百二十話
遂に辿り着いたザナレッド!この街にあるダンジョンにヒバカリさんがいるらしい。それに、俺達が還る為のアイテムもある。頑張って両方を達成するぞ!
今はザナレッドに入る為に並んでいる。
「結構並んでんな。スプレグリーン程ではないけど!」
「あそこはカジノがありましたからね。まあ、ここにもダンジョンがありますから、結構並んでいるんですけど」
「けど、客層が違うっすよ。スプレグリーンは何か金持ちが多かったっすけど、こっちはごっつい人達が多いっすね」
「そうですね。やはりダンジョン目当ての人達が多いのでしょう。ユウ先輩、街に入るまでは大人しくしといて下さいよ」
「お前なぁ〜、俺がいつも暴れている訳じゃないだろ」
「ユウ先輩、自分の行動を思い返してみて下さいっす」
「・・・オレムジツ。オレワルクナイ!」
「ユウ先輩、カタコトになってますよ。心当たりあるんでしょう」
「うるせー!いいから並ぶぞ」
そんなやりとりをしていたら、俺達の前に並んでいた老人の前に無理矢理割り込んで来た奴等がいた。六人組の冒険者だろう。老人は驚きながらも、割り込んで来た奴等に声をかける。
「ちょいと兄さん達、割り込みはやめとくれ。後ろに並んでくれんかのう」
「はぁ~、うるせージジイだな。俺達はお前みたいな老人みたいに暇じゃねーんだよ」
「そうだ、そうだ。俺達はダンジョンで魔物を倒して疲れてるんだよ」
「お前達が安心して過ごせるのは、俺達が魔物を倒しているからだろう?それなら順番を譲るくらいしてもいいんじゃねーのか?」
そんな事を老人に向かって言っている冒険者達。・・・これは終わったな。
「おいおい、見ろよダイにノリ。あんなダセー事してるのがこの街の冒険者だってよ。品位がねーよな」
「全くです。順番を守るっていう子供でも出来る事が出来ないなんて。恥ずかしいですね」
「しかも、俺達じゃなくて弱そうな老人の前に行くのもダサいっすね。ああ、こっちだと勝てないからっすかね?」
俺達の煽りが聞こえたのだろう。六人組が一斉に俺達を見た。そして、俺達に絡んできた。
「何だテメー等、俺等に文句でもあんのか!」
その質問にユウ先輩が答えた。
「はぁ~、文句しかねーわ!さっき言ったろ?ガキでも出来る順番を守る事ぐらいしろって!それともそんな事すら分からない阿呆だったのか?それなら悪かったな。阿呆にも分かりやすく話せなかった俺達が悪かったわ」
おー、ユウ先輩が煽る煽る。六人組は顔を真っ赤にして怒っている。どうするんだろコレ?そう思っていたらユウ先輩が話しかけてきた。
「お前等手を出すなよ。俺一人でやる」
「ユウ先輩、殺さないで下さいよ。気絶させるだけで良いですから」
「分かってるよ!任せとけ!」
そうして、ユウ先輩は一瞬で六人の冒険者を気絶させて道に放り出したとさ。オシマイ!!
「おう、爺さん。大丈夫か?」
「え、ええ。ありがとうございます」
「おう、っでちっと悪いんだけどよ一つ頼み事を聞いちゃくんねーか?」
「な、何でしょうか?」
「そんな警戒しなくていいぜ、今から来る警備隊に俺達が絡まれたから仕方なく気絶させたって事を証言してくれや」
「へっ?も、勿論です。しかし、それだけでいいのですか?」
「ああ、っとそうだ爺さん。アンタこの街の住人か?」
「ええ、この街で生まれて今まで暮らしています。それが何か?」
「なら、美味い飯屋と良い宿屋を教えてくれ」
「ユウ先輩、頼み事が三つになってるっすよ」
「うるせーよダイ!こまけぇーこたぁーいいんだよ」
「細かくないですよユウ先輩」
「ノリまでツッコむなよ」
俺達のやりとりをみて老人は笑いはじめた。
「フォフォフォ、愉快な人達だ。そうですな、飯屋ならクー・シーがいいですな。宿屋ならサラマーです」
「おっ、サンキュー!入ったら行ってみるわ。っと来たぞ。何か強そうなヤツだな」
ユウ先輩の視線の先には数人の警備隊らしき人達がいた。その内の一人がユウ先輩の言う強そうなヤツ。変わってるな。両手に盾を持ってるなんて。
そう思っていたらそいつが話しかけてきた。
「すまないな。警備隊隊長のゴールデン・レトリバーだ。レトリバーと呼んでくれ。ここで暴れている冒険者がいると聞いたんだが、アンタ等か?」
「ああ、そうだ。あそこで気絶してる六人組が爺さんの前に割り込みしたから注意したら襲ってきてな、仕方ない迎撃したんだ」
やれやれといった雰囲気でユウ先輩が話す。うわ!白々しい。自分が煽ったくせに!
「そうなのか?パグ爺さん?」
「おお、間違い無いぞ。この人達はワシの為にコイツ等を倒したんじゃ」
「そうでしたか。すみません、ありがとうございます」
「いや、気にすんな。俺達が勝手にムカついてやっただけだ」
「しかし、まさかアンタ自ら確認しにくるとはのう。どうしてじゃ?」
「・・・先程の争いの時に感じた魔力が凄かったので、部下だけでは手に負えない場合を考えて私が来ました」
「それ程だったのか?」
「それ程だったのです。パグ爺さん」
「それはそうでしょう。彼は私よりも強いですから」
そう言って口を挟んだのはモイラさんだった。
モイラさんの姿を見たレトリバーさんがビックリしていた。
「も、モイラさんですか!お久しぶりです!元気でしたか!」
「ええ、貴方も元気そうですね」
「しかし、何故貴方がこの街に!あれ?後ろにいるのはガーターさんにマンバさん!ヨルムンガンドの皆さんが何故!でも納得です。貴方達の魔力ならあの感じは納得出来ますよ」
そう言ってレトリバーさんはウンウンと頷いている。
あれ?二人は知り合いなのか?ってか魔力の件モイラさんになってないか?
それをモイラさんも感じたのか、訂正しようと話しかけようとしたらユウ先輩がモイラさんの口を塞いだ!
そして、モイラさんに耳打ちしている。
「おい、もう面倒だからお前の魔力って事でいいぞ!ってかお前等知り合いかよ」
「ブハァ!ちょっと苦しいですよユウさん。ええ、知り合いですよ。昔、この街を訪れた時に少し関わりがあったので」
「少しだなんて!モイラさんは私を鍛えてくれました!お陰で今や警備隊隊長になれました!」
それを聞いてパグ爺さんが笑いはじめた。
「フォフォ、何を言っておる。今や警備隊隊長だけでは無く、この街の十ニ守護獣になっておるじゃないか」
それを聞いてモイラさんがビックリしていた。
「まさか、貴方が十ニ守護獣になるなんて!凄い出世ではないですか!」
「い、いえ!偶々です。これもモイラさんが私を鍛えてくれたお陰です!」
「おいおい、モイラだけかよ。俺もお前を鍛えたはずだけどな」
「はは、マンバさんにも感謝しています。勿論ガーターさんとヒバカリさんにも!あれ?そう言えばヒバカリさんはいないのですか?」
レトリバーさんがそう言った瞬間、ヨルムンガンドの皆さんの笑顔に陰がさした。それを感じたレトリバーさんがウロウロし始めた。
その様子を見ていたユウ先輩が手をパンパンと叩いた。
「よし、お前等が知り合いなのは分かった。とりあえず今は街の中に入れてくれや。早く爺さんの教えてくれた飯屋で飯食って宿屋でゆったりしたいんだよ」
「あっ!す、すいません。直ぐに手続きをいたします」
「レトリバーさんだっけ?俺達はサラマーって宿屋に泊まる予定だから仕事が終わったら来いよ。つもる話もあるだろうからな」
「・・・分かりました。今は仕事に専念します。モイラさん。話はまた後で!」
「ええ、待っていますよ」
その後無事に俺達はザナレッドに入る事が出来た。
パグ爺さんの紹介してくれた宿屋も無事に泊まれる事が決まり、ビーグルさんは仲間達の元に帰っていった。明日、チームメンバーと共に俺達と合流する予定だ。
夜にはレトリバーさんが来てヨルムンガンドのメンバーと話していた。俺達は関わらない様にしていた。
これで十ニ守護獣全員に会えた。まあ、だからといって何にもないんだがな。
明日はダンジョンだ。ヒバカリさん救出とアイテムゲット!
両方達成してみせる!やってやるぜ!




