百二十五話
やっとの思いで野衾を倒せると思ったら、俺等をまとめて倒す為に自爆をしようとした。
その自爆を止めたのは、なんとネコショウとセッショウだった。
ネコショウが野衾を殺した。自爆の恐怖は去ったけど、まさかの強敵二連戦は考えていなかった!
どうする!ユウ先輩!!
俺がそんな事を考えていたらユウ先輩がネコショウ達に話しかけた。
「それで、お前達は何でここにいるんだ?」
「実は〜、妙な反応が〜あったので〜確認に来ました〜」
「妙な反応?それって何っすか?」
「これニャ!!」
ネコショウが持っていた魔黒珠を俺達に見せた。けどアレって。
「確かネコショウ、お前も持っていなかったか?」
「失礼ニャ!私が持っていたのは完成品の魔黒珠ニャ!こんなまがい物と一緒にされたら困るニャ!」
「まがい物?」
「まあ、正確には昔に作った試作品だニャ!リミッターをつけてないから無限に魔力を吸収出来るけど、限界を超えたら大爆発がおきるニャ!」
「大爆発?ちなみにどれくらいの範囲で爆発するんだ?」
「そうだニャ、爆発したらこのダンジョンとザナレッドの街が地図から消えるかニャ!」
「めちゃくちゃヤバイじゃないっすか!何でそんな物を野衾が持ってたっすか!」
「アイツが〜無断で〜盗んでいったのよ〜。ネコショウの部屋からね〜」
「えっ、ネコショウと野衾ってそういう関係なのか!」
「アンタが考えている様な関係じゃないニャ!コイツは昔の助手ニャ!」
「助手?つまり元仲間って事っすか!」
「そうニャ!けどコイツは途中で逃げ出したのニャ!その時にこの試作品を持って逃げたニャ!」
「何で逃げたんだ?」
「コイツ、私の下だと活躍出来ない!百鬼様の役に立てないって言ってたニャ!」
「つまり、野衾は手柄が欲しくて、ネコショウの助手を止めて、ここで悪さをしていたと。そういう事か?」
「そういう事だニャ!」
「な、なんて、はた迷惑奴っすか!」
「そうですよね〜しかも〜コイツ〜隠れるのが得意だから探すのに〜苦労したんですよ〜」
「それじゃあ、お前達の目的も達成したんだから、
これで解散だな。じゃあお疲れ様!」
ユウ先輩が帰ろうとしている。俺もそれに続こうとしたらネコショウから声がかかる。
「確かにアンタ等との再会は予定外だったけどニャ、このまま帰す訳のは違うニャ」
「ええ〜、せっかく貴方達に〜あったのだから〜ここで〜決着をつけましょうかね〜」
「いやいや、俺達の事は気にすんなよ!なあダイ!」
「そうっすよ!それじゃあ失礼するっす!」
俺達が去ろうとするとユウ先輩の前の地面がエグれた。あと一歩進んでいたらヤバかっただろう。
ネコショウの爪の攻撃だ!
「正直、そっちのダイって方はどうでもいいけど、ユウ、アンタは駄目ニャ。確実に百鬼様の邪魔になるからここで死んでもらうニャ!」
「ええ〜、そうですね〜。アンタ〜成長率が〜異常です〜。これ以上〜強くなる前に〜消しましょう〜」
「おいおい、勘弁してくれよ。俺達は元の世界に還りたいだけだ。お前等が何をしたいのか知らないが、俺達が還った後に好きにしてくれよ。邪魔はしないからよ」
「そうっす!後はこのダンジョンのアイテムをゲットしたら還るからほっといて欲しいっす!」
「そうはいかないニャ!私の作戦はアンタ等に邪魔されたニャ!その落とし前はつけてもらうニャ!」
「私の〜作戦も〜邪魔されたわ〜。だから〜そのお礼を〜させてもらわないと〜」
「はぁ~、これは話し合いは無理だよな!仕方ない!やるぞダイ!」
「ユウ先輩!魔力は大丈夫っすか?今は逃げた方がいいっすよ!」
「この様子だと逃がしてくれないだろ。それに今逃げてもあの通路の先にいるノリ達も巻き込んじまう。やれるだけやるぞ!」
「マジっすか!・・・俺勝てる気がしないっすけど」
「安心しろ。俺もだ!」
「何も安心出来ないっすよ!」
「そろそろ打ち合わせは終わったかニャ!それじゃあ行くニャ!」
「少しは〜楽しませて〜下さいよ〜」
「くそ!俺がネコショウをやる!ダイはセッショウを抑えてくれ!」
「了解っすけど、あんまり期待しないで下さいっすよ!」
「分かってるよ!行くぞ!」
ユウ先輩がネコショウに突撃して行った!流石に二人同時に相手は厳しいからタイマンにしてるけど!俺がセッショウをどれだけ抑えられるかにかかってるよな!そう思いながら俺はセッショウに突撃する。
武器は一番得意な槍に変えている。十文字槍だ!セッショウの武器は鉄扇だし、距離をとって戦うぞ!
「おやおや〜、槍ですか〜これは〜戦いにくいですね〜」
「やるだけやるっすよ!死んでも悪く思わないで下さいっすよ!」
「うふふ〜やれるものなら〜どうぞ〜」
俺はセッショウ向かって槍を連続で突き刺す!コイツ等は俺よりも格上だ!最初っから全力で行くぞ!
俺の十文字槍の連撃をセッショウは鉄扇で防ぐ!
しかし、一撃も当たらない!やはりこのままでは押しきれないか!
「やっぱり〜、ユウと比べると〜物足りませんね〜」
「・・・確かにユウ先輩よりは弱いっすけど、流石に俺を舐めすぎっすね!」
俺は槍をセッショウに向かって投げた!
セッショウは苦もなくその槍を避けた。
「自ら〜武器を投げるなんて〜やはり〜貴方はその程度〜なのですね〜」
「そのセリフは俺の攻撃を全て避けてから言ってほしいっすね」
そう言って俺はセッショウの真正面から突撃する!
「何ですか〜勝てないからって〜無謀な突撃ですか〜?」
セッショウが俺に向かって鉄扇を振り下ろす!
その鉄扇は俺の脳天に当たったと思った!
しかし、残念!それは残像だ!
「ええ〜何ですか〜これ〜」
「見様見真似!ユウ先輩の奥義っすよ!まあ、本家には勝てないっすけどね!」
俺はセッショウの隣にいた。そして片手剣でセッショウの腕を切った!よし!これでセッショウの戦力は落ちる!そう思っていたらユウ先輩の怒号が聞こえた!
「馬鹿野郎!セッショウは分裂の様な分身が出来るのを忘れたか!後ろだダイ!」
ユウ先輩の怒号を聞いて俺は咄嗟に前に転がる!しかし、間に合わなくて背中を少し鉄扇で叩かれた!少し当たっただけなのだがめちゃくちゃ痛い!
「おいダイ、無事か!」
「背中を少しカスったっす!めちゃくちゃ痛いっす!ってかユウ先輩も傷だらけじゃないっすか!」
「流石に野衾戦で魔力を使いすぎてな。魔導甲冑の維持が難しくなってきた!」
「これって本格的にマズイっすよね!」
「ああ、絶対絶命って奴だな」
「こっから入れる保険ってあるっすかね?」
「あるわけねーだろ」
「じゃあ、諦めるっすか?」
「こっからの生還する方法は三つだ。一つ、今から頭も良くカッコいい俺がとてつもない凄いアイディアを閃きこのピンチを脱出する。二つ強い増援が現れて助けてくれる」
「三つ目は何っすか?」
「三つ目は、残念現実は非情であるだ」
「三つ目は生還する方法じゃ無いっすよ。ただの諦めじゃ無いっすか!やだー!」
「もういいかニャ?アンタ達はここで終わりニャ!」
「悲しいですけどね〜じゃあ〜サヨウナラ〜」
凄まじい圧力を感じさせながら二人が迫ってくる。
あー、流石にこれは無理だわ。まあ、俺にしてはよくやったかな。最後に日本食、食べたかったなー。
俺がそんな事を考えているとユウ先輩がポツリと呟いた。
「・・・やっぱコレしかないか」
「ユウ先輩?」
「ダイ、斬馬刀を寄越せ!」
「は、はいっす!」
俺はユウ先輩に斬馬刀を渡した。渡した直後、ユウ先輩からの指示がとぶ!
「ダイ!俺が攻撃するからしゃがめよ!分かったな!」
「り、了解っす!」
「何だニャ?まだ諦めないのかニャ?」
「往生際が〜悪いですね〜」
「うるせー!行くぞダイ!」
ユウ先輩が魔導甲冑を発動し、片足を振り上げた!そして斬馬刀を横に構えた!ネコショウとセッショウは斬馬刀の横薙ぎがくると思って身構えた!ユウ先輩はその瞬間を見逃さなかった!振り上げた足に魔力を込めて振り下ろす!俺はその瞬間にジャンプをする!
「くらえ振動脚!」
ユウ先輩の振動脚!魔力を地面に走らせ簡易的な地震を起こした!ネコショウとセッショウは地震の揺れで立っているのがやっとの状態だ!
今が攻撃のチャンス!そう思っていたらユウ先輩が叫んだ!
「ダイ!腹を防御だ!その後は全身ガードしとけよ!」
「り、了解っす!」
ユウ先輩の指示の意味は分からなかったが俺は指示に従って腹を守った!すると腹に凄まじい衝撃が来た!
なんとユウ先輩が俺の腹を蹴ったのだ!
「な、何でユウ先輩!!」
「わりーな。二人が助かる方法が無かったからな。お前だけでも助ける為だ。・・・無事に日本に還れよ!」
「えっ!嘘っすよね!ユウ先輩!ユウ先輩ーー!」
俺はジャンプした所をユウ先輩に蹴られて通路の方に飛ばされた!通路を通って隣の部屋の壁まで吹き飛ばされた!ユウ先輩に言われた通り全身を守っていた為、痛いが動ける!俺の痛みなどどうでもいい!それどころでは無い!ユウ先輩は!
俺が壁にぶつかった衝撃音を聞いて、ノリ先輩やモイラさん達が近寄って来た!
「お、おいダイか?お前大丈夫なのか?」
「俺の事はどうでもいいっす!それよりもユウ先輩が!」
「ユ、ユウ先輩に何があったのです!あの男は?」
「詳しい話をしている暇は無いっす!速く戻らないとユウ先輩が死ぬっす!」
「な!一体何があ・・・」
モイラさんが続きのセリフを言おうとした瞬間、通路からユウ先輩の叫び声が聞こえた!
「後は任したぞ!ノリ、ダイ!約束だ!無事に日本に還れよ!モイラ!マシロを頼んだ!あばよ!」
その言葉の後に轟音と共に通路が埋まっていく!
一瞬何が起きているのか分からなかったが、脳が現状を理解した瞬間、俺は埋まっていく通路に突っ込もうとした。だが、ノリ先輩とモイラさんに止められた!
「離して下さい!ユウ先輩が!まだ!あの先にいるっすよ!」
「分かっています!分かっていますよ!けどもう・・・」
見ると通路は完全に潰れていた。嘘だろ、あの通路の先にはまだユウ先輩がいるんだぞ!何でだよ!何でユウ先輩が!俺は現実が受け入れられず叫んだ!
俺の叫びはダンジョンに虚しく響き渡る。




