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百十四話

トーナメント大会準決勝。俺達は問題無く勝利し、いよいよ、最終戦だ。ユウ先輩が勝てば決勝進出。負ければ敗退だ。まあ、あのユウ先輩だ。負ける姿が想像出来ない。そのユウ先輩は今、舞台の中心で対戦相手と向かい合ってる。


「よう、調子はどうだい?」


「・・・最悪だよ。俺達は今回こそ優勝を目指していたのに、こんな所で躓くなんて思いもしなかったわ」


「上ばかり気にしてるから躓くんだよ。前に進みたいなら一歩づつ確実にいかないとな」


「成程、その通りだな。しかし、まだ諦めた訳では無い。お前達が舐めてくれたお陰でまだチャンスがあるのだからな」


「はっ?俺達は舐めてないぞ?」


「舐めてるだろ!勝った奴が次の奴と戦わずにすぐに負けを認めるなんて!普通は戦って少しでも次の奴が有利になるようにするだろ!」


「ああ、その事か。それには三つの理由があるんだよ」


「三つの理由?何だそれは!」


「まず一つ、体力の温存だな。この後の決勝の為に一人一人の体力を温存しておきたかったからな。二つ目はペルシュロンからの言われたんだよ。これは興行だから観客を楽しませてくれってな」


「な、成程。じゃあ三つ目は何だ?」


「三つ目は簡単だ。アイツ等が負けたとしても俺がいる。俺が負けない限り負けはないんだよ」


「・・・アハハ。大した自信だな。いや、ただの傲慢な奴か?」


「まあ、その辺は戦えば分かるさ。さあ、そろそろ始めようか?」


「ああ、お前を倒して俺達が決勝戦に行かせてもらおう」


二人の会話が終わると審判が近寄っていく。そして、

大声を上げて宣言する。


「それでは、準決勝最終戦、冒険者チームアリーオーンリーダー、シャイアー対冒険者チームアースリーダー松山遊星!試合開始!!」


審判の開始の合図と、同時に二人が距離を取る。対戦相手のシャイアーさんは片手剣と盾を装備している。対するユウ先輩は日本刀で相手をする気だ。


「何だその刀は?初めて見たぞ!」


「俺の仲間が作った刀だ。よく切れるぜ。気をつけろよ!」


そう言ってユウ先輩が突撃する。シャイアーさんに向かって日本刀を振り下ろす。シャイアーさんはそれを盾で受け流す。そして片手剣で斬り返してくる。ユウ先輩はそれを避ける。そして、また斬りつける!シャイアーさんが防いで斬る!それをユウ先輩が避ける。この攻防を何度か繰り返す。


「あのシャイアーさんって人やるっすね」


「流石この国のナンバー二の冒険者チームのリーダーですね」


俺達が関心しながら戦いを見ている間にも、二人の攻防は激しさを増していく。しかし、どちらにも攻撃が当たらない!

この状態に観客は大盛り上がりだ!めっちゃ騒いでるな。俺達の試合よりも盛り上がってる。ちょっと悔しいな。

ユウ先輩とシャイアーさんは少し距離をとり、話し始めた。


「成程、大口を叩くだけはあるな。俺と此処まで斬り結べるのはペルシュロン以来だ」


「おいおい、ペルシュロンもアンタと同じぐらいかよ。大丈夫かよこの国は?」


「どういう意味だ?」


「そのままの意味だよ。よし、準備運動は終わりだ。少しギアを上げるぞ!」


「準備運動だと!」


「付いて来いよ!行くぜ!」


ユウ先輩が再び斬りかかる!ただ、さっきよりも速い!それでもシャイアーさんはついて行ってる。ただ、シャイアーさんの攻撃回数が減っている。ユウ先輩の攻撃の回数が増えてるからだ。ただ、シャイアーさんもまだ防いでいる。


「まさかあれから更に速度が上がるとは!」


「まだまだ上がるぞ!付いて来れるかな?」


「上等だ!かかってこい!」


今度はシャイアーさんがユウ先輩に攻撃をしていく。ただ、斬りかかるだけでは無い。ユウ先輩を中心として周りをまわっている。するとシャイアーさんの姿がブレてきた。あれ?俺の目がおかしいのか?


「何かシャイアーさんの姿がブレてないっすか?」


「ええ、アレはもしかして!」


ユウ先輩の周りをまわっているシャイアーさんの姿が増えている!分身している!


「へえー、分身か。そうだよな、それくらいはできるよな」


「ずいぶん余裕だな。お前にこの攻撃が破れるかな!」


「たかだか分身しただけだろ。それにはコレだな!」


そう言ったユウ先輩は刀を片手に持って腕を伸ばす。そして、クルクル回り始めた。何やってんだあの人は?


「くらえ!必殺人間片手独楽!」


「な、なにーーー!」


ユウ先輩が回転しながらシャイアーさんの分身に突撃していく。ユウ先輩の攻撃が当たると分身が消えていく。十体はいた分身が残り一体まで減った。残り一体って事はあれが本体か。


「どうだ、コノヤロー!」


「やるな。だが、お前ふらふらじゃないか!そんな状態で俺の攻撃を避けれるかな!」


シャイアーさんがふらふらのユウ先輩に攻撃を仕掛けて行くが、それはアカン!ユウ先輩はふらふらになった振りをしてるだけだ。誘われてるぞ!シャイアーさん!


「ちょっと隙を見せたらすぐに攻撃か。悪くはないが今回は悪手だな」


「何だと!」


「ふらついたのは演技だよ!コレでもくらえ!」


ユウ先輩が突撃してきたシャイアーさんを吹き飛ばす!シャイアーさんは吹き飛ばされたが、何とか体勢を立て直した。


「まさかあのふらつきが演技だったとは!してやられたわ」


「・・・よし。もういいだろう。次の一手で終わらせてやる」


「な、何だと!何をするつもりだ!」


「俺の奥義を出してやる。お前に見切れるかな?」


そう言ってユウ先輩は刀を鞘に収めて、身体を低く構える。構えは抜刀術ぽいな。ユウ先輩の奥義、初めて見るかも!


「いいだろう!松山遊星!お前の奥義を返して俺達が勝たせてもらう」


「シャイアー!俺の奥義の礎となれ!行くぞ!」


ユウ先輩が低姿勢でシャイアーさんに突撃する。速い!今日一の速さだ!シャイアーさんがユウ先輩の間合いに入った!ユウ先輩が抜刀した!それをシャイアーさんが防ごうと太刀筋に盾のガードが間に合う!そう思ったのだが、突撃ユウ先輩の動きが止まる!何故?と思ったらノリ先輩が呟く。


「上です」


えっ!と思ったらシャイアーさんの頭上にユウ先輩がいる!いつの間に!

そのままシャイアーさんの脳天に刀を振り下ろす!それが脳天に直撃してシャイアーさんは倒れた。

アレはシャイアーさん見えて無いな。離れていた俺ですら見えてなかったからな。ノリ先輩はよく見えたな。そんな事を考えていたらユウ先輩が呟く。


「松山流剣術奥義、天」


ユウ先輩の言葉の後に、審判がシャイアーさんに近づけて状態を確認する。確認した後に大きな声で宣言する。


「シャイアーの気絶を確認!勝者冒険者チームアース!松山遊星!!」


審判が勝者を宣言すると割れるような歓声がおきる!

終わってみれば俺達の三連勝で準決勝を突破出来た!

残すは決勝戦のみ!やっとここまで来た!

どんな相手だろうと決勝戦勝ってペルシュロンさんから情報を貰うぞ!やってやるぜ!



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