百二十一話
俺達は無事にザナレッドに入れた。しかも十ニ守護獣のレトリバーさんとも知り合えた。これで十ニ守護獣全員の顔を見れたな。
パグ爺さんの紹介してくれた宿屋も快適に過ごせた。
爽やかな朝日を浴びて俺は目を覚ました。
それから全員で食堂で朝ご飯を食べていたら、ビーグルさんが仲間と一緒に来た。
俺達が飯を食べているのを見てビーグルさんは申し訳なさそうに話しかけてきた。
「すみません、少し早かったですか?」
それにユウ先輩が答える。
「いや、大丈夫だ。お前達は朝飯食べたのか?」
「はい、食べてきました」
「そうか、なら少し待っていてくれ。もし、朝飯が食べ足りなかったら注文してもいいぞ。それとビーグルさんはこっちに来てくれ。少し聞きたいことがあるんだ」
「えっと、分かりました。・・・それで聞きたいこととは何ですか?」
「ダンジョンの事だ。ヒバカリさんは何処にいるんだ?」
「そうですね。先ずはこの街のダンジョンですが、全部で地下十階層なんですが、地下七階層に今まで発見されていない場所が発見されたのです。そこにヒバカリさんがいます」
「場所は変わってないのか?移動している可能性は?
」
「多分で申し訳ありませんが、移動する可能性は少ないと思います。私もそこで捕まって、ヒバカリさんもそこで捕まりました」
「成程。ちなみにそこまでの案内は任せてもいいか?」
「勿論です。私が案内させていただきます!」
「なら、俺達のチームに入ってくれ。ちなみにビーグルさんのチームはどうするんだ?」
「私達が行っても足手まといになるので、私達は岩石大亀の探索を行いたいと思います」
「いいのか?レアモンスターだから時間がかかるぞ?」
「私達にはそれぐらいしか出来ませんので」
「ちなみにビーグルさんが居なくて、チームは大丈夫なのか?」
「・・・そうですね。戦闘を考えなければ大丈夫です。岩石大亀は五階層にいます。戦闘をしなければ何とか対応出来るハズです」
ビーグルさんはそう言ってチームメンバーを見た。
チームメンバーはコクリと頷いていた。
「ああ、ならビーグルさんのチームメンバーに一つだけ言っておく。全員絶対に死ぬな!これは命令だ!命を大事にだ。見つからなくてもいい。後で俺達が探すから心配するな」
ユウ先輩にそう言われた後、ビーグルさんのチームメンバーが席を立って返事をした!
「は、はい!」
「よし、俺達の食事も終わった。十分後に宿屋の玄関に集合だ。モイラ達にもいいか?」
「勿論です。では、少し準備してきますね」
「俺達も準備するぞ。じゃあビーグルさん。申し訳ないが少し待っててくれ」
「分かりました。では後ほど」
俺達は部屋に戻り準備をした。
少し休憩をした後、俺は玄関に向かった。すでに、ヨルムンガンドの皆さん、ノリ先輩がいた。後はユウ先輩とマシロか。
「すみませんっす!遅れたっすか?」
「いえ、問題ありません。時期に、っと来ましたね。ユウ先輩とマシロも来ました」
「悪いな遅れたか?」
「いえ、時間通りです。では、行きましょう。ダンジョンへ!」
こうして俺達、アースとヨルムンガンド、ビーグルさんのチームでダンジョンに向かった。
ダンジョンは街の少し外れにある為、俺達は街を出た。ダンジョンは街から半日程の所にあるらしい。ビーグルさんに案内してもらい、俺達遂にダンジョンに辿り着いた。
「ここか。此処に俺達の目指したアイテムとヨルムンガンドのメンバーが探していたヒバカリさんがいるんだな」
「長かったっすね。ユウ先輩!」
「まあな。けどまだ終わった訳じゃねーぞ。何時も言ってるだろ。遠足は?」
「帰るまでが遠足っすよね!分かってるっすよ!」
「気を引き締めて下さいよ。最後の最後で躓きたくないんですからね」
「分かってるよ。じゃあ行くぞ。ビーグルさん。すまないが道案内頼むぞ!先ずはヒバカリさんの救出だ」
「分かりました。途中まで私達のチームも一緒に行って、五階層で別れます」
「おう、頼むぞ!」
「では行きます」
俺達はビーグルさんの案内でダンジョンを進んで行く。道中出てくるモンスターはユウ先輩、マシロ、マンバさん、ガーターさん、モイラさんで片付けていく。
あれ?俺は何もしてないな。いいのかな?
「お前とノリは魔力を残しておけ。ヒバカリさんを助ける時に暴れてもらうぞ」
「了解っす!任せて下さいっす!」
「本来はユウ先輩が魔力を残しておく方がいいのですけどね。我慢出来なかったのでしょう」
「いの一番に突撃したっすからね。余程鬱憤がたまってたっすね」
「ハツカの件もありましたからね。それに最近ユウ先輩暴れてなかったですからね」
「そうっすかね?何か何時も暴れている気がするっすけど」
「トーナメントも本気出せませんでしたしね。まあいいでしょう。私達も覚悟を決めますよダイ!」
「了解っす!」
その後順調にダンジョンを進んでいった。五階層でビーグルさんのチームメンバーと別れた。そのままの勢いで俺達は目的の七階層に辿り着いた。
「さて、無事に目的の七階層についたな。後はヒバカリさんがいるエリアに行くだけだな」
「・・・・・」
「ん?どうしたっすかビーグルさん。ここっすよねヒバカリさんがいる階層って?」
「・・・ええ、そうですけど。すみませんビックリして少し呆けていました」
「ビックリ?何かありましたか?」
「ええっと、本来この階層まで進むのに最低でも三日はかかる予定でした。それが半日足らずで此処まで来れたのでビックリしたというか、呆れたというか」
「何だそんな事か。恐れ多くも十ニ守護獣のモイラ様がいるんだぞ。当たり前だろ!」
「ちょっとユウ、何で私に敬語を使っているのですか?今まで使った事なんてないですよね?」
「いやー、やっぱ使った方がいいかなーって思ってな。ほら、貴方様は十ニ守護獣様ですし!」
「やめて下さい。ユウ、貴方に敬語を使われるとむず痒いと言うか、気味が悪いです。今まで通りで問題ありません!」
そんなやりとりを見て、ビーグルさんは疑問を口に出してきた。
「あのー、前から思っていたのですが、お二人の関係ってどのような関係何ですか?」
その言葉を聞いた二人はピタリと止まり、腕を組んでウーンと唸っている。
そしてユウ先輩が口を開く。
「なあ、モイラさんや。俺達の関係ってなんだ?知り合い?友人?主従?」
「何ですか主従って!そんな訳ないでしょう。普通に友人でしょう?」
「あー、だよな。うん、友人だ!」
「そうですよね!良かったです!」
ユウ先輩とモイラさんが照れあっている。珍しい!
そんな様子を見ながらノリ先輩がビーグルさんに話しかける。
「それでビーグルさん。ヒバカリさんはこの階層の何処にいるのですか?」
「この先にある新たなエリアにいます。そのエリアには狭い通路を通ります。その狭い通路をぬけると広いエリアがあります。そこにヒバカリさんはいるはずです」
「成程、ならここで少し休んでから進みましょう。ユウ先輩達の魔力も少しは回復するでしょう。ユウ先輩、モイラさんもそれでいいですか?」
「ああ、いいぞ。少し腹も減ったし、飯を食ってから進もうぜ」
そうして俺達はヒバカリさん救出前の小休憩をした。笑いながら食事をしている俺は知らなかった。この後の戦いがこの世界に来て最大の戦いになることを。
そして、その戦いでおきる悲劇を!俺はまだ知らなかったのだ。




