百十六話
トーナメント大会で優勝した俺達。簡単な授与式を終えて今はカジノの豪華な一室にいる。ヒバカリさんの情報を貰おうとしたらペルシュロンさんから少し待っててと言われ、この部屋に案内された。マシロとガーターさん、マンバさんも合流して、今は全員でこの部屋でペルシュロンさんを待っている所だ。
するとマンバさんが話し始めた。
「しかし、よく優勝出来たな。それも結構余裕で優勝してるしよ」
「まあ、そんなに強い奴等いなかったからな」
「そうですか?この街の一位と二位の冒険者チームを倒しているんですよ?」
「一位の所は新人だったしな。あんなもんだろ」
「師匠かっこよかったです!」
「そうか?そうだよな!マシロ!」
「はい!私の師匠は世界一かっこよくて強いです!」
「ダァハハハ!いいぞマシロ!もっと褒めてくれ!」
「師匠ー!カッコいいです!強いです!」
そんな二人のやりとりを見ていたガーターさんが話しかけてきた。
「何をやってるんです、あの二人は?」
「ああ、いつもの事なんでほっておいて下さい」
「そうですか?しかし、ペルシュロンさんは遅いですね」
「トーナメントの後片付けがあるって言ってったすからもう少しじゃないっすか?」
そんな事を話していたらドアをノックされた。そしてペルシュロンさんの声が聞こえてきた。
「お待たせ〜、ハァ〜ごめんなさいね。後片付けに少し時間がかかっちゃって」
「別にいいさ。面子も揃っているし、じゃあ優勝賞品の情報を貰おうか」
「勿論いいわよ〜。ヒバカリちゃんの事よね。けど、私の知っているのは、この街に来てから出ていくまでよ」
「それでも構いません。ヒバカリは何故この街に来たのです」
「ヒバカリちゃんが来た理由は、ザナレッドにあるダンジョンで、知り合いが行方不明になったから何か知らないかって聞きにきたのよぅ」
「ダンジョンで行方不明?こう言っちゃ何だが死んだんじゃないのか?」
「それがね、どうやらダンジョン内で誰かに攫われたらしいのよ」
「攫われた?どういう事だ?」
「ヒバカリちゃんの知り合いね、実は六人チームでダンジョンに入ったみたい何だけど、何者かに襲われてその子だけ攫われたのよ」
「他のメンバーはどうしたんだ?」
「何とかダンジョンから逃げ出したらしいわよ。それで攫われた事がわかったのよ」
「それでヒバカリはダンジョンに向かったのか!それからどうなったのです!」
「そこからは私は分からないわ。ただ、ダンジョンに入ったのは間違い無いわよ。ただ・・・」
「ただ?」
「その後の事はこの子に聞いてちょうだい。入ってイイわよ」
ペルシュロンさんが語りかけると一人の女の人が入って来た。誰だこの人は?
「この子がヒバカリちゃんがダンジョンに入る理由になった子よ。詳しくはこの子に聞いてね」
「あ、あのわ、私は何を話せばいいのですか」
「ヒバカリちゃんがどうなったかもう一度話してちょうだい。この子達はヒバカリの冒険者チームメンバーよ」
女の人は目を見開いて驚いている。そして、ガーターさんとマンバさんに向けて頭を下げてきた。
「すみません。私のせいでヒバカリさんが!ヒバカリさんが!」
涙を流しながら謝ってくる。これ、もしかして最悪の結末か?
「大丈夫です。とりあえず何があったのかを教えて下さい」
ガーターさんが少し震えながら話しかけている。ガーターさんも最悪の結末を想像しているのだろう。
女の人は震えながら話し始めた。
「あの日、私達のチームはダンジョンに入りました。もう、何度も入っているので緊張はありませんでした。地下五階層に入って少しした時でした。アイツが現れたのは!」
「アイツ?」
「何者かは分かりません。ただたった一人で私達のチームを壊滅させました」
「貴方のチームメンバーは殺されたのですか?」
「いえ、ワザと殺さないで生かされてました。私を助ける為にもっと強い奴を呼んでこい、と言って見逃しました」
「?よく分からんな?ソイツはアンタを助ける奴を呼んでこいって言ったのか?」
「はい」
「何の為に?」
「よくわかりません。ただ、ヒバカリさんが助けに来るまで私は生かされました。そして、私の代わりにヒバカリさんが・・・」
「ソイツに捕まったのか?」
「・・・はい」
「それでアンタは逃がされたのか?ソイツの目的は何なんだ?」
「本当にわかりません。何故捕まったのか、何故殺されなかったのか。それもわかりません」
「何も分からないって事か」
「ただ、ヒバカリさんはまだ生きてると思います。アイツ、私を逃がす時にこう言っていたのです。ヒバカリさんを助けたいならもっと強い奴を呼んでこいって!だから私達は強いチームを探していたのです。私達よりも、ヒバカリさんよりも強いチームを!」
「もしかしてアンタが今此処にいるのはペルシュロンさんの冒険者チーム、スレイプニルに頼ろうとしたのか?」
「は、はい。この大陸で一位を争うスレイプニルならアイツを倒せると思って声をかけようとしていたのです。それに今日のトーナメント大会を見て思いました。冒険者チームアースの皆様にもお願いしようと思いました。それをペルシュロンさんに話したら此処に呼ばれたんです」
「俺達もかよ。まあ、どうするか何て考えるまでもないがな。なあ、ガーターさんよ」
「いいのですか?貴方達にはアイテムを見つけるという目的があるはずですが」
「此処まで話を聞いて、放り投げる事が出来るかよ。いいだろノリ、ダイ」
「勿論っすよ!ヨルムンガンドの皆さんには世話になってるっすから!」
「私も問題ありません。それにどちらにせよダンジョンにはいかないとないけませんからね」
「・・・すみません。本当に助かります」
「お前達には世話になってばかりだ。この礼は必ずするぜ!」
ガーターさんとマンバさんが俺達に頭を下げる。それに対してユウ先輩が答える。
「礼はヒバカリさんを助けてからにしてもらおう。それで、あー、アンタ名前は何て言うんだ?」
「あ、アタシはビーグルです。ザナレッドの住人です」
「じゃあ、ビーグルさん。アンタを襲った奴はどんな奴だったんだ?」
「初めはいきなり背後から襲ってきました。気配も無く急に襲われました。その後私は気を失ってしまいましたが、目が覚めた時にアイツの姿を見ました」
「どんな姿だった?」
「白衣を着た痩せた男でした。私を拘束している間は何かブツブツ言っていました」
「何て言ってた?」
「まだ間に合うハズだ、私こそがあのお方の一番役にたつのだ。みたいな事をずっと言ってました」
「・・・あのお方か。まさかな」
「ユウ先輩、もしかしてアイツ等の仲間ですかね?」
「マジっすか、またアイツ等っすか。勘弁して欲しいっす」
「ユウ、相手を知っているのか?」
「知りたくなかったけどな。ガーターさん達にも話したろ。俺達が束になっても勝てない奴等の話しを!」
「!!!まさか、船の中で聞いていた相手ですか!」
「分からんがその可能性が高そうだ。厄介になりそうだな」
遂に掴んだヒバカリさんの情報。しかし、待っていたのは厄介な情報だった。俺達を散々苦しめてきたアイツ等が相手の可能性が出てきた。
どうやら元の世界に還る為のアイテムをゲットするのも今回は楽にはいかないらしい。
ハァ〜、俺達は無事に還れるのか。




