表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/73

61  スタンガン

屋上に出ると、亜衣ちゃんと『女』が組み合っていた。

亜衣ちゃんは、女の口を押さえて声を出せないようにしている。

マズイな、不意討ちは失敗したらしい。

どうやらこれは、膠着状態の様だ。


しかし、近くにいるはずの実行犯達二人は、まだ駆けつけて来ていない様だ。

サイボーグなら、声が出せなくても他の連絡手段がある筈だ。

機械の体と通信機器の相性は、確実に良いのだから。


それにしても、一体これはどういう状況なのだろう。

外の強烈な日差しと暑さも相まって、オレをイライラとさせる。


「どうなってんだコレ?掩護に入る?それとも、実行犯の方に行く?」


「多分、通信機能とかのある頭部を、スタンガンでショートさせたんだと思う。実行犯達には、まだ気付かれてないみたいだし。今の状態だったら、亜衣と二人で簡単に倒せる。最後の一人の活性化は切り札にしたいから、活性化しないでちょっと待ってて。実行犯達と接触したら、そっちも活性化って事で。」


「分かった。オレは、まだ活性化しない事にする。」


各々の活性化のタイミングと、活性化時間の有効活用が生命線だ。

オレも、彼女達の予定に合わせなくては。

それにしても、頭部に通信機能だって?

オレはそういう様な説明、一切されてないんですけど。


「波が荒れ狂う時、黄泉の門は開き、すべての亡びの矢は放たれる。」


突然、園池さんがそんな事を言い出した。

荒れ狂う波、黄泉の門、滅びの矢?……。

おそらく、ナノマシン活性化のキーワードだな。

オレのキーワードと比べると、随分とカッコイイ台詞。

『マンボウの寄生虫』VS『黄泉の門と滅びの矢』じゃ絶対に勝ち目なさそう。

オレも、中二病っぽい台詞がいいなぁ。


そんなオレの不満をよそに、園池さんはさっさと亜衣ちゃんを掩護しに行った。

それはもう、ありえないスピードだった。

オレも必死で走ったが、たいした距離でもないのに取り残される。

やはり、さっきの厨二病みたいな台詞は、活性化用のキーワードで間違いない。

ゲームでは気が付かなかったが、活性化って傍目から見ると、トンデモない事になってんだな。


園池さんが上手く女の隙をついて、後ろから羽交い絞めにした様だ。

オレはまだ、辿り着いてもいない。

瞬間、亜衣ちゃんのスタンガンが凄い光を発して、押し付けられた女が倒れた。

青白い光の渦、見ただけで凄い威力の電撃だとわかる。

そのわりに、電撃の発生音は殆ど無かった。

今の状況において、最適な攻撃だろう。

凄いな、あの未来のスタンガン。

オレ、そういう武器とか一切貸して貰ってないんですけど。

扱い酷くね?


「オイオイお前ら、こんな事しでかして、覚悟は出来てるんだろうな。」


『派手男』のサンバカーニバルと『スキンヘッド』が異変に気がつき、こっちに来ちまったらしい。

この派手な格好をした男は、カポエラみたいな格闘術をつかう難敵だった。

幸いな事に、VRゲームの時には持っていたライフルは、所持していない様だ。

飛び道具の相手をしなくていい、ってのはありがたい。

……いや、安心は出来ないな。

相手にも、活性化時の特殊遠距離攻撃みたいなのが、あるって話だった。


「女二人は、かなり高度なサイボーグ化をされているようだ。先に始末する。アンタは下がっててくれた方が、仕事がやり易い。」


見た目以上に物騒な発言と、低く威圧的な声。

そういえば、このスキンヘッドの声を聞くのは初めてだな。

VRゲームでは向うから突っ込んで来て、特殊攻撃一発で倒せた。

あの時、もの凄い速さだった。

多分コイツは、かなりの難敵だろう。

大抵の場合、ボディーガードの方が守られる対象よりも強い事が多いし。


「シュウ君、私達は二人がかりで『頭の薄い人』を狙うから、『派手な人』の方をお願い。時間を稼いでくれればいい。」


直後、亜衣ちゃんと園池さんはスキンヘッドに突っ込んでいった。

活性化の残り時間を考えると、ほんの少しの時間も無駄に出来ない。


やはり園池さんは、格闘技の経験者の様だ。

なかなか迫力のある連続打撃攻撃で、スキンヘッドを追い詰め始めた。

亜衣ちゃんもスタンガンを持って背後に回ろうとするので、スキンヘッドは防戦一方になっている。

さっきの威力を目の当たりにしてるなら、スタンガンを警戒するのは当然だろう。

あの様子なら、問題なさそうだ。


「ヘッヘッヘッヘッ。頭の薄い人ってのは、ヒデェ言い草だな。」


派手男は、オレの方を見て笑った。

いやいや、お前の『派手な人』だってバカにして言ってるんだと思うぞ。

だって、乳首丸出しだからな。

しかし、今の状況はコイツも見た筈だが、随分と余裕がありそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ