!ノリ先輩は!
ノリ先輩とレトリバーさんを見て見ると、背を向け合っている。ただ、ノリ先輩の手元を見るとハルバートが壊れている!これは!
「まさか武器が壊れるとは!恐ろしく硬い盾ですね。流石神器です」
「いえ、防げたのは偶然です。貴方が宣言せずに、不意打ちでその速度で攻撃されていたら、防げたかどうか分かりません。それよりも武器を破壊してすみません」
「いえ、大丈夫です。これはメイン武器ではありませんから」
「えっ!えっと、ちなみに貴方のメイン武器は?」
「私はこう見えて弓が得意でしてね。接近戦は余り得意では無いのですよ」
「そ、そうなんですね。得意でない接近戦であれ程動けるとは・・・」
ちょっとレトリバーさん引いてないかな?まあ、おかしいよな。あれだけ動けるのに接近戦よりも遠距離戦の方が得意だなんて。まあ、ユウ先輩はどっちも阿呆みたいに強かったけどね。
さあ、次は俺の番か!そう思っていたらレトリバーさんが盾をしまって、神器解放を解除した。あれ?まだ俺と戦ってないよな?
「あれ?次は俺っすよね?」
「いえ、貴方達の強さはよく分かりました。これ程の実力者なら問題ありません」
「えっ!そ、そうっすか」
「それに正直に言いますと私の方が持ちません。まさかこれ程とは思っていなかったので、モイラさんのいう事は間違っていませんでしたね」
「だから言ったでしょう。彼等なら大丈夫だと。それでは今からダンジョンの調査に行きましょう。レトリバーは彼等と一緒に七階層の探索を。そこが崩落現場ですから」
「え!何でモイラさんは崩落現場を知っているんですか?」
「貴方達が戦っている間にマンバとガーターが情報収集してましたから。私達ヨルムンガンドは上から順番に見ていきます。よろしいですか?」
「は、はい。それでいいです」
モイラさん有無を言わせない迫力でレトリバーさんを丸め込んだ!
正直、助かります!
「では、レトリバー、貴方は準備をしてきなさい。そうですね。二十分後にダンジョン前に集合です。いいですね」
「り、了解です!では失礼します!」
レトリバーさんが急いで準備に向かっていった。それを見送った後、モイラさんが俺達に話しかけてきた。
「これで貴方達は直ぐに七階層に迎えます。私達は一階層から順番に降りていき、もし岩石大亀がいたら討伐しておきます」
「モイラさんありがとうございます!これでユウ先輩の探索が直ぐに行えます!」
「いえ、私達は一緒に行けませんが、レトリバーが一緒なら大丈夫でしょう。ユウの探索よろしくお願いします」
そう言ってモイラさんはお辞儀をした。俺達の為に此処までしてくれているんだ!必ず見つけてみせる!
「モイラさん!必ずユウ先輩を見つけてくるっす!報告を楽しみに待っていて下さいっす!」
「ええ、楽しみに待っていますね」
そう言ってモイラさんはマンバさん達の方へ行った。それを見送りながらノリ先輩が話しかけてきた。
「此処までヨルムンガンドの皆さんにお世話になっているのです。必ず何かユウ先輩の情報を見つけましょう」
「ウッス!俺はやるっすよ!」
「私も頑張ります!ユウ師匠を必ず見つけます!」
「ええ、では少し休憩をしてダンジョンに行きましょう」
俺達は少し休憩した後、ダンジョン前でレトリバーさんと合流してダンジョンに入った。そうして順調に潜っていき、遂に目的地に着いた!この崩壊した先にユウ先輩が!
とりあえずこの土砂を退けないと先には進めないので魔法で退けようとしたが、土砂はうんともすんとも動かない!あれ?何でだ?
「何で動かないっすか!この土砂は!」
「えっ!もしかして知らないのですか?」
「何をっすか?」
「この土砂も元はダンジョンの一部です。ダンジョンの壁を魔法で壊せないように、この土砂も魔法は受け付けません。とりあえず人海戦術で退かすしかありません」
「ま、マジっすか!」
「ええ、とりあえず場所の確認は出来ました。今から兵士を集合させてこの土砂を退かします。とりあえず戻って兵士を呼びに行きましょう!」
えっ!そんな悠長でいいのか!俺は何か言おうとしたがノリ先輩に止められた。
「とりあえずこの場にユウ先輩はいませんでした。アイツ等の姿も見えません。気配もありません。とりあえず今は戻って兵士を連れてきて、土砂をどかしましょう。私達も手伝えば直ぐにどかせます。下手に揉めて遅くなるよりはここは素直に行きましょう」
「り、了解っす」
「マシロもいいですね」
「・・・分かりました。じゃあ早く戻りましょう!」
俺達は再びこの場所に来たが、直ぐに戻る事になってしまった。しかし、ユウ先輩の姿もネコショウ達の姿も見えなかった。まだ、中にユウ先輩はいるのか?早く確認したい!
しかし、俺達はまだ知らなかった。この土砂の奥にいる存在について!そして、そいつとの激闘を!この時の俺達は想像すらしていなかったのだ。




