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サムライの格好で異世界に来たんだが  作者: 志村けんじ


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少年の役目


 クレア姫は、真っ直ぐに少年の顔を見つめる。


 少年から見て、クレア姫は、なんというか、「物語のヒロインとして、相応ふさわしすぎるぐらいに美人」である。


 そして、まだ若くもあるので、「可愛らしさ」も備えている。


 そんなクレア姫に見つめられて、少年は照れて、顔を横に向けた。


「ちゃんと、わたしの方を見て! これから、大事な話をするわ」


「はい……」


 少年は照れながらも、クレア姫の方を見る。


「あなたには、わたしの護衛をお願いしたいの」


 少年は、不思議に思った。


 確かに自分は、他の兵士より強いのかもしれないが、もしそうであれば、その前にクレア姫自身が、「死の軍団」との戦いに参加しなければいいだけの話ではないだろうか。


「それだったら……」


 少年がそのことを言いかけたとき、クレア姫の口から、信じられないことを教えられる。


「死の王リッチは、おそらく、あなたの剣でも倒せないと思うの」


 そう言われた。


「どうしてですか?」


「あなたの持っている剣が、特別なものだとは聞いているわ。だけど、それだけでは倒せないの」


 少年は、このカタナでも、倒せないほどの凄い魔物なのかと思った。


「そんなに、凄いんですか?」


「あなたがここまで戦ってきた魔物は、いうなれば、「下級のアンデッド」よ。これから戦っていくアンデッドたちは、魔力も持っているわ」


 確かに、これまで戦ってきた魔物には、「魔力」というものを、特に感じなかったと、少年は思った。


「だったら、なんでオレが、姫の護衛なんですか?」


 少年は、その疑問をハッキリと聞いた。


「それは、あなたが、赤の他人のために戦っているからよ。あなた。この国の人ではないでしょ?」


 少年に対して、クレア姫は、核心を突いてくる。


「あなたは、この村の人たちから、一切お金も貰っていないそうね」


「まぁ、仕事という仕事をしているわけではないですし、タダで家に住まわせてもらって、美味しいご飯も食べさせてもらっていますから、その変わりです」


 そもそも、少年はこの世界の「貨幣価値」がどういったものなのかを知らない。


 それなので、それで十分だと思っていた。


「殊勝なことね。良い心がけだと思うけど、これからはこの国を救うために助けてほしいの」


 クレア姫は、少年にそう訴えかける。


「大袈裟です。オレはただのサムライです。国を護るために戦うまでです」


 それは、これから本当の戦いの中に身を置く、少年の決意でもあった。


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