百十三話
ついに始まったトーナメント準決勝。ルールは勝ち抜け戦になり、俺は無事に初戦を勝てた。そして、リタイアした。その瞬間会場から凄い歓声が聞こえたが、
まあ、いいだろう。
「しっかし、ユウ先輩。これで良かったっすか?」
「問題無い。最終的に俺が負けなきゃ、負けないんだからな」
「すっごい自信っすけど、それでこそユウ先輩って感じっすね。ノリ先輩は勝てるっすかね?」
「アイツが負ける所、お前想像出来るか?」
「・・・出来ないっすね」
「とりあえずアイツの戦いを見ようぜ」
俺とユウ先輩がノリ先輩に目線を向けると、ノリ先輩が対戦相手と会話をしていた。
「まさかリタイアするとはな。わざわざ一人減らしてくれて助かるぜ」
「まあ、元々一人づつ減らしていく予定なので、問題無いですね」
「まあ、俺が二人を倒せば勝てる。簡単な事だ」
「・・・驚きました。まさか、勝つ気でいるとは!」
「俺をさっきの奴と一緒にするなよ。俺はこのアリーオーンチームのナンバー二だ!」
「・・・まあ、戦えば分かりますね。それで、貴方は何を使うのですか?私はこの弓です」
「俺はこの大剣だ!これで俺は・・・」
「あー、御託は沢山です。では、始めましょう」
二人が少し距離をとる。すると、審判が大きな声を出す!
「それでは第二試合初め!!」
審判の掛け声と同時に対戦相手が突進してくる。それを見たノリ先輩が魔法を唱える。
「風の障壁!」
突進してきた対戦相手は風の障壁を避ける様に移動する。そこに向けてノリ先輩が矢を放つ!対戦相手はその矢を叩き落していく。へえー、中々やるなー。
「俺がこの程度でやられるかよ!」
「成程、ならこれならどうですか?」
ノリ先輩はまた、矢を放ったが対戦相手とは見当外れの方へ五発飛んでいっている。
「何処に放って・・・何!」
放たれた五つの矢がそれぞれ対戦相手に向かっていく。どうやってやってるんだろ?
「矢の後ろの羽根を削って調整してるんだろ」
「あー、何かの映画で見たことあるっす。アレが出来るっすね。流石ノリ先輩っす」
「相手はどう対応するか、見ものだな」
「しゃらくせー!!」
対戦相手は五つの矢を全て大剣で叩き落した。ノリ先輩はその様子を見ながら更に矢を放つ。ただし、真上に向かって三発放った。
「テメー!何処に向かって打ってる!」
「そのうち分かりますよ。それよりも貴方は攻撃しないのですか?」
「・・・それは挑発か?いいぜノッてやるよ!!」
対戦相手はノリ先輩に向かって突進してくる。ノリ先輩はそれを受けるつもりだ。しかし、ノリ先輩は弓を手放さない。どうするつもりなのか?
「どうした!弓で俺の大剣を防ぐつもりか!」
「私のいた世界にはこう言った言葉があります。当たらなければどうと言う事は無いってね」
ノリ先輩、貴方は何処の赤い彗星ですか?その言葉通りにノリ先輩は相手の猛攻を躱す!躱す!躱す!
「く、くそ!何故当たらない!」
「流石に大振りすぎですよ。ああ、腹部ががら空きですよ」
ノリ先輩は相手の腹部に弓を当て、零距離で矢を放った。相手はよろけながらも、ノリ先輩と距離を取る。
「ば、馬鹿な!零距離で弓を放つなど見たことも聞いたことも無い!な、何なんだお前等は!」
そんな相手の言い分を聞きながら、ノリ先輩は急に三本の指を立てた。そして、静かにこう言い始めた。
「三・・・二・・・一」
「な、何だ!そのカウントダウンは!何なんだ!」
「零」
カウントが零になった瞬間、相手の頭上から何かが落ちて来た。アレは、さっきノリ先輩が放った矢か!
三本の矢は、少しの時間差で相手の頭部に命中する。
「ぐ!が!ば!馬鹿な・・・」
相手のその矢を受けて倒れてしまった。審判が相手を確認する。気絶したのを確認した審判が判決を下す。
「しょ、勝負あり!勝者冒険者チームアース、ノリ!!」
凄い大歓声が上がる。俺の時よりもデカイ気がする。まあ、確かに凄かった!空に放った矢が相手に落ちるようにするのって凄すぎる。
「あの空から落ちて来た矢ってどうやったっすかね?」
「さあな。後でノリに聞いたらどうだ?まあ、聞いたから出来るとは限らんけどな」
「出来る気しないっす。じゃあ最後ユウ先輩!頑張って下さいっす」
「任せとけ。さてと、少しは楽しめたらいいんだけどな」
ユウ先輩はそう言いながら、舞台の中央に向かって歩いていく。代わりにノリ先輩がリタイアして帰ってきた。
「お疲れ様っす。相変わらず強いっすね、ノリ先輩」
「ああ、ありがとう。強いっていっても、私よりも強い人があそこにいますからねえ」
ノリ先輩はそう言いながらユウ先輩を見ている。その態度で少し気になったので聞いてみる。
「ノリ先輩が本気を出してもユウ先輩には勝てないっすか?」
「そうですね。多分まだ勝てないでしょうね。ユウ先輩の魔導甲冑。アレが結構厄介ですし、何よりも・・・」
「何っすか?」
「知識と発想力が凄いですからね。あの人、漫画やアニメの技も使ってきますからね」
「・・・そうすっねー。俺もまだ勝てる気しないっす」
「おや、ダイもまだですか?」
「ええ、ノリ先輩と同じくまだっす。お互いに頑張るっすよ」
「そうですね。じゃあ私達よりも強いユウ先輩の試合を見学しましょうか。あの人また何かするかもですし」
「ちょっと楽しみっす」
舞台ではユウ先輩と対戦相手が向かい合ってる。
今から準決勝最後の試合だ。この試合で負けたら俺達のチームは敗退する。
ただし、ユウ先輩が負ける姿が想像出来ないんだよな。
さあ、ユウ先輩!勝ってくれ!俺達の未来はアンタにかかっている。




