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鎮めよ!  作者: オノダ竜太朗
第1章 諸法無我〜俺たちには実態がない
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117/120

数原 真樹夫

第117話 お久しぶりです。


 朝。


 いつものように目覚める。寝巻きのまま外に出て、大きく息を吸う。


 快晴。


 空の隅々までポスターカラーのペンで塗ったような水色。天気予報を見なくても、今日は多分、降水確率0%だ。

 境内を眺めると、ところどころに蝉の死骸が転がっている。掃除などの日課は、昨晩のうちから雲仙さんたちにお願いしてあった。理由を話すと、2人は快く引き受けてくれた。そして、皆んなには昨晩のうちから、ちゃんと別れも告げている。

 掃除は2人に任せてあるが、精舎の周りくらいは、と掃き掃除を始めた。長い間世話になった場所だ。最後には綺麗にしてお別れしたい。最初は精舎の周りだけ掃いていたが、結局境内の全体を掃除してしまった。


 それにしても、だらしのない人たちだ。境内全部を掃き終わるまで30分くらいは要しただろうが、誰1人起きちゃこない。

 僕は態と溜息を吐いて、竹箒を片付けた。


 久しぶりに、みんな揃うんだから早起きしろよ。


 僕は精舎に戻ると、みんなを叩き起こした。


「ふはぁぁ、ん?ここは、どこだ?」


 40過ぎのオッさんが1人起きた。


「え!なんで、ここにいんだよ!」


 その声に、他の人たちも起き始めた。


「えー、なんで?」「どうなってんだ?」「ちょっと、どういうこと」みんな方々好き勝手にぼやいている。


 そこには、劉弦さんと天馬さん、蓮実さんと沙千絵さんの4人の姿。布団から上半身を起こし、4人とも不思議そうな顔をしている。現状が飲み込めないようだ。


「みなさん、お久しぶりです」


 現状を把握しているのが自分だけという、なんとも愉快なシチュエーションだ。



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